ローソン株でみるコンビニ業界の今後

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今では、我々の生活において欠かせないものとなっているコンビニですが、最近はコンビニ業界に不穏な空気が流れつつあります。これまでの在り方の是非を問われ始めたコンビニ業界の今後は、どうなっていくのでしょうか?
コンビニ大手の一角である、ローソン株で今後のコンビニ業界を見ていきましょう。

コンビニの現状

ローソンは、コンビニの中でも店舗数1位のセブンイレブン、2位のファミリーマートと並んで、第3位につけてコンビニ三強の一角といわれています。むしろ、店舗数の伸び具合についてはトップクラスであり、最も勢いがあるといってもいいコンビニです。
そんなコンビニの特徴といえば、24時間営業である点が大きいでしょう。早朝や深夜に、何か必要なものがあった時にはコンビニに行けばいい、という安心感があり、利用したことがある人も多いでしょう。
しかし、今のコンビニでは深夜営業の必要性が問われるようになってきました。自主的に24時間営業を辞めて時短営業を始めた店舗に対して、契約違反だとして契約解除や違約金を請求したセブンイレブンが注目を集めましたが、ローソンにとってもこれは他人ごとではありません。
深夜に営業をする場合、そのための人員が必要になります。しかし、今は深夜に働くアルバイトが足りない店舗が増えているのです。そうなると、その人手不足を埋めるために深夜の時間帯にオーナーが働かなくてはいけません。オーナーは、日中に色々な仕事があるので、深夜に働いて終わりとすることができず、そのまま日中も働かなくてはいけないことが増えてしまうのです。
どうしてもアルバイトを集めたくて、深夜の時給を高くすることもあります。しかし、時給が高くなるということは、その分オーナーの負担が増えるということになります。人件費はオーナーが負担することになるので、その分オーナーの手取り収入は減ってしまうことになるのです。
また、店舗が増得ているとはいっても、出店場所は限られています。新規の地域に店舗を出すとしても、そこで十分な売り上げがあるとは限りません。また、流通面を考えると、なるべく近くに店舗があることが望ましいので、結果として同じ地域に複数の店舗が並ぶことになります。
特に、売り上げがいい店舗の近くには、売り切れや混雑などでお客をこぼさないようにと、店舗を増やすケースが多いのですが、そうなるとお客の数は減ってしまうため、結果的に元々あった店舗の売り上げは落ち込んでしまいます。他のコンビニであれば好みでも別れるでしょうが、同じコンビニがすぐ近くにあるとお互いに身を食い合うようなことにもなりかねません。コンビニの本部としては売り上げが増えるでしょうが、オーナーにとっては収入が減ることになるので、味方から攻撃されているようなものです。
このように、今のコンビニの在り方にはいろいろと問題が生じつつあります。そんなコンビニ業界の今後を、ローソン株の動きを参考にして考えてみましょう。

ローソン株の動き

ローソンの財務がどう変化してきたのか、コンビニが特に発展したこの15年の変化を見てみましょう。
まず、自己資本については1.8倍に増加し、売上も2.6倍に増加、営業利益も1.9倍に増えています。有形固定資産は700億円台だったのですが、現在では3,500億円と5倍に増えています。正社員の人数も、15年前は3,500人でしたが現在では約3倍の1万人ほどに増加しています。そして、店舗数については15年前が約8,000店ほどでしたが、現在では14,000店ほどに増えています。
その一方で、売掛金の回転日数については10日ほどだったのが、30日程度と悪化しています。ここから、投資効率についてはかなり悪化していることがわかります。
店舗数は2倍弱になっていますが、正社員数はそれを上回る3倍弱となっているのは、物流やシステム、生産現場への指導など過去よりも社員が必要となる現場が増えたためでしょう。プライベートブランドの拡充や、物流拠点の整備、製造に関する委託工場などが増えたことで、有形固定資産が大幅に増加しているのも、そのことを示しています。
売上を増やすため、コンビニでは様々なサービスを手掛けるようになりました。店舗内へのATMやコピー機の設置、イートインコーナー、宅配サービス、公共料金をはじめとした料金収納サービスなど、多くのことがコンビニでできるようになっています。その中には、外注に任せなくてはいけない利益率が低いサービスも含まれます。こうしたサービスが増えることで、現場の負担は増えていくのです。
コンビニの店員が対応するサービスの種類は、かなり増えています。レジ任せという見方をする人もいるでしょうが、店員が素早く対応できるようにするにはしっかりとそのサービスを覚えておかなくてはいけないので、決してレジ任せではないのです。
売上を増やす努力をしているのはローソンをはじめとしたコンビニの本部ですが、その負担の多くは現場のオーナーと店員にのしかかってきます。そんなコンビニ業界の今後は、あまり明るいイメージがないと考える人も多いでしょう。
ローソン株は、利益の変動リスクも小さく、予想配当利回りも3%近い優良株ですが、今後はどうなっていくかわかりません。これまでの利益を追求する姿勢が変化すると、かなりの減益になる可能性が高いからです。具体的に、どのくらいの変化が考えられるのでしょうか?

今後のコンビニの変化

現在の在り方に問題があると判断され、行政指導も受けることになった現在は、今まで通りの姿勢を続けていくというのは難しくなってくるでしょう。しかし、改善に伴って必ず利益は落ち込むことになります。
例えば、24時間営業を取りやめて深夜から早朝にかけての6時間ほどを閉店したとしても、深夜営業の売り上げはあまり大きくないので減益は数%程度にとどまるでしょう。しかし、それでも数十億円の減益になると思われます。
また、現状では粗利のうち5割前後、契約内容によって幅はありますが4割から7割を本部へと納めることになっています。粗利が300万円あっても、オーナーの手元に残るのは90万円から180万円で、さらにそこからアルバイトの人件費などを支払わなくてはいけないのです。この点にも見直しが必要と考えられていますが、分配比率も数%変わると本部の利益としては数十億から百億前後の減収となると考えられます。
さらに、大きく増加した社員の今後の昇給や、物流コストの上昇なども影響して、コストも数十億円増えることになるでしょう。そうなると、合計して150億円から200億円程度の減益となる可能性は高いと思われます。
ローソン株の場合、配当性向が高いという特徴があるので、大幅な減益は減配へとつながります。そうなると、先行き不安で株価も落ち込みやすくなるでしょう。
今後、コンビニ業界ではオーナーに一方的な負担を強いるようなあり方は許されなくなってくると思われます。今や生活には欠かせないインフラの一つとなっているコンビニですが、オーナーのなり手がいなくなればいずれ店舗数は減少していくこととなるでしょう。そうならないように、お互いにとって良い形を模索していくことになるでしょう。今では、コンビニでも無人型店舗の実験などが始められています。深夜帯だけでも無人店舗が可能になるなど、前向きな変化に期待しましょう。

まとめ

コンビニ業界では、その問題点が浮き彫りになるような話題も出てきたことで、今後の在り方についていろいろと考えなくてはいけない時期がやってきました。しかし、コンビニ本社としては今まで利益を上げてきたビジネスモデルに急激な方向転換が必要となるため、今まで通りの利益を上げていくのは難しくなるかもしれません。
しかし、オーナーの負担がこれ以上増えると、コンビニオーナーも減っていく一方となるでしょう。今後変化せざるを得ないコンビニ業界がどうなっていくか、注目しましょう。

執筆者:佐藤真奈美より

 はじめまして、当サイトである『投資塾』で記事の執筆を担当させて頂いております、佐藤真奈美と申します。現在、複数の投資関連のメディアサイトに相場予想や投資関連の解説等の記事を寄稿しておりますが、『投資塾』では、株式投資のニュース、経済指標、金融政策等、「市場参加者が、何を見ているか」に重点を置き、株式投資の初心者にも分かりやすいよう、他では知れない情報の提供に努めさせて頂いております。

執筆者:佐藤真奈美について

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