ユーロ円の影響を受ける欧州売上比率の高い銘柄について

株式投資の基本

近年、欧州ではイギリスのEU離脱やイタリア・スペインの剤線、ドイツの政治的問題など、様々な出来事が起こっています。それに伴って、ユーロ円の為替相場も大きな動きを見せているのですが、これは株式投資をするにあたって無関係ではありません。
欧州売上比率が高い銘柄は、ユーロ円の影響を大きく受けることになります。そういった銘柄に投資する際の、注意点などを紹介します。

海外の政治動向と海外売上比率

基本的に、海外売上比率が高い企業というのは、売上比率が高い国の政治動向などの影響を受けやすくなります。それは、外国為替市場が政治動向の影響を強く受けることになるからです。
外国為替というと、FXを思い浮かべる人が多いでしょう。株式投資をしている人の中には、FXも同時に行っている人も少なくありません。しかし、株式投資しかしていない場合、外国為替は関係ない、と思いがちです。しかし、外国為替の変動は株式投資にも大きな影響を及ぼすのです。
政情が不安定となった国の通貨は、売る人が増えるため価値が下がり、円高になっていきます。ユーロでいうと、これまで1ユーロ140円だったのが130円になるなど、1ユーロあたりの価値が下がっていくのです。それはつまり、これまで海外での売り上げが1万ユーロあたり日本円で140万円だったのが、130万円に減ってしまうということです。
しかし、その国の人にとってはあくまでも1ユーロは1ユーロです。円高になったからといって値上げしてしまうと、今度は売れる数が少なくなるでしょう。そのため、どちらにしても売上高は減少する可能性が高いのです。
しかし、反対に円安となった時はチャンスです。1ユーロが140円から150円になった場合は、それだけ売上高が増えることになります。海外売上比率が低ければ、それほど影響はないでしょう。しかし、売上比率が高ければ高いほど、その影響も大きくなるのです。
海外の売上比率が高い企業というのは、少なくありません。株式投資であっても、外国為替の影響を受けないということはないのです。

影響を及ぼしやすいユーロ圏の動向

ユーロは、欧州の多くの国で使われている統一通貨です。それはつまり、欧州の各国の影響を受けやすい、ということです。その中でも、特に影響を受けやすいのがイタリアやスペイン、フランス、ドイツなどの経済規模が大きい国の動向です。イタリアやドイツでは、経済的に不安定な動きがあったためにユーロもその影響を強く受けていました。
イタリアは、ユーロ圏で第3位の経済規模を持つ国です。2018年3月に総選挙が行われて以降は、政局の混乱が続いていました。その影響で、5月末にはヨーロッパだけではなくアジアやアメリカなど、各地域で金融市場が全面安になっています。この混乱によって、イタリアの国債は売りが増えました。その結果として、国債利回りが近年まれに見る高水準となりました。
また、金融市場の影響は各国の株式市場にも及んでいます。イギリスやドイツなど、ユーロ圏の株価指数は1%以上の下げ幅となり、米国でもNYダウ平均が1.58%、日本では日経平均株価が1.52%の下げ幅を記録し、世界同時格安といわれる事態になりました。
これは、イタリアがユーロから離脱する可能性を金融市場が織り込んだことで起こりました。スペインでも同様に政局の混乱が起こっていたことで、かつての財政危機も連想されたことも原因でしょう。ただし、かつてのギリシャショックのように欧州全体の金融市場がパニックとなるような事態にはなりませんでした。
イタリアの国債が売られて利回りが上昇した陰では、不ラスやドイツの国債が買われ、利回りが低下しています。ユーロは急落したものの、これは一時的な反応であり、これまでのユーロ高が調整されたと考えることもできるのです。
欧州で、ドイツなど経済規模が大きな国で第1党が再選するなど、政治的に安定しているところが見られた場合は、ユーロが買われやすくなります。複数の国で使われているため、変動する原因も多くなり、そのサイクルも短くなるのです。そのため、地政学リスクは押さえておくべき点ではありますが、それ以上に企業業績の動向に注目するべきでしょう。
過去の世界株式指数をみると、地政学リスクは世界株式指数の下落に大きくつながらないことがわかります。それよりも、世界株式指数の下落につながっているのが、リーマンショックやベア・スターンズショック、ドットコムバブル崩壊のような、バブルの崩壊です。
地政学リスクばかりに目を向けるのではなく、足元の企業業績の動向を重視するようにしましょう。

欧州売上比率の高い企業は?

欧州売上比率が高い企業には、どのようなものがあるのでしょうか?代表的な企業を紹介します。
欧州関連銘柄として有名な電動工具のマキタ(6586)は、2017年の欧州売上高比率が40.77%と大きく、業績予想では1ユーロ128円という、当時の実勢価格よりも8円の円高水準で設定していました。株価は年初と比較して10%程度上昇しています。
工作機械を手掛けるDMG森精(6141)も31.67%と大きな欧州売上高比率になっていて、ユーロの想定レートは125.90円としていました。株価の上昇率は年初来11%となっています。
老舗の電気機器メーカーであるコニカミノルタは、事業全体の56%を占めるオフィス事業のうち、欧州売上高が40%を占めています。想定しているユーロのレートは125円で、およそ7億円が為替の変動の影響を受けると考えられています。
日本板硝子(5202)は、事業全体の52%を占める自動車用ガラス事業のうち、欧州売上高が45%を占めています。全体の売上高のうち、欧州売上高比率が40%と大きな割り合う意を占めているため、こちらの為替の影響を受けやすいでしょう。
旭硝子(5201)の場合は、事業全体の50%を占めるガラス事業のうち、欧州売上高は42%です。しかし、全体売上高のうち欧州売上高比率は23%なので、影響は大きいのですが日本板硝子よりは影響を受けにくいでしょう。
キヤノン(7751)やリコー(7752)、オリンパス(7733)なども欧州売上高比率は大きく、それぞれ全体の25%前後となっています。他にもNTN(6472)やミネベアミツミ(6479)、エプソン(6724)、ソニー(6758)なども欧州売上高比率が高い企業です。
自動車メーカーは、海外売上高比率が高い企業ですが、その中でもマツダ(7261)は特に欧州売上高比率が高く、全体売上高の20%を占めています。
代表的な企業名を挙げてきましたが、これ以外にも欧州売上高比率が高い企業は数多くあります。会社四季報を見ると、海外売上高比率が何%なのかが書かれているので、海外売上高比率が高い企業に投資する際は、どの国の売上高比率が高いのかをチェックしてみましょう。そして、外国為替市場もチェックして、関係する通貨の為替レートの変動にも目を向けてみましょう。

まとめ

日本の企業であっても、欧州売上高比率が高い企業は少なくありません。その場合は、欧州が売り上げの中心となることもあるので、ユーロの為替レートの変動が売上高に大きな影響を及ぼすこともあり得るのです。
株式投資をしていると、外国為替市場はあまり関係のないものと思うかもしれませんが、企業の海外売上高比率によっては大きな影響を受けることもあります。投資する銘柄をチェックする際には、海外売上高比率もチェックして、為替レートの変動にも目を向けてみましょう。

執筆者:佐藤真奈美より

 はじめまして、当サイトである『投資塾』で記事の執筆を担当させて頂いております、佐藤真奈美と申します。現在、複数の投資関連のメディアサイトに相場予想や投資関連の解説等の記事を寄稿しておりますが、『投資塾』では、株式投資のニュース、経済指標、金融政策等、「市場参加者が、何を見ているか」に重点を置き、株式投資の初心者にも分かりやすいよう、他では知れない情報の提供に努めさせて頂いております。

執筆者:佐藤真奈美について

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