2019年11月15日の相場解説
昨日の東京株式市場は、前日のNYダウ、S&P500の史上最高値更新が買い材料となったが、円高進行や、農産物購入について米中交渉が再び暗礁に乗り上げたとの報道が売り材料となり、日経平均株価は方向感の出ない状態に。
一時プラス圏に浮上する場面もあったが、午後に入ると、株価指数先物の下落を受けて日経平均株価も下落。
前日比257円71銭安まで下落する場面もあった。
最終的に日経平均株価は、前日比178円32銭安の23,141円55銭で取引を終えた。
情報・通信、水産・農林が強く、パルプ・紙、繊維、ゴム、鉄鋼が軟化した。
ニューヨーク株式市場は、シスコシステムズ株が減収予想を前日夕方に発表したことが売り材料となり、NYダウが下落。
また、米国産農産物購入の数値目標を文書に盛り込むことに中国が難色を示しているとの報道を受け、米中の第一段階の合意見通しが再び不透明になったことも相場の重しとなった。
これにより、NYダウは小反落。
前日比1.63ドル安の27,781.96ドルで取引を終えた。
ドル円は、この日発表の中国の10月鉱工業生産や小売売上高が事前予想を下回ったことを受けて、東京時間の午後に1ドル108円60銭台まで下落。
しかし、日経平均株価が引けにかけて下げ幅を縮小すると1ドル108円70銭台まで浮上。
ニューヨーク時間に入ると、この日発表の米新規失業保険申請件数が事前予想を上回り悪化したことから、ドル円は売り地合いに。
また、米10年債利回りが1.893%から1.808%まで低下したことも重しとなった。
さらに、英フィナンシャル・タイムズ(電子版)が、米中貿易協議の第一段階の合意への調整が難航していると報道したことも、相場の重しとなった。
そのため、ドル円は1ドル108円35銭~108円45銭で推移した。
ナスダック指数は0.04%安、S&P500は0.08%高。
本日の日経平均株価は、昨日の米株式指数が小反落したものの強い数値を維持していることが買い材料となる。
その一方で、円高進行や米中貿易協議の第一段階の合意見通しが後退したこと、また、香港情勢の悪化が売り材料となり、相場の重しになる可能性が高い。
昨日に続き、もみ合いになりやすいと考えられる。
引き続き、米中貿易協議に関する報道に注意が必要だ。
本日のトレンドニュース
中国、米産鶏肉の輸入制限解除年間10億ドル規模【ロイター】
中国税関は14日、米国産鶏肉の輸入制限を直ちに解除すると発表した。
中国商務省は先月末、約5年にわたる輸入制限を解除すると明らかにしていた。
米農務省食品安全検査局も先週、公報を改定し、中国産の鶏肉製品の輸入を承認していた。
米農産品の中国市場へのアクセス拡大は米中通商交渉の重要な争点で、非関税障壁の撤廃はトランプ米大統領が目指す対中農産品輸出倍増にとって鍵となる。
中国税関によると、同国の今年の鶏肉輸入は9月までで前年比47.6%の約55万トンに上る。
ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表とパーデュー農務長官は、中国の輸入制限解除を歓迎し、年間で10億ドル超の輸出増につながると指摘。
米失業保険申請件数は22.5万件、5カ月ぶり高水準【ロイター】
米労働省が14日公表した9日終了週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比1万4000件増の22万5000件と、6月22日までの週以来、約5カ月ぶりの高水準をつけた。
申請件数は増加したものの、11日が祝日だったため複数の州が推計値を出したことを踏まえると、労働市場の状況が変わったわけではないとみられる。
市場予想は21万5000件だった。
前週の数字は当初発表の21万1000件から改定されなかった。
労働省によるとカリフォルニア州とハワイ州、カンザス州、ペンシルベニア州、米領プエルトリコ、バージニア州が推計値だった。
11日がベテランズデーの祝日だったため統計処理が間に合わなかったためだ。
労働市場の動向をより正確に反映するとされる4週間移動平均は前週比1750件増の21万7000件だった。
雇用は昨年の好調なペースから減速しているものの、解雇率は低いままだ。
失業率は50年近くぶりの低水準にある。
労働市場は底堅さを保っており、景気後退懸念が和らいでいる。
労働市場は個人消費を支えており、16カ月間続く米中貿易摩擦による経済への打撃をいくぶん緩和している。
パウエルFRB議長は13日、労働市場が「広範にわたる個人や地域に恩恵をもたらした」と述べた。
FRBは先月、今年3回目となる利下げを決めた。
7月に08年以来初めてとなる利下げに踏み切って以降、金利を引き下げてきたが、利下げの休止を示唆した。
先週まで増加傾向にあった失業保険受給者総数は2日までの週に1万件減の168万3000件となった。
先週までは、米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)の従業員による40日間にわたるストライキが影響していたとみられる。
エコノミストはGMのストライキによりサプライヤーで一時解雇があったとみている。
4週間移動平均は横ばいの168万7750件だった。

実質GDP 年0.2%増に鈍化 7~9月期【サンケイビズ】
内閣府が14日発表した2019年7~9月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、物価変動の影響を除く実質で前期比0.1%増で、仮にこの伸び率が1年続いた場合の年率換算は0.2%増だった。
かろうじて4四半期連続のプラス成長となったが、4~6月期(前期比0.4%増、年率1.8%増)と比べると伸びは鈍化した。
個人消費は前期比0.4%増。10月の消費税増税を控えて9月を中心に駆け込み需要が一定程度生じ、化粧品やパソコン、テレビなどが増加に寄与した。
一方、7月の天候不順などが響き、4~6月期の0.6%増からはやや低い伸びにとどまった。
記者会見した西村康稔経済再生担当相は、駆け込み需要について「前回(増税時)ほどではなかったとみられる」と述べた。
一方、駆け込み需要に伴い製品の在庫の取り崩しがあったとみられ、民間在庫変動は実質GDP成長率を0.3%分押し下げた。
設備投資は0.9%増で2四半期連続のプラスだった。
輸出は0.7%減。
日韓関係悪化を背景に韓国からの訪日客が減り、輸出にカウントされる訪日客の国内消費が低迷したことなどが響いた。
輸入は0.2%増だった。
景気実感に近いとされる名目GDPは前期比0.3%増、年率換算は1.2%増だった。

【今朝の5本】仕事始めに読んでおきたいニュース【Bloomberg】

本日のピックアップ銘柄
オープンハウス【3288】
ダイキョーニシカワの2020年3月期は増収減益。
売上高5,403億円(前期比38.3%増)、営業利益577億円(同22.1%増)となった。
7期連続過去最高の売上高と利益を更新した。
戸建関連事業は、ホーク・ワンの連結効果により大幅に伸長、マンション事業は営業利益が伸長し、全体の増収・増益押し上げ要因となった。
収益不動産事業は法人、富裕層による取得需要が高水準で推移し、アメリカ不動産は国内富裕層の資産分散ニーズに応える形で売上高が倍増と好調だった。
売上高、当期純利益とも年平均30%以上の成長となり、会社計画に対し、売上高が103億円、営業利益が12億円上振れた。
また、4Q単独については、売上総利益率が17.4%と前年同期を0.2pt上回り、子会社の保有物件の処分が一巡した模様。
来期は売上高が6,000億円(今期比11.0%増)、営業利益が655億円(今期比13.4%増)、経常利益が630億円(今期比14.7%増)、当期純利益が441億円(今期比11.9%増)としている。
過去2期よりも弱めの会社計画であるが、中期会社計画を上回る成長となっている。
印象としてはニュートラル。