信用取引の長所は一体なに?

株式投資の基本

投資における取引の種類として、現物取引の他に信用取引というものを聞いた事があるでしょうか?
証券会社に証拠金を預ける事で取引できるのですが、投資初心者の中には
「信用取引の仕組みがよく分からない」
「現物取引で十分なのに、信用取引をする長所ってあるの?」
等の疑問を抱いている人も多いでしょう。
信用取引の長所とは、一体何なのかを解説していきます。

信用取引とは

株式投資等で、株の代金が自分の保有する資金で賄えるように株を買い、その株を売って差額を利益とする取引が通常の取引です。資金が100万円なら、その額で買える株を選ぶ事になるでしょう。
しかし、中にはもっと資金があればもっと大きな利益を得られたはずなのに、と悔やむ人もいるでしょう。また、狙い目の株があっても資金が不足していて買う事ができず、チャンスを逃したという人もいると思います。だからといって、資金を一朝一夕に増やす事もできません。
そんな時に利用したいのが、信用取引です。これは、簡単に言うと資金を証券会社に預ける事で、その資金の数倍の金額、あるいはそれに相当する株を借りて、売買する事ができるというものです。
預ける資金の事を、委託保証金、あるいは単に保証金といいます。例えば100万円を証拠金として預ける事で、300万円分の取引をする事ができるのです。この保証金には、現金の他に株券を預ける事もできます。その場合は、株券の額面相当の金額として扱われます。
この信用取引には、様々な長所があります。特に個人投資家にとっては見逃せないものですが、具体的にはどのような点なのでしょうか?

レバレッジを効かせる事ができる

信用取引の大きな長所の1つが、レバレッジを効かせて取引ができるという点です。それによって自己資金の数倍の金額の取引をする事ができるのです。
信用取引におけるレバレッジは、委託保証金の約3.3倍が最大となります。言い方を変えると、取引したい金額の30%ほどの資金があればOKという事になります。例えば、100万円分の株式を取引したい場合でも、最低30万円の資金があれば取引できるという事になります。
もちろん、利益が出た場合はそれをそのまま受け取る事ができます。現物取引では資金不足で取引できない銘柄が取引でき、レバレッジがかけられる分資金効率が上がり、より多くの株数を持てるため、利益を増やす事ができるのです。
信用取引をするには、証券会社に信用取引専用の口座を開設しなくてはいけません。開設する際には証券会社によって基準があり、場合によっては投資経験が数年以上なければ開設できない場合もあります。どうしてこのような基準を設けるのかというと、資金以上の取引ができるため、相場の状況次第では、自分が考えていたよりも大きな損失が出てしまうケースがあるのです。レバレッジがかけられる投資商品は他にも色々とあります。レバレッジがかけられる投資商品は、想定した以上の損失が出てしまうリスクがあることは心に留めておきましょう。

さて、信用取引では、証券会社から資金を借りて行う事になります。その担保となるのが、保証金です。お金を借りて売買する事になるので、返済するまではキャッシングでお金を借りた時と同じように金利が発生します。また、借りた資金は引き出す事はできません。なぜなら、あくまで取引に使うためのお金だからです。つまり、引き出せる金額は自分が預けた保証金と、売買によって得られた利益だけになるのです。
尚、信用取引では、少なくとも30万円の保証金が必要と、法律で定められています。だからと言って、30万円ちょうどで信用取引を始めてしまうと、ほんの少しの損失に耐えられず、取引が続けられなくなります。そうならないためにも、なるべく余裕を持って少なくとも50万円くらいは保証金として預ける事をおすすめします。
ちなみに、証券会社によっては信用取引の保証金がもっと多いところもあります。最低でも50万円必要等、その条件は様々ですので、どれくらいの資金が必要最低額になるのか確認しておきましょう。

空売りができる

信用取引のもう一つの長所といえるのが、空売りができるという点です。信用売りともいわれます。通常、現物取引はまず株を買う所からスタートしなくてはいけないのですが、信用取引では株を売るところからスタートする事も可能なのです。

空売りは、証券会社に保証金を預けるところからスタートします。信用買いでは保証金に3.3倍のレバレッジを効かせた金額を借りて株を買います。ですが、空売りの方は、お金の代わりに株券を借り、それを売ります。借りた株券はいずれ返却しなければならないので、借りた分の株を期日内に買い戻し、返却します。空売りで得られる利益は、株を売って得た金額と、返却のために買い戻した金額の差額分になるのです。
空売りは、主に相場が弱い時…つまり、下降トレンドになっている時に行われます。例えば、株価が1,000円の時に空売りをします。株価が下がって900円になった時に買い戻すと、1株当たり100円の利益を得る事ができます。現物の場合は、取引するためには株を買わなければできないので、相場が下落している時には反転するまで待たなくてはいけません。それを待たずに、取引を始められるため、相場の状況に関わらず取引をする事ができるのです。

どうして空売りできる事が長所なのかというと、下降トレンドの時にも取引可能だからです。相場全体が下がっている時をはじめ、その銘柄固有の理由で下降トレンドに入る時、買い建てしかできないと困ります。なぜなら、取引のチャンスがいつ訪れるか判らないからです。株価が上がっている時も、下がっている時も取引できたらどうでしょうか?株の取引のチャンスは増えますよね。空売りはそれを可能にする方法です。利益獲得の機会が買いのみよりも格段に増えるのが大きな長所であると言えます。

信用取引の短所

長所の多い信用取引ですが、短所も当然のことながらあります。中でも最も注意しなくてはいけない点としては、取引額が大きくなるほど、損失が出た場合に大きな金額となる点です。例えば、先ほどのように30万円の保証金を預けて100万円分の株を買ったとして、その株価が3割下落すると、30万円の損失となるので保証金はすっかりなくなります。現物取引では、株価が0円にならない限りは資金が0円になる事はなく、また間違ってもマイナスになる事はありません。でも、信用取引では、ある程度下落した時点で資金が0円になる恐れがあり、それ以上下がってしまったら、マイナスが発生する恐れもあるのです。
実際には、信用取引をする場合は資金がマイナスとならないように、ある程度の損失が出て資金が一定の割合を下回ったら、強制的にその取引を終わらせるための反対売買注文が出され、自動的に決済されてしまいます。これを、ロスカットといいます。
この割合は、証券会社が各自で決定しています。一定の割合を下回った状態で、そこから再び上昇するはずだからまだ取引を決済したくないという場合には、追加の保証金を入金して一定の割合以上にしなくてはいけません。この追加保証金は、追証ともいわれます。

また、信用取引には2種類あります。一つが制度信用取引、もう一つが一般信用取引です。制度信用取引では、証券取引所が選んだ銘柄が取引できます。保有できる期限は6カ月と決められています。つまり、6か月のうちに決済しなくてはいけません。
一方、一般信用取引は、各証券会社が独自に選んだ銘柄を取引できます。こちらは保有期限はなく、無期限でその銘柄を借りられます。ちなみに、銘柄によっては、信用取引は不可となっているものもあります。信用取引の対象銘柄は一部に限定されているのです。
また、信用買いでは金利、信用売り(空売り)では貸株料がそれぞれかかります。制度信用取引では、金利と貸株料は証券取引所が定めています。そのため、証券会社によらず共通です。なお、金額は一般信用取引よりも低めです。一般信用取引は、証券会社が各自でこれらを決めています。金額はやや高めの事が多いようです。

どんな取引に向いている?

信用取引は自己資金の数倍の金額を取引する事ができ、また市場の状況に合わせて売りと買いのどちらからでも取引を始める事ができるのですが、取引手数料以外にも現物取引には無い金利や貸株料等のコストがかかるので、長期保有は難しいでしょう。
そのため、信用取引はデイトレードでの取引に向いているといえます。デイトレードの場合、取引を決済するまでの期間が短いので金利等のコストもあまり気になるものではなく、資金が多ければそれだけ一度の取引で得られる利益も大きくなります。
現物株の取引では同一銘柄の売買は1日に複数回できないというルールがありますが、信用取引の場合は日計りというルールがあるので複数回の取引も可能となるので、売買の回転を上げて取引する事が可能となります。
また、相場がどちらに動くのか分かりにくいボックス相場といわれる相場は、相場の動きに合わせて細かく売買を繰り返していく事で、利益を得やすくなります。信用取引を始めたばかりの初心者は、まずボックス相場で信用売りに慣れていくと、損をする事も少なく経験を積んでいく事ができるでしょう。

まとめ

現物取引と比較して、信用取引は少ない資金でも取引が可能となり、また相場の状況によってはまず売りから取引をスタートできる等、多くの長所を備えています。特にデイトレードの場合は、信用取引のネックとなる金利等のコストも最小限に抑える事ができ、日計り等のルールを活用する事で通常よりも取引しやすくなるため、信用取引には向いていると言えるでしょう。
長期保有等は難しいかもしれませんが、大きな金額での取引にチャレンジしたい場合は信用取引を試してみてはいかがでしょうか。

執筆者:佐藤真奈美より

 はじめまして、当サイトである『投資塾』で記事の執筆を担当させて頂いております、佐藤真奈美と申します。現在、複数の投資関連のメディアサイトに相場予想や投資関連の解説等の記事を寄稿しておりますが、『投資塾』では、株式投資のニュース、経済指標、金融政策等、「市場参加者が、何を見ているか」に重点を置き、株式投資の初心者にも分かりやすいよう、他では知れない情報の提供に努めさせて頂いております。

執筆者:佐藤真奈美について

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