アノマリー投資の具体例

株式投資の基本

投資の世界では、アノマリーというものが重視されることがあります。理論立てて説明できないものの、確かに起こっている事象や法則のことであり、いわば経験則ともいうべきものですが、投資においては決して軽視できるものではなく、むしろその事例に沿って投資することは少なくありません。今回は、アノマリー投資の具体的な例について解説します。

相場の動きを示すアノマリー

アノマリーの中には、相場の動きを示唆するようなものも少なくありません。その示唆に従って投資をするのも、アノマリー投資の一環です。どのようなアノマリーがあるのか、具体的に解説します。
近年注目されているのが、逆イールドといわれる事象です。これは、通常であれば3カ月物利回りのような短期金利と、10年債利回りのような長期金利の水準を比較した際は長期金利の方が高い水準となるのですが、それが逆転して長期金利の水準が短期金利の水準を下回るという現象を指します。この現象が起こった場合は、その後景気が後退するといわれています。実際に、過去の金利の動きを見ると、逆イールドは景気後退に先行して生じている様子を見て取れます。
一般的に、金融機関は預金などの短期の借入を元手にして長期の貸付を行うことで利ザヤを稼いでいるのですが、逆イールドになるとその金利の状態が逆転してしまい、金利がマイナス状態になってしまいます。そうなると、金融機関では貸し渋りが起こり、企業の設備投資なども手控えることになります。そのため、経済活動が停滞して景気が後退すると考えられるのですが、確かな根拠がないのでアノマリーとして考えられています。
ただし、この逆イールドが生じた後の株価の動きに注目すると、景気後退が実際に起こるまでの間に株価は20%から30%程度上昇しています。また、逆イールドが発生したからといってすぐに景気が後退するのではなく、1年半から2年半ほどの猶予があります。そのため、逆イールドが生じたからといってすぐに株価が下がると考えるのではなく、過去の局面から冷静に投資判断を行いましょう。
また、米国株については大統領選挙前年に上昇する割合が高いため、これもアノマリーの一環と考えられています。この要因としては、米国の大統領選挙前には選挙活動の準備が活発になり、票の獲得を意識して景気刺激策などのマニフェストが掲げられるため、その内容に期待した投資家によって株価が上昇すると考えられます。

売買時期を示すアノマリー

アノマリー投資では、売買時期を示しているものもあります。これは、投資の格言としてもよく知られている「5月に売れ」というアノマリーが代表的です。この言葉はアメリカで生じたものですが、実際に過去30年間の5月の日本の日経平均株価とアメリカのNYダウ平均の動きを見ると、過去30年で日本では16回、アメリカでは20回上昇しているため、あまり当てはまっているようには思えません。しかし、実はこの言葉には続きがあるのです。
正確には、「5月に売って去り、9月中旬のセントレジャー・ステークスの日まで待て」が正しいと言われています。実際に、過去30年でこの言葉通り9月末に株を買い、4月末に売ったとシミュレーションした場合、日経平均株価では17回、NYダウでは27回上昇しているということが分かります。
また、配当アノマリー投資というものもあります。これは、安定した投資収益を得られる方法として短期筋のヘッジファンドなどでも採用している投資手法です。
内容としてはシンプルで、3月後半に配当の権利付き最終日が近づくと、高配当株や優待銘柄の株価が高くなるため、それを先回りしておこうというものです。その際に、いつ売ればいいのか、いつ買えばいいのかという点をアノマリーに従って決定しています。
実際に、過去5年間の高配当株の動きを見ると、権利落ち日の17営業日前から株価が上昇し始めていて、特に10営業日前からは安定した上昇を見せています。その後、権利落ち日になると急激に売られ、10営業日ほどは軟調な展開になっています。ということは、権利落ち日の17営業日前に高配当株を買い、権利付き最終日かその前日に株を売ることで、値上がり益を狙えるということになるのです。
この方法は、中小型株の方が高い効果を発揮します。中小型株の場合は、機関投資家の影響を受けにくく、企業側でも魅力的な優待内容を提示することが多いので、個人投資家から人気があるのです。配当利回りだけではなく、人気の優待銘柄にも目を向けることでさらに利益を狙うことができるでしょう。
高配当株や人気の優待銘柄は、権利付き最終日が近づくと株価が上昇し、権利落ち日が過ぎると値下がりするというのは、投資家の間で広く知られています。しかし、その何日前に買っていつ売るのが最も効果的かというのは、これまでの値動きから判断する必要があります。そのため、確かな根拠があるものではなくあくまでもアノマリーになるのです。

アノマリー投資法の活用法

アノマリー投資法を活用して、短期で利益を得ようと考えた場合は1月効果というアノマリーを狙いましょう。株式相場では、12月末に税金対策として損失を確定し、節税するための売りの動きが活発になります。その反動で、1月には他の月よりも上昇する傾向が見られます。特に、機関投資家は国内企業の決算が本格化する1月末から本腰を入れて投資するようになるので、1月は個人投資家が中心となって市場を動かします。そのため、大型株よりも小型株のほうが良く動くようになります。
この1月効果を利用して、年末に売られ過ぎた小型株を中心として仕込みを入れておくといいでしょう。その際は、リスク分散のために複数銘柄へと分散投資することを忘れないようにしましょう。
他にも、半年投資法という有名な投資方法もあります。これは、10月に仕込みを始めた際の成績が他の月と比較してかなりいいというデータに基づいて、10月末に買って4月末に売るというものです。これは、先ほども解説した「5月に売れ」というアノマリーに近いものですが、若干時期のずれがあります。半年投資法の場合は、10月中にこれまで推移していた株価水準よりも割安になった銘柄をチェックして、売買が活発になる5月を境にして4月末で売ってしまいます。翌年のテーマを加味して銘柄を選ぶことで、より効果的な投資が可能となります。もちろん、半年経過する前に利益確定のため売ってしまっても問題はありません。
米国の大統領選挙が近づくと株価が高くなるというアノマリーがありますが、これは日本の総選挙でも通用するアノマリーです。実際に、衆議院の解散総選挙が行われる際は、解散から選挙日の間に株価は上昇する傾向があります。
日本では、3年おきに半数改選の衆議院選挙があるので、選挙前になると与党が人気取りのための政策を打ち出したり、景気対策を実施したりすることが多いので、株式相場にも影響を及ぼすと思われます。
また、米国の選挙がある時は、日本株にもその影響が及ぶことがあります。日本の選挙だけではなく、米国の大統領選の時にも日本株の動きをチェックしておきましょう。

まとめ

明確な根拠がないということで、アノマリーはあまりあてにしないという投資家もいるのですが、経験則に基づいたアノマリーは決して無視できるものではないので、アノマリー投資がどれだけの効果があるのか、自分で確かめてみましょう。
ただし、アノマリーの中には日本の市場ではなく、米国市場のものも含まれています。共通して通用するものと、米国でしか通用しないものがあるため、しっかりと確認しましょう。

執筆者:佐藤真奈美より

 はじめまして、当サイトである『投資塾』で記事の執筆を担当させて頂いております、佐藤真奈美と申します。現在、複数の投資関連のメディアサイトに相場予想や投資関連の解説等の記事を寄稿しておりますが、『投資塾』では、株式投資のニュース、経済指標、金融政策等、「市場参加者が、何を見ているか」に重点を置き、株式投資の初心者にも分かりやすいよう、他では知れない情報の提供に努めさせて頂いております。

執筆者:佐藤真奈美について

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