PERの欠点その1

株式投資の基本

割安株などを探す場合によく使われるPERは、投資の教科書や投資の解説をするサイトなどでもたびたび紹介されています。
しかし、実はPERには大きな欠点がある事はご存知でしょうか?
PERは有効な指標ですが、絶対的な指標ではありません。
PERのみ見て株を買うかどうか判断するのはあまりにも乱暴なのです。
PERには長所もあれば、短所もあります。
PERの欠点を覚えておく事でより正確に使えるようになるので、どのような欠点があるのかを是非覚えておいてください。

PERの復習

それでは、PERについて復習がてら確認してみましょう。
PERは、株価収益率の事を言います。株価÷1株あたり純利益(EPS)で算出した数字がPERです。例えば株価÷1株あたり純利益(EPS)が20になったとします。その場合、PER20倍という言い方をします。
つまり、現在の株価でその銘柄を買うと考えると、会社の純利益(投資家には純利益から配当が分配されるため、純利益を重視します)の全てが投資家に還元されるとして、何年で投資元本を回収できるか、という事を測る指標がPERという事になります。
この値が高ければそれだけ割高である事を示し、低ければ割安である事を示している事になります。ちなみに、東証1部に上場している企業の平均は、およそ14倍から15倍程度のようです。また、適正な水準は15倍から20倍といわれています。そのため、購入しようと考えている銘柄のPERが15倍を下回れば、簡単に言えば「お買い得」な銘柄という事になります。一方、20倍を超えるようなら割高なので買わないほうがいい、という判断をするべきだという事になります。
しかし、実際にその通りに株を買ったとしても、上手くいかない事も少なくありません。PERを見るだけでは、実際にその銘柄が割安なのかどうか、またその後株価は上昇や下落していくのか、という事を判断するのは無理があるのです。

PERが割安水準でも、株価が下落していくケースもある

株価の動きからPERを考えてみましょう。例えば株価が900円の銘柄があったとします。そして、その時の1株当たり当期純利益が、会社予想で150円だったとします。つまり、PERは6倍ですので、これだけで判断すれば、現在の株価はだいぶ割安な水準であると言えます。

また、この銘柄の株価チャートの動きを確認した時に、すでに高値圏から半額の株価まで下落していたとします。株価だけ見た場合も、「ディスカウント価格で買いやすい」と考えてしまうかもしれません。もちろん、株価は一方向にだけ動くわけではなく、実際には上がったり下がったりを繰り返しながら、上昇や下降トレンドを形成していきます。
さて、その銘柄の直近の高値は1月ほど前で、その時点でのPERを確認したところ、9倍でした。PER9倍というのも、割安な水準であると言えます。しかし、現状でそこから株価が450円下落しています。

PERだけで見れば1か月前にはすでに割安だったのに、どうして株価はそこから下落したのでしょうか。そう不思議に思う人もいるかもしれません。その理由は後で解説しますが、とにかくこの例からは、PERが現時点で割安水準にあっても、今後も株価は下落し続ける可能性がある、という事が言えます。この例でいえば、今のPERは6倍です。かなり割安なのですが、ここが底ではない可能性がある、という事が言えるのです。

こういった銘柄は一つだけではなく、探してみるといくつも見つかります。業績は良好であるにも関わらず、1年ほど下落基調が続いているものもあり、中には5年以上も下落基調が続いている事もあります。

PERでは割高なはずなのに、株価がさらに上がる場合もある

PERでは割高水準にあっても、株価はその後も上昇を続けている銘柄もあります。例えば、株価が1月程前に7,700円で、その時点での当期純利益が会社予想で140円の銘柄があったとします。この銘柄の場合、PERは55倍です。これは、かなり割高な水準にあると言えるでしょう。株価チャートを見るとほとんど株価は右肩上がりとなっていて、多少の上下はあるものの上昇基調にある事がわかります。そこで、1年前の当期純利益を確認したところ、会社予想で120円、株価は5,400円だったとします。つまり、1年前のPERは45倍だったという事になります。PER45倍というのは、かなり割高な水準にあると言えるでしょう。1年前にすでにPERが割高であったにも関わらず、それでも株価は1年で50%も上昇しているのです。

このように、PERは絶対的な指標ではありません。仮に割高であっても、そこからさらに上昇する事もあるのです。このような銘柄もいくつか見られます。そして、どの銘柄も増収増益基調が続いています。PERが割高なまま、株価は中長期的に上昇していくという動きを見せているのです。

これは矛盾なのか?

これらの銘柄の動きは、不可解に思えるかもしれません。「PERが割高なのに、なぜ買う人がいるんだろう?」と疑問に思うかもしれません。しかし、株式投資の世界というのはそもそも、絶対的な指標はありません。矛盾していて当たり前なのです。
ただ、先ほど挙げた例は矛盾したものではなく、なぜこうなっているのかがはっきりと説明できるものです。PERだけに注目していると気づきにくいかもしれません。ですが、PERの計算式を見直してみると、色々と分かる事があります。

PERの計算式を思い出してみましょう。PERは株価÷1株当たり当期純利益(EPS)で算出します。この式出てくる1株当たり当期純利益とは、すでに確定した結果の数字ではありません。あくまでも会社が予想した純利益を用いる事になります。この予想純利益という点が問題で、PERはこの予想された純利益がずっと続く事を想定して計算されているのです。

株価というのは、これまでの業績から予想される将来の業績を見越したうえで、動いていく事になります。しかし、この将来の業績がどうなっていくのかという点は、その企業によって異なるでしょう。

例えば、現在のところは好景気も後押しして業績が良好であっても、この先景気が減速していくに伴って業績が悪化していく事が不安材料となるような銘柄もあれば、景気の良し悪しに関係なく今後も増収増益になる見通しとなっている銘柄もあるでしょう。こうした銘柄ごとの違いによって、株価はPERにおける割高・割安のセオリーとは関係のない動きを見せる事となります。PERはあくまでも1株ごとの当期の予想される純利益が今後も続いていくと仮定した場合の株価の倍率、という形で計算される事となるのです。
その結果、PERが割安であったとしても、さらに株価は下落してしまいます。その反対に、PERが割高であったとしても、さらに株価が上昇する事になるのです。

PERが下がり続ける銘柄の例

PERが低い銘柄であっても、そのまま下がり続けてしまう事があるのですが、具体的にどのようにして下がっていくのかがピンとこない事もあると思います。そこで、具体的にどのような場合であればPERが下がっていくのか、例を挙げながら説明していきます。

現在の株価が700円で、当期の1株当たり予想純利益が100円の銘柄があったとします。PERを計算してみると、7倍になります。PERだけで考えれば、かなり割安であると言えるでしょう。しかし、現在は業績が良好な状態であったとしても、今後は徐々にその業績が悪化していく事が予想されており、およそ2年後に1株当たりの純利益が半分以下の40円ほどになると市場参加者が考えたとします。その時、株価が今と同じ100円のままであればどうなるでしょうか?この時、PERは25倍になっています。つまり、およそ2年後にはむしろ割高になってしまうのです。

また、さらにその先も景気が悪化していくという予測がされていた場合は、その後も1株当たりの純利益がどんどん下がってしまう事が考えられます。そうなると、PERはますます高くなってしまい、割高な状態が続く事になります。それが予想されているからこそ、PERが今は割安な水準であるにも関わらず、なかなか買い手がつかないのです。なぜなら、1株あたり純利益が下がれば下がるほど、投資資金の回収が遅れてしまうからです。このような理由から人気がなくなり、株価は下がっていきます。そしてその結果、PERも下がってしまうのです。

まとめ

PERを参考に、割安株か割高株価を判断しましょう、という説明はよく見ます。ですが、実際にPERだけを参考に銘柄を選んでも、そこからさらに株価が下がっていく事は珍しい事ではありません。
この原因となるのは、現状で予想される当期の1株当たりの純利益だけを参考に考えているからですが、将来的な1株当たりの純利益を予想した結果、株価が下がり続けていく事があるからです。このような銘柄をどうやって避けていけばいいのか、その点については次回紹介していきます。

執筆者:佐藤真奈美より

 はじめまして、当サイトである『投資塾』で記事の執筆を担当させて頂いております、佐藤真奈美と申します。現在、複数の投資関連のメディアサイトに相場予想や投資関連の解説等の記事を寄稿しておりますが、『投資塾』では、株式投資のニュース、経済指標、金融政策等、「市場参加者が、何を見ているか」に重点を置き、株式投資の初心者にも分かりやすいよう、他では知れない情報の提供に努めさせて頂いております。

執筆者:佐藤真奈美について

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