ROEについて解説します

株式投資の基本

株式投資を始めるには、まず銘柄選びから始めます。
その際に参考とするものは色々とありますが、その中の一つにROEという指標があります。しかし、株式投資を始めたばかりの人の中には、

「ROEって何のことだかよくわからない」
「他の指標とどっちが参考になるの?」

といった疑問を抱く人も少なくありません。そこで、今回はそのROEというのがどのようなものなのか、詳しく解説していきたいと思います。

ROEとは?

最近では、注目されることも多くなっているROEについて、聞いたことがある人は多いでしょう。しかし、具体的にどのようなものなのかを聞かれると、上手く説明できない人もいると思います。
ROEというのは、日本語にすると株主資本利益率という意味になります。これは、企業の収益性について示したもので、株主が出資した資金がどれだけ企業の収益へと結びついたのかをすることができる指標で、特に欧米では重視する傾向があります。

これを計算する際は、まず当期の純利益を現状で発行されている株式数で割ったEPSという指標を計算し、それを1株当たりの株主資本を示すBPSで割り、100をかけることで計算します。株主資本は自己資本ともいわれ、株主からの出資によって得られた資本と、それをもとにして生じた利益とを合計したものです。

正式な計算ではこうなるのですが、もっと簡単に計算する場合は当期の純利益を株主資本で割ることで求めることもできます。EPSとBPSの分母が発行済み株式数という共通した分母なので、それを除して計算するということになります。

このROEによって、株主資本をいかに効率よく用いて企業としての利益を得ているのかを知ることができます。株式発行で同じ10億を集めても、1億円の利益を上げている企業と3000万円の利益しか上げていない企業とでは、1億円の利益を上げている企業のほうが有効に資金を使っている、ということになるのです。この場合、前者の企業のROEは10%、後者は3%という計算になります。

この数値があまりにも低い企業については、資金を有効に使うことができていないため経営が下手であると判断することになるでしょう。そうなると、その企業の価値自体も低いものと考えられてしまいます。

判断の基準

2つの企業を比較して、どちらのROEが高いのかを判断することはできます。しかし、絶対値としてROEを見た時は、どの位あれば優秀な企業と見なすことができるのでしょうか?

日本の企業のROEは、平均して5%程度とされています。そのため、6%以上の企業は平均よりも優秀であると考えることができますが、平均をわずかに上回っている程度では安定して平均以上の収益率を誇っているとは言いにくいでしょう。安定して優秀な利益を上げている優良企業を探すのであれば、ROEが10%以上であることが一つの目安となります。

日本の企業のROE水準を見ると、5%未満の企業が24%、5~8%の企業が23%、8~10%の企業が14%、10%以上の企業が32%という割合になっています。ちなみに、残りの割合については0%未満、つまり赤字の企業ということになります。

10%以上の企業がおよそ3分の1となっていますが、今後の成長について期待するのであれば8%以上の企業に投資価値があると考えることもできます。そうなると、およそ半数の企業が投資する魅力を持つ、優良企業と考えることができるでしょう。

ROEだけでの判断は危険

銘柄を選ぶ際の参考になるROEですが、それだけで優良な銘柄かどうかを判断するのは危険です。ROEが高いだけでは、必ずしも優良と言い切れないからです。

ROEを計算する際は、先ほどの指揮をさらに細分化して、3つの指標として示すことができます。そうすることで、どのような要素でその値となったのか、ということを確認できるのです。
このとき、使用される式のことを「デュポンの式」といいます。この式は、ROEの計算をするための要素を3つに変化させたものです。

この場合のROEの式は、当期純利益を売上高で割った結果である売上高当期純利益率と、売上高を総資産で割ることで出される総資本回転率を掛け合わせ、さらに総資産を株主資本で割って導き出される財務レバレッジをかけたものに、100をかけた数値となります。この式を順番に考えていくと、まず売上高当期純利益率の分母である売上高と、総資本回転率の分子である売上高が相殺され、さらに総資本回転率の分母である総資産と財務レバレッジの分子である総資産が相殺されて、最終的には当期純利益を株主資本で割ることになるので、通常のROEと同じ値が導き出されます。

このROEの式を分解することで、3つの指標が出てきます。売上高当期純利益率は企業の収益性を特に示し、総資本回転率は資本の効率性を示し、そして財務レバレッジは財務の安定性を見ることができる、自己資本比率の逆数となるのです。これを個別にみていくことで、単純にROEを見るだけではなく、この3つの指標の中で特にどの部分が優秀なのか、という細かい分析が可能になります。

また、企業の収益性を伸ばすには利益率を向上することが重要であり、資本の効率性を伸ばすには売り上げを伸ばすか総資産を減らすこと、財務レバレッジは負債を負いながら資金調達をすると増えるということになるので、これらの数字を操作してROEを高くしている企業もあるかもしれません。その点にも、注意してみましょう。

これらの指標を比較する場合は、業種別に比較することが大切です。業種によって各指標のバランスが異なるので、異業種間の比較では正しい比較ができないのです。

ROAとはどう違う?

よく、ROEと混同されやすい指標として、ROAというものがあります。名前も似ているのですが、この指標は何を表しているのでしょうか?

ROAというのは、総資産利益率というものです。純利益を株主資本で割った値であるROEに対して、ROAは純利益を総資産で割ったものとなります。総資産というのは、株主資本に他人資本も加えたものをいいます。他人資本には、銀行からの借入金や企業が持つ資産など、現状で利用することができる資産のすべてが含まれます。
つまり、株主資本だけを基準に考えるROEに対して、ROAは使えるすべての資産を基準としてどれだけ効率よく利益を得ているのか、ということを示しているので、企業の能力をより広い視点からチェックすることができるのです。

また、ROAに財務レバレッジをかけると、ROEになります。ROEは、負債をあえて増やしたり、自社株買いなどで株主資本を減らしたりすることで改善することも可能です。そのため、ROAを重視する投資家も少なくないのです。とかく日本ではROEに注目されることが多いのですが、企業の収益やごまかしがきかない値を参考にするためには、むしろROAに目を向けるべき、という意見も少なくありません。

まとめ

これまで解説してきましたが、やはりROEというのは投資家にとって重要な指標です。ただし、いくつかの欠点もあるのでそれを補うために、ROE単体での判断は控えたほうがいいでしょう。
いくら優秀な数値であってもとりあえずは絞り込みにとどめておき、そこからROAをはじめとした様々な指標を使うことで、優良な銘柄を見つけて投資していくようにしましょう。また、ROEはある程度の操作も可能な指標という点も忘れないようにして、不自然な変化をしている企業には気を付けるようにしてください。

執筆者:佐藤真奈美より

 はじめまして、当サイトである『投資塾』で記事の執筆を担当させて頂いております、佐藤真奈美と申します。現在、複数の投資関連のメディアサイトに相場予想や投資関連の解説等の記事を寄稿しておりますが、『投資塾』では、株式投資のニュース、経済指標、金融政策等、「市場参加者が、何を見ているか」に重点を置き、株式投資の初心者にも分かりやすいよう、他では知れない情報の提供に努めさせて頂いております。

執筆者:佐藤真奈美について

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