日本の株式市場に大きな影響を与える外国人投資家について

株式投資の基本

日本の株式市場の主役は誰でしょうか?「そりゃ、日本なんだから、日本人だろう」と思う人も多いかもしれません。実は、違います。日本株には、日本人よりも外国人の方が投資しています。つまり、割合としては、日本人よりも外国人投資家の方が多い、ということになるのです。彼らが日本の株式市場に与える影響は無視できないと言えるでしょう。
投資をする際はその点についてどう考えるべきでしょうか?

外国人投資家の存在

冒頭でも書いたとおり、日本株へ投資する外国人投資家は多いです。日本人よりも多くなっています。日本株への投資の6割以上は、海外のファンドをはじめとした外国人投資家だと言われています。彼らが日本の株式市場に与える影響は大きいため、日本株への投資であっても外国人投資家の動きを見極める必要があるでしょう。
ちなみに、外国人投資家とはいっても、文字通り外国人というわけではありません。つまり、国籍で区別しているわけではありません。基準となるのは、注文がどこから出されているか、という点です。例えば、米国在住の日本人が、米国から注文を出した場合は外国人投資家ということになります。要するに、拠点として海外の住所が登録されていれば、外国人投資家となるわけです。
個人のみならず、機関投資家であっても同様です。日本の機関投資家が、海外の投資顧問会社に資金を預けているケースに関しても、外国人投資家とみなされます。
しかし、大半の外国人投資家は純然たる海外マネーです。長期保有をしている投資家も多く、さらにヘッジファンドや自動売買プログラムなどコンピューターによる高頻度の取引も含まれています。その一部には日本人の投資家も含まれていて、外国人投資家と一口でいっても内訳は様々です。そのため、投資手法や参加者は多彩だと言えます。
東京証券取引所では、毎週第4営業日に投資部門別売買動向というものを公表しています。これは、前週分の売買動向を投資家の分類別にまとめたものです。内容を見ると、細かく分類されています。分類項目には、投資信託、企業法人、金融機関、個人、外国人投資家というように分けられています。さらに細かく分けられている分類もあります。
また、東京証券取引所では、年に1度、株式分布状況調査を公開しています。その割合は徐々に高まり、2018年は約30%となっています。

外国人投資家の投資傾向

外国人投資家は好んで大型株を取引する傾向にあります。中でも、時価総額の大きな銘柄は彼らの取引量が多いと考えてよいでしょう。
日本の企業には、製造業が多い傾向があります。世界景気が良くなると、景気循環の観点から業績の拡大を期待した外国人投資家が日本の製造業を中心とした株を買う割合が増える傾向があります。その中でも特に注目されるのが、東証1部企業の中でも時価総額や流動性が高い銘柄を選んでいるTOPIX Core30の構成企業のように、時価総額の大きい企業です。これらの企業は、各業種の中でも特に日本を代表する企業ばかりなので、日本人投資家はもちろんのこと、外国人投資家からも注目を集めます。
また、外国人投資家は鉱業の株を保有する割合が高いです。その原因は、時価総額が大きく、かつ、国際石油開発帝石株の外国人保有比率が高いためです。他に、2018年中は精密機器、医薬品、保険、電気機器などを好んで取引していたようです。ここに挙げた銘柄は、元々外国人投資家の保有比率が高い傾向にあります。例えば医薬品の場合は、その経営に対する外国人投資家からの評価が高かったり、外国企業の子会社になっていたりということが、保有比率の高い理由です。一方、水産・農林やパルプ・紙といった業種は外国人投資家の保有割合が低いです。基本的に内需安定型の業種については、彼らは好んで売買しません。なぜなら、安定している一方で、成長率が低いからです。
このように、外国人投資家が好む日本株には傾向があります。ただし、彼らに人気の業種だからといって、今後も人気が続くのかというと決してそうではありません。すでに書いたとおり、彼らは時価総額の大きな銘柄を好んで取引します。そのため、海外の主要な株式市場と日本の株式市場の時価総額とを比べた時に、海外の方が時価総額が高ければ、日本株を積極的に取引しようとはしなくなります。元々、伝統的な日本企業の経営スタイルに懐疑的で、さらには、日本の株式市場で時価総額の大きな企業は顔ぶれがさほど変わりません。彼らにとっては面白みがないだけでなく、日本経済は悪い意味で何ら変わらないという評価につながっています。そのため、外国人投資家の中で日本株を専門に投資する投資家は減少傾向にあり、多くは日本だけではなくアジア全体の株、もしくはグローバル投資の専門家が増えつつあります。そして、下げ基調が続いている中国株への売りヘッジを、流動性の高さから東京市場の先物で行う、ということもあります。中国の株安が日本の株式市場にも影響するというのは、このようなことがあるからともいわれています。

このように、海外投資家からの評価が低い日本株ですが、もちろん、日本企業も手をこまねいているわけではありません。現在の安倍政権では、日本企業の稼ぐ力を取り戻すことを目標にしています。そして、アベノミクスの第三の矢としてのコーポレートガバナンス改革を進め、経済産業省が2014年8月に好評した伊藤レポートで提言された「ROE8%の達成」を多くの上場企業が意識し、自社株買いをはじめとした株主還元策を行い、外国人投資家からの評価を高めようと努力しているのです。とはいえ、ROEに関しては、まだ道半ばでしょう。外国人投資家はROEが2桁ないと興味を示しません。今後、さらなる株主還元が日本企業には求められると考えられます。

さて、外国人投資家の中でも、特に中長期にわたって投資をする機関投資家の場合、日本株への投資であっても為替ヘッジをかけていないことが多く、投資成果に関してはドルベースで評価しています。そこで注目したいのが、ドル建ての日経平均株価です。日経平均株価をドル建てで見ると、日本円ベースの時とは異なる動きを見せる場合があります。例えば、日経平均株価が数十年ぶりに高値を更新したという時でも、ドル建てではその前の高値の方が高い、ということもあり得るのです。日本円ではなく、ドルベースで取引する外国人投資家が多いことを考慮すると、日経平均株価は円だけでなく、ドルベースの方の動きも考えた方が良いと言えます。

相場を見通すには

株式市場において、最大の割合を占めている外国人投資家の動向は、無視できるものではありません。しっかりと把握しておかなくては、相場が思わぬ動きをする事も増えていくでしょう。特に、買い越しや売り越しが大幅に出た場合は、数週間にわたって影響が持続することもあるため、相場の動向を見通すための材料となるでしょう。
ただし、個人投資家が外国人投資家の投資傾向や内容を見ることができるのは、東京証券取引所から発行されている投資部門別売買動向です。その内容はリアルタイムではなく、あくまでも前週分のデータであることを忘れないようにしましょう。
外国人投資家の動向を知るためには、日本株への投資であっても海外のニュースをチェックする必要があります。米国に関してのニュースが特に重要ですが、それ以外にもヨーロッパやアジアなど、ヘッジファンドの投資割合が大きい国のニュースは把握しておくべきでしょう。そのニュースが日本株にどのような影響を及ぼすのかについては、過去の似たような局面での動きを参考にしてみると良いでしょう。
また、外国人投資家は中小型株への投資はあまり行わないと言われています。彼らの影響を避けて取引したい場合は、中小型株への投資を中心に考えてみてもいいでしょう。しかし、全く影響を受けないという訳でもないので、やはり主要な海外ニュースはチェックしておいたほうがいいでしょう。

まとめ

日本株への投資は日本人が多いように思えるかもしれませんが、実は外国人投資家の割合が多いです。特に時価総額の大きな大型株を取引する場合は、彼らの影響があることを念頭において取引した方が賢明です。
また、日経平均株価に連動しやすい銘柄や、日経平均先物を取引する人は、ドルベースの日経平均株価にも注目しましょう。日本人は、つい、円ベースで株価指数を見てしまいますが、実は多くの外国人が取引しているのだと思えば、円だけで考えるわけにはいきません。
なお、本文には書きませんでしたが、外国人投資家が日本株を売買する際には、季節的な傾向があることを補足します。基本的に彼らは4月は買い越し、8月から9月にかけて売り越す傾向が強いです。理由としては色々あるのでしょうが、1月は海外株が強くなる、4月以降に日本企業の本決算が発表され、上方修正が期待できるといった理由が考えられます。8月、9月の売り越しに関しては、どういうわけかこの時期は世界的にも相場の地合いが悪く、日本株もその影響を受けることが考えられます。
このように日本の株式市場はいつの間にやらグローバル化が進んでいます。このことを意識して株式投資に臨みましょう。

執筆者:佐藤真奈美より

 はじめまして、当サイトである『投資塾』で記事の執筆を担当させて頂いております、佐藤真奈美と申します。現在、複数の投資関連のメディアサイトに相場予想や投資関連の解説等の記事を寄稿しておりますが、『投資塾』では、株式投資のニュース、経済指標、金融政策等、「市場参加者が、何を見ているか」に重点を置き、株式投資の初心者にも分かりやすいよう、他では知れない情報の提供に努めさせて頂いております。

執筆者:佐藤真奈美について

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