株価の暴落や暴騰を引き起こすHFT

株式投資の基本

HFTという取引方法をご存知でしょうか?株式相場は、時折数分の間に乱高下することもありますが、その原因はHFTだといわれています。このHFTとは、どのようなものなのでしょうか?
また、HFTが及ぼす影響に対して個人投資家が取れる予防策などには、どのようなものがあるでしょうか?

HFTとは?

HFTというのは、High Frequency Tradingの頭文字を繋げたもので、日本語にすると高頻度取引という意味になります。100%儲かる取引ともいわれていて、特に海外の取引業者が利用しています。
通信システムを最適化し、高機能の演算能力を持つコンピューターを利用することで、取引執行にかかる時間を可能な限り削減することで、個人では太刀打ちできないようなスピードで取引を行い、利益を出しています。売買を行う時間単位は、10億分の1秒であるnano秒単位とされています。自動的に判断するアルゴリズムが、このスピードで取引を繰り返し、世界中の市場を舞台に24時間売買を繰り返しているのです。
その取引方法は、小口の注文でわずかな価格差によって利益を得ていき、それを短時間で繰り返すことで利益を積み重ねていきます。しかし、テロの発生やVIPの死亡といったネガティブワードが一定以上に拡散した場合は、売りのアルゴリズムがそれを感知して実行し、株価が急に下落することもあります。こうしたアルゴリズムによって相場が一定以上の動きを見せると、また別のアルゴリズムが動いて自動的に売買を行います。その結果、世界中の市場にその動きが連動して適正価格から離れ、乱高下することがあります。この現象をフラッシュクラッシュといい、HFTに対して投資家が最も警戒する点でもあります。
HFTは、しばしば相場の乱高下を引き起こす犯人として扱われます。しかし、平時は時間差による市場のゆがみや情報格差を縮め、価格変動の幅を小さくするともいわれています。そのため、問題ばかりではなく利点もあると考えられているのです。
日本株の売買は、外国人投資家が半数以上を占めているといわれています。そして、現在はその外国人投資家の多くがHFT取引を実施しているといわれています。また、日本の株式市場の中心である東京証券取引所では、ArrowHeadという取引システムを採用してHFT取引業者を積極的に誘致しています。2017年には、高速取引に関する規制が定められており、2019年11月には新たな取引ルールを定めることで、HFTに対応した株式市場へとシフトしようとしています。
新たな取引ルールは、いずれかの銘柄が上下を問わず急変動した際には、値動きを制限するというものです。元々、株価の急変時には株価の変動を1分間は一定の値幅に抑えるという制度があります。しかし、その際に反対注文が多ければ、制限されている値幅を超えて取引することができるという例外措置がありました。この例外措置をなくするのが、今回の改正点です。
また、取引終了時の値幅についても変更されています。これまで、終値は直前の値幅から1.5%~3%の幅と定められていたのですが、この値幅を3%~6%の間に広げています。これは、ニューヨーク証券取引所で10%以内、ロンドン証券取引所で3%~5%と定められているので、それらに近くなるようにしたともいえます。
日本では、HFTを忌避する動きはありません。しかし、その影響は確かに大きいので、個人投資家は自分でできる限りの予防策を練っておく必要があるでしょう。

個人投資家ができる予防策

個人投資家が、HFTによる相場の乱高下が起きた時に備える場合、どのような方法があるでしょうか?可能な予防策について考えてみましょう。
まず、株を保有している場合は常に売り指値を入れておくといいでしょう。そうすれば、どのようなタイミングで乱高下が発生したとしても売買注文が成り立ち、自動的に利益確定や損切りができるので、安心です。
また、投資信託を購入している場合、非上場のものだと指値が使えず、終値でしか取引ができません。そうなると、投資信託のポートフォリオで乱高下に巻き込まれる企業が出た場合、損切りなどのために売り飛ばしたくてもすぐには手放せません。そうならないように、投資信託は上場しているETFなどで投資するのがおすすめです。その際は、投資したい投資信託のポートフォリオと同じ、あるいは非常に似ているETFを探して投資したほうがデメリットは少なくなるでしょう。
フラッシュクラッシュが発生してしまった場合は、まず底を見極めるために一呼吸置きましょう。そして、価格以外にも様々な指標等を確認した上で、底の付近を判断して投資するといいでしょう。

HFTについて

2018年の株式投資において、外国人投資家は日本株を5兆7400億円も売り越したといわれています。これは、年間の売り越し額としては31年ぶりになる大きさです。株価先物指数と合計すると13兆2600億円にもなるといわれていて、アベノミクスがはじまった2013年からの外国人が投資した累計金額をほぼ帳消しにする額です。
海外勢の中でも、日本株の筆頭株主といえるのが米国です。しかし、国・地域別に見た場合は1位がイギリスで、2位にはフランスが続いています。ただし、イギリスもフランスも基本的に買い越しとなっているので、今回の件には当てはまらないでしょう。
では、誰が売ってこのようなことになっているのかというと、HFTではないかという疑いが出ています。HFTは、売り注文と買い注文の価格差を利益の源泉としているため、そのモットーは薄利多売買いです。例えば、1回の株価の変動が0.1円でも取引を行い、それを積み重ねていくという方法です。これを繰り返していくと、HFT全体で見た売却額と買付額の差額となる売り越し金額の増加へとつながるのではないか、といわれているのです。
財務省データによると、昨年恒常的に売り越しとなっていたのはシンガポールや香港です。金融庁に登録されているHFTは、2018年10月の時点で10社あり、その中には香港に本店所在地があるのが1社、シンガポールにあるのが4社となっています。また、オーストラリアの3社という数字も目立ちます。
株式売買全体の中で、HFTが占める割合はおよそ半数といわれていて、昨年の売り越し金額のうち2割ほどは、HFTの利益となっている可能性があります。外国人の巨額売りについては、HFTに原因があるとは言い切れません。しかし、無関係ということはないでしょう。今後、主要な企業の決算発表や金融政策の変更など、重要なイベントが起こる際にはHFTによる相場の急変が起こる頻度も増すでしょう。しかし、個人投資家がHFTに従って売買をするというのは、高速での取引ができないため危険が伴うでしょう。それよりも、長期的な投資に対してさらに注力したほうがいいでしょう。
HFTは、違反ではないものの相場への影響が強いため、自分が使わないからといって無視せず、しっかりと対処方法を考えましょう。

まとめ

主に外国人投資家が利用している、高速での取引を繰り返すHFTは、相場の乱高下などを引き起こすこともあります。それに巻き込まれないように、個人投資家はあらかじめ予防策を取っておいた方がいいでしょう。
また2018年の株式相場において、大きな額の売り越しがあったこともHFTに原因があると考えられています。HFTについて、正しく学び適切な対処ができるようにしておきましょう。

執筆者:佐藤真奈美より

 はじめまして、当サイトである『投資塾』で記事の執筆を担当させて頂いております、佐藤真奈美と申します。現在、複数の投資関連のメディアサイトに相場予想や投資関連の解説等の記事を寄稿しておりますが、『投資塾』では、株式投資のニュース、経済指標、金融政策等、「市場参加者が、何を見ているか」に重点を置き、株式投資の初心者にも分かりやすいよう、他では知れない情報の提供に努めさせて頂いております。

執筆者:佐藤真奈美について

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