2つの信用取引とは何か?

株式投資の基本

個人投資家を中心に人気がある信用取引には、実は2つあるのをご存知でしょうか?
「信用取引が出来ない銘柄とのメッセージが取引画面に表示された」
「以前は期限が無かったのに、違う銘柄を選んだら期限があるという表示が取引画面に出た」
という経験をしたことのある投資家もいるのでは?
この違いは何なのか、また2つの信用取引とは何か、今回は開設します。

信用取引には2種類ある

信用取引と一口で言っても、実は2つあります。一つは制度信用取引、もう一つが一般信用取引です。どう違うのか、解説していきます。

どちらを選ぶべき?
制度信用取引と一般信用取引のどちらか選んだ上で信用取引を行う事になりますが、いったいどちらが良いのでしょうか。結論からいうと、基本的には金利や貸株料が安い制度信用取引を優先的に選ぶべきです。ただし、取引をしたい銘柄が制度信用取引であり、且つ信用売りであればその銘柄が貸借銘柄になっているかどうか、確認してみましょう。対象外ならば、一般信用取引を選んでみます。
あるいは、取引の際、「信用売りは出来ません」などのエラーメッセージが表示されるのならば、一般信用取引で行ってみましょう。
このように、一般信用取引を選ぶのは、基本的には制度信用取引が出来ない時です。「空売りをしたい」という時に、貸借銘柄に指定されていなければ、それは出来ません。選択肢がないので一般信用取引を選ばざるを得ないわけです。
なお、制度信用取引と一般信用取引の違いの一つに、一般信用取引では逆日歩がかからない事があります。制度信用取引では逆日歩がかかりますがそれがないのは長所です。この点を利用する事で、配当が出る銘柄の現物株を持っている状態で、権利確定日より前に一般信用取引で売りを出し、権利落ち日に現物株と一緒に一般信用取引の売りも同時決済する事で、配当の権利をリスクなく得る事が出来ます。コストと得られる利益とのバランスが難しいのですが、しっかりと計算すれば黒字になる可能性は十分にあります。

制度信用取引の特徴

信用取引としてメジャーなのが、制度信用取引です。「信用取引」といえば、通常こちらを指します。
制度信用取引では、保証金を証券会社へと預ける事で、その数倍の金額の取引が出来るようになります。いわゆる「レバレッジ」をかけられる状態になるわけですが、資金や株券を証券会社から借りて行う事になります。証券会社が自社で全てを調達出来れば良いのですが、それが難しい事があります。そうなると、証券会社は、資金や株券の不足分を証券金融会社株券から借りてくるのです。投資家が信用建玉を決済したら、証券会社は証券金融会社に対し、借りた資金や株券の清算をします。なお、制度信用取引は最長で6カ月でポジションを決済するのがルールです。現物とは違い、期間限定の取引なのです。

また、制度信用取引では、証券取引所が決めた基準を満たしたものだけが対象銘柄になります。これを、制度信用銘柄といいます。
ただし、制度信用銘柄となっただけで、信用取引がすべて出来るようになるのかというと、決してそうではありません。信用買いは出来ますので、買いポジションからの取引はOKです。でも、これだけでは信用取引の中でも重要な「空売り」が出来ず不十分なのです。

空売りが出来る銘柄にはより厳格な基準が設けられています。それをクリアすれば、貸借銘柄という分類がされるのです。この「お墨付き」をもらい、ようやく空売りが可能になります。とはいえ、制度信用銘柄に選ばれている時点で十分に厳しい基準をクリアしているのです。その為、その内の半分以上は貸借銘柄として選定されています。
実のところ、信用買いの出来ない銘柄は非常に少ないのです。現時点で、東証一部や二部、マザーズ、JASDAQに上場している企業はわずか数件を除いて信用銘柄になっています。それに外国株や投資信託、不動産投資信託等も含めると、4,000近い銘柄が制度信用銘柄に選ばれています。そのうち2,000以上の銘柄が貸借銘柄にもなっています。
なお、信用買いが出来るのに、貸借銘柄ではない為に空売りは出来ない、という事がありますが、それは特段珍しい事ではありません。また、制度信用取引の銘柄は、証券会社による違いはなく、どの証券会社を選んでも同じです。

一般信用取引の特徴

一般信用取引は、6カ月という期限が無く、基本的には期限なしで取引出来る信用取引です。ただし、証券会社によっては3年等の期間を設定している事もあります。ですが、それでも半年という制度信用取引の期限に比べれば、だいぶ長めです。無期限となっている銘柄も多い事から、無期限信用取引とも呼ばれています。

制度信用取引とは違い、対象の銘柄やルールをそれぞれの証券会社が独自で決めています。投資家と証券金融会社との取次をするのではなく、証券会社が各自で投資家と取引します。それぞれの会社が独自で取引を行う事から、制度信用取引と比較して金利や貸株料は若干高めに設定されています。

制度信用取引では、貸借銘柄になっていない制度信用銘柄の場合、空売りは出来ません。でも、一般信用取引の場合は、証券会社が認めていれば、空売りが出来るのです。空売りを認める基準が各々の証券会社である為、制度信用取引では売りのポジションが持てなくても、こちらなら出来た!という事も珍しくないのです。その為、取引の際、ものは試しに一般信用取引を選んでみた結果、空売りがOKだった…という事もあります。

東証一部上場の銘柄に関しては、貸借銘柄は多いです。でも、それ以外の市場では、貸借銘柄は大きく減少してしまいます。空売りしようと思っても、制度信用取引ではそれが出来ずに泣く泣く諦めるほかない事もあるのです。そんな時に助けになるのが一般信用取引で、こちらではポジションが持てる可能性があります。その為、取引の際、「信用売りは出来ません」等のエラーメッセージが出ても、慌てず一般信用取引で試してみる事が大切です。それで出来なければ、その時は空売りを諦めましょう。

信用取引の買い残と売り残

信用取引の際、銘柄情報を見た事がありますか?実はこの中には、「買い残」と「売り残」という項目があります。そして、その横を見てみると、株数が記載されています。これは、信用取引が行われているもののうち、まだ決済されていない状態の株数を示しています。買い残は信用買いの株数、売り残は信用売りの売り数を示しています。
この数値を見ると、信用取引でポジションを持っている投資家が、その銘柄に対し今後どのように推移していくと考えているのか、おおよそですが伺う事が可能です。どういう事かというと、例えば買い残が多ければそれだけ今後株価が上昇していくと、投資家の多くが予想を立てている事になります。反対に、売り残が多ければ、投資家の多くが今後の株価は下落するだろうとの見通している事になるのです。

また、その横には前週比という項目もあり、前の週と比べて買い残や売り残の増減がどれだけあったかが示されています。この数値の推移も、取引の際に参考に出来ます。

さらに、ここから株価変動時の買い圧力や売り圧力についても考える事が出来ます。例えば、信用買いでポジションを建てている場合、いずれは株を売らないといけません。株価が長らく停滞していた場合は、「株価が上がったら、なるべく早く決済してしまいたい」と考える人も増えるので、株価が上昇した際には決済の為に、一気に売りが増える可能性があります。そうなると、せっかく株価が上昇しても、それは一時的なものに留まり、株価は下落に転じてしまいます。その為、買い残が多い銘柄の場合は株価が少し上昇したとしても、慌てて売却するのではなく、株価の推移が多少落ち着いてから改めて売却した方が安全です。売り残の場合も、株価の下落時には買いが増えるので、株価が上昇する可能性が高くなるでしょう。
なお、買い残と売り残は、制度信用取引と一般信用取引を合わせた数値になっています。

まとめ

今回は、制度信用取引と一般信用取引について説明しました。基本的には制度信用取引をメインに使います。ですが、それが出来ないケースもあります。そのような時に、一般信用取引を選ぶと良いでしょう。
特に東証一部に上場の銘柄以外を空売りしたいケースでは、一般信用取引を利用するしかない事も多いでしょう。ただ、一般信用取引は証券会社によって扱っている銘柄に違いがあります。その為、「A社ではこの銘柄が売りから入れたけれど、B社では出来ない」という事もあると覚えておきましょう。

執筆者:佐藤真奈美より

 はじめまして、当サイトである『投資塾』で記事の執筆を担当させて頂いております、佐藤真奈美と申します。現在、複数の投資関連のメディアサイトに相場予想や投資関連の解説等の記事を寄稿しておりますが、『投資塾』では、株式投資のニュース、経済指標、金融政策等、「市場参加者が、何を見ているか」に重点を置き、株式投資の初心者にも分かりやすいよう、他では知れない情報の提供に努めさせて頂いております。

執筆者:佐藤真奈美について

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