Amazonやソフトバンクにみる、租税回避はどうなのか?

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Amazonもソフトバンクも、知らない人はいないであろう世界的に有名な大企業です。だからこそ、その企業が納める税金も大変な額になるはずなのですが、Amazonとソフトバンクでは租税回避によって、納める税金を減らしています。
これは法にのっとったものではあるのですが、租税回避という行為に対してはどう考えるべきなのでしょうか?

租税回避とは

税金を納めるべき利益があるのに、それを故意に隠すことで課税されないようにすると、脱税になります。売り上げの一部を申告しなかったり、アリもしない経費を捏造したりすることで、所得を本来よりも少なく見せかけるのが脱税です。これはれっきとした犯罪行為であり、延滞税や加算税が課されることになります。悪質だと判断された場合は、刑事罰になることもあり得るのです。
しかし、虚偽の申告をするのではなく、あくまでも税法に則った形で納税額が少なくなるように調整することは、脱税ではなく節税になります。例えば、必要経費を計上することで所得を少なくし、設定されている税控除額を上手に利用して税金を減らすというのは、節税です。所得税は累進課税制度といって、所得額が一定の範囲を超えると段階的に税率が高くなっていくので、必要経費を調整して税率が上がらない範囲に所得を納めるというのも、立派な節税テクニックです。節税については、活発な企業活動に使われる資金を確保するためにも、積極的に行うべきでしょう。
しかし、租税回避というのはこれらと一線を画したものです。租税回避は、税法上で想定されている課税の範囲を超える形で利益を得て、税負担を減少させるということです。つまり、本来なら税金がかかるところを、課税される要件に当てはまらないように動くことで課税を回避するというのが租税回避です。
この租税回避に関しては昔からその是非が問われていて、例えば、通常は財産を贈与する際に一定の金額を超えると、贈与税がかかります。しかし。以前は贈与を受ける受贈者が海外に在住していた場合は、この贈与税の課税対象外と見なされていました。その点を利用して、受贈者を海外へと移住させたうえで多額の財産となる株式を贈与して贈与税の課税を免れたという事例がありました。このときは追徴課税の是非を問うための裁判が行われたのですが、最高裁では租税法律主義に乗っ取って追徴課税は行われない、という判断を下しています。ただし、この点については既に税法が改正されています。
このことから、租税回避自体は違法ではないという判断がされたことが分かります。違法というのは、あくまでも法律に反する行いのことをいうので、そもそも法律で想定されていないことは違法として判断することができないのです。

Amazonが行った租税回避

それでは、Amazonが行った租税回避がどのようなものか、解説します。Amazonはそもそもアメリカの会社ですが、日本にもアマゾンジャパンという日本法人があります。本来であれば、日本で購入された商品は日本での売り上げとなり、課税対象とされます。しかし、Amazonでは日本で購入された商品であっても、クレジットカード決済を行う会社がアイルランドにあることから、国内でのクレジット決済でもアイルランドで購入したという見解を示していました。それに加えて、日本で税金が課せられる条件として活動拠点が国内にあるかどうか、という点があったのですが、Amazonでは日本での事業活動における本拠は全て海外にある、という主張を行って法人税の納税を回避していたのです。これであれば、海外で法人税を支払うだけなので同じことのように思えるのですが、経費の計算などが国によって異なるため、本拠として主張しているアメリカで法人税を納めた方が有利になる、という判断からこのような方法を取っていたのです。
例えば、売り上げが20億円で経費としてエンジニアの人件費が8億円、その他販売管理費として12億円かかっていた場合、営業利益は0円ということになります。これがアメリカの場合、税引前利益がゼロである以上、法人税は基本的にゼロとなります。
しかし、日本で同じような状況であり、エンジニアの人件費が自社ソフトウェアの開発に必要な金額だった場合、この8億円は資産としていったん計上され、その後数年かけて減価償却する必要があるのです。そうなると、例えば1年当たりの減価償却費が1億6千万円と計算された場合、営業利益が6億4千万円あったものとして法人税が課せられることになるのです。
そのため、Amazonでは本拠がアメリカにあるとしていたのですが、Amazonの流通センター内にその機能の一部が置かれていたためこれが法人税法などにおける恒久的施設に当たるとして、140送園の追徴課税を行いました。最終的には、追徴課税自体は認められたものの金額は大幅に減額されることとなりました。
消費税に関しても租税回避を行っていたのですが、こちらも同じく納税義務が課されています。

ソフトバンクが行った租税回避

ソフトバンクの租税回避は、まず2016年に指摘されたのが租税回避地にあった子会社に関する分です。2013年から2014年にかけて買収した米国企業の子会社が、タックスヘイブンといわれる租税回避地のバミューダ諸島にあり、事業目的で支出している保険料の一部がその子会社へと入金される仕組みによって利益を上げさせていました。シンガポールにも同様に子会社があり、こちらは中古携帯端末の取引による利益が入るようになっています。
しかし、これらの子会社には実質的な事業活動が見られないとして、租税回避のためのペーパー会社と見なしてタックスヘイブン対策税制の対象となり、その利益をソフトバンクグループの所得と合算するべきだとして、939億円が申告漏れだったとして37億円を追徴課税されることになったのです。
しかし、その後2018年の決算で1兆円を超える利益があったにも関わらず、ソフトバンクグループは法人税を日本に納めていないことが分かりました。2016年に3兆3千億円で買収したイギリスの企業を2018年にグループ内の別会社に現物出資として譲渡しており、その際の時価評価額が取得価額よりも低くなっている事から1兆4千億円の欠損金が出たという計算をして、租税回避したのです。ただ、実際にはグループ内の移管でしかないので、実質的な欠損金は生じていないので損にはなっていないのです。

租税回避は果たして正しいのか?

企業として活動する以上、利益を求めるのは正しい姿勢です。そのために、節税をしていくのは当然のことでもあり、むしろ節税に努めないのは企業としての義務を放棄しているともいえるでしょう。しかし、過剰なまでに納税を避けようとする租税回避は、果たして正しい行為なのでしょうか?
節税は、法律に定められている権利を行使するものですが、租税回避は法律に定められてないからといって税金を納める義務を避ける行為です。これは、確かにそのことを想定していない法律にも問題があるのかもしれませんが、健全な企業経営とはとうてい言えない行為だと思います。
企業が利益を上げて、その一部を納税し、その税金が国全体の利益となるように使われていくのが、税金の正しい姿でしょう。その枠組みから外れる形で利益を増やそうとする租税回避は、本当に正しいことなのか、もう一度よく考えてみましょう。

まとめ

Amazonとソフトバンク、この世界的に有名な企業である2社が租税回避を行うと、本来納税されるべき税金が大幅に少なくなります。確かに、企業としては利益を追い求めるのが正しいのですが、法に則るのではなく法の抜け道を利用する租税回避は、やりすぎの感が否めません。
節税がセーフで脱税がアウトと考えると、租税回避というのはグレーゾーンの行動だと思います。現代の社会は企業が礎となって、その利益から支払われる税金が大きな役割を担っているのですから、過剰な税金逃れのための租税回避は避けるべきでしょう。

執筆者:佐藤真奈美より

 はじめまして、当サイトである『投資塾』で記事の執筆を担当させて頂いております、佐藤真奈美と申します。現在、複数の投資関連のメディアサイトに相場予想や投資関連の解説等の記事を寄稿しておりますが、『投資塾』では、株式投資のニュース、経済指標、金融政策等、「市場参加者が、何を見ているか」に重点を置き、株式投資の初心者にも分かりやすいよう、他では知れない情報の提供に努めさせて頂いております。

執筆者:佐藤真奈美について

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