2019年11月12日の相場解説
昨日の東京株式市場は、主力の値嵩株の一部で利益確定売りが入ったことで、小反落。
香港情勢の緊迫化や米中貿易協議第一段階の合意への期待感が後退したことから、リスク選好ムードが後退した形だ。
倉庫・運輸、その他金融、繊維が強く、建設、石油石炭、非鉄金属が軟化した。
その後のニューヨーク株式市場は、米中貿易協議の第一段階の合意に対する期待感が後退したことで、NYダウが一時160ドル超下落する場面もあった。
しかし、米航空機大手ボーイングが新型旅客機「737MAX」の来年1月の運航再開見通しを示したことが材料視され、同社株が急騰した。
これにより、NYダウは27691.49ドルと史上最高値を更新。NYダウは3営業日連続となる史上最高値更新となった。
なお、この日は米債券市場がベテランズデーのために休場。
ドル円は、米中貿易協議の第一段階の合意が遠のいたことに加え、香港情勢の悪化を受けて売りが先行し、一時1ドル108円90銭まで下落。
最終的には1ドル109円05銭前後で推移した。
ナスダック指数は0.13%安、S&P500は0.20%安。
本日も、NYダウが終値ベースで史上最高値を更新したことが、日経平均株価の買い材料となるだろう。
ただ、米中貿易協議の第一段階の合意期待の後退や、香港情勢の悪化が上値抑制要因となりそうだ。
その一方で、中小型株に資金が流入していることから、中小型株市場は活況となる可能性があることに留意したい。
本日のトレンドニュース
三井E&S、三菱重に造船で提携打診 リストラ策発表【日本経済新聞】
三井E&Sホールディングス(旧三井造船)は11日、造船やエンジニアリング事業などの再編で1000人規模の従業員を配置転換する再建計画を正式に発表した。
赤字が続く造船事業を巡っては同社が三菱重工業に提携を打診したと両社の関係者が明らかにした。
造船は世界大手の韓国や中国企業で大型統合が相次ぎ、国際的な再編機運が高まっているが、日本は出遅れている。
旧財閥の垣根を越えた再編で競争力を高めたい考えだ。
三井E&Sの岡良一社長は11日の記者会見の冒頭、「多額の損失を計上することになりおわびする」と述べた。
主力の機械や海洋開発に経営資源を集中させる。
赤字が続く発電プラントなどのエンジニアリングと、造船事業は縮小する。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52045790R11C19A1TJ2000/
小野薬品・BMS オプジーボとヤーボイ併用療法、MSI-High有する結腸・直腸がんの効能追加を申請【ミクスonline】
小野薬品とブリストル・マイヤーズスクイブ(BMS)は11月12日、抗PD-1抗体オプジーボ(一般名:ニボルマブ)と抗CTLA-4抗体ヤーボイ(同イピリムマブ)との併用療法に、「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸がん」を追加する一変申請を日本で行ったと発表した。
申請は同日付け。
2剤は作用機序が異なるがん免疫療法薬。
2剤による併用療法は、国内ではこれまで、根治切除不能な悪性黒色腫、根治切除不能又は転移性の腎細胞がんの2つのがん種で承認を取得している。
https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=68325
消えた市場の「恐怖心」 反動のマグマじわり【日本経済新聞】
11日のダウ工業株30種平均は小幅ながら3日続伸。
朝方には100ドル以上下落する場面があったが切り返し、史上最高値を更新した。
市場では株安への警戒が大幅に薄れ、リスク資産に資金が向かいやすくなっている。
ただ、市場の楽観論が過度に強まっていることを示す指標も出ている。
反動のマグマがじわりと蓄積されている恐れもある。
VIXという指数にこのところ市場の関心が集まっている。
この指数はデリバティブ(金融派生商品)の取引状況から算出され、株安への警戒度が高いほど数値が高くなる。
このため「恐怖指数」の異名も持つ。VIXは12台に下がり、今年最低の水準に接近した。
米市場ではこの「恐怖心」を売る取引が活況となっている。
VIX先物という商品で、株安リスクが低いとみた投資家は先物を売り立てる。
その後、実際に相場が落ち着いていれば利益を得られ、反対に株価の急落が起これば損失を被る。
米商品先物取引委員会(CFTC)によれば投機筋によるVIX先物の売越額が過去最大になっている。
売り越し幅はこの2カ月間でほぼ倍増し、初めて20万枚を超えた。
株価の急落が避けられても、先物の売り手が得られる収益は薄利になってきているが、VIX売りの人気が続いている。
VIX指数は株式投資のリスクを測る目安にも使われる。
VIXが低ければ、株式投資で損を被る恐れが下がるとみなされ、リスク管理上、株式に資金を振り向けやすくなる。
8月は株安への不安で、株式から債券へと資金が向かい、いまは反対に株式へと資金が向かいやすくなっている。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52055100S9A111C1000000/
【今朝の5本】仕事始めに読んでおきたいニュース【bloomberg】

本日のピックアップ銘柄
イーレックス【9517】
イーレックスの2020年3月期上期業績は、売上高415億円(前年同期比34.6%増)、営業利益56億円(同200.5%増)と大幅増益。
電力小売事業は販売電力量が順調である一方で、競争激化により契約件数の伸びが鈍化。
なお、販売電力量は前年同期比6.6%増。
燃料事業は従来の商社からの調達に加え、自社調達や現地サプライチェーンからの調達を拡充。
同社は前年度に比べ、相対電源を拡充。自社電源をベースにしているが、ここにJEPX価格の下落も奏功したことで、想定以上に電源調達コストが低減した。
これにより、大幅な増益を達成したと考えられる。
半期会社計画(営業利益77億円、前期比64.2%増)に対する進捗率は71.9%と高進捗。
会社側は会社計画を据え置いているが、上振れる可能性が高く、ポジティブ。