2019年12月4日の相場解説
昨日の日経平均株価は、前日の米国時間中に発表された11月の米ISM製造業景況指数が事前予想を下振れ、好不況の分かれ目となる50を4か月連続割り込んだため、NYダウが下落したことを受けて下落。
利益確定売りが優勢となり全面安の展開となった。
後場に入っても売り優勢は変わらなかったが、下げ幅を縮める展開となった。
日経平均株価は前日比149円69銭安の23,379円81銭で取引を終えた。
電気機器、鉱業が強く、情報・通信、輸送用機器、銀行が軟化した。
ニューヨーク株式市場ではトランプ米大統領が米中合意に関し
これを受けて米国の景気先行き不安が再燃し、NYダウは下落。
好不況の分かれ目となる50を下回った上、前回の48.3からも下落したことにより、米国のNYダウが下落。
トランプ米大統領が米中貿易協議の第一段階の合意に対し、来年11月の米大統領選後に先送りする可能性を示した。
また、米中貿易協議の第一段階の合意に期限は設けていないと語ったことから、米中貿易摩擦が長期化するのではないかとの見方が強まったため、アップルやキャタピラーなど、中国関連銘柄が売られる展開に。
そのため、NYダウは前週末比280.23ドル安の27,502.81ドルで取引を終えた。
一方ドル円は下げ渋る展開に。東京時間中は、109円00銭近辺での買いが入ったため、底堅い展開となった。
また、日経平均株価が後場に入り下げ幅を縮めたことや、NYダウ先物が50ドル前後上昇したことも追い風となり、ドル円は水準を上げる展開に。
109円20銭台まで浮上する場面もあった。
欧州勢が参加する時間になると、ドルの買い戻しも一服し、ドル円は1ドル109円10銭前後までもみ合う展開となった。
欧州株やNYダウ先物が堅調に推移したことが後押しし、底堅い展開となったものの、トランプ米大統領とストルテンベルグNATO事務総長の会談後の記者会見で、トランプ米大統領がマクロン仏大統領がNATOについて「脳死」と評したことに対し、批判を強めたことから米仏関係の悪化が懸念され、安全通貨である円買い優勢に。
ドル円は1ドル109円00銭まで円高が進んだ。
さらに、トランプ米大統領が「中国との取引は2020年11月に行われる大統領選挙まで待った方が良いかもしれない」「中国との貿易合意に期限はない」と発言したことから、米中貿易協議の第一弾の合意への期待が後退。
ドル円は1ドル108円80銭台まで水準を下げた。
米国市場がスタートすると、NYダウ先物が250ドル超安となったことや、米国が12月15日にほぼ全ての中国製品に対し対象を拡大する対中関税第4弾の残りを発動するとの報道を受け、ドル円は1ドル108円51銭まで水準を下げた。
その後はNYダウが下げ幅を縮めたことから、1ドル108円60銭台まで値を戻した。
最終的にドル円は、1ドル108円59銭~109円69銭前後で推移した。
本日の日経平均株価は、昨日のNYダウの大幅下落と急速に進んだ円高を受けて、引き続き軟調に推移居することが予想される。
トランプ米大統領が米中貿易協議の第一段階の合意を延期する可能性を示唆したことから、東京市場でも本問題の長期化が懸念され、売り優勢になりやすいだろう。
本日のトレンドニュース
対中通商合意「大統領選後も」、トランプ氏が長期戦示唆【ロイター】
トランプ米大統領は、中国との通商交渉合意に期限はないとし、来年11月の大統領選挙後まで待った方が良いかもしれないと述べた。
米中通商問題の早期解決に向けた期待が後退したことで、オフショア市場で人民元相場が10月以来の安値を付けた。
北大西洋条約機構(NATO)首脳会議のためロンドンを訪れている大統領は記者団に対し、「期限はない。ある意味で選挙後まで待った方が良いのではとも思う。彼らは現段階での合意を望んでいる。うまく合意できるかどうか、いずれ分かる」と述べた。
その上で「中国との通商合意は、私がディール(取引)を行いたいか、行いたくないかの1点にかかっている。現在、中国とは極めてうまくやっており、ほんの少しペンを動かし署名するだけで、一段とうまくやることができる」とし、「中国は代償を払っている。中国は過去57年で最悪の状態になっている。どうなるか様子を見てみよう」と述べた。
実際、中国では米国との貿易戦争の影響で製造業が低迷し、中国国家統計局が10月に発表した第3・四半期の国内総生産(GDP)は前年比6.0%増と、伸び率は1992年の四半期統計開始以来の最低水準となった。
トランプ氏は9月にも、来年の選挙前の合意は必要ないとの見解を表明。
この日は中国に一段の圧力を掛けた格好となった。
トランプ氏のこの日の発言後に、ロス商務長官はCNBCテレビとのインタビューで、米中通商協議に関して大統領の目標は変わっていないとした上で、トランプ氏は妥結に向けた時間的制約を感じていないという認識を表明。
1560億ドル分の中国製品への追加関税発動期限が15日に迫っていることについて、協議が著しく進展するなど発動を見送る実質的な理由がない限り追加関税は予定通り発動されると語ったほか、米中交渉は実務者レベルでは継続する見通しだが高官協議の開催は全くめどが立っていないことも明らかにした。
トランプ氏の発言を受け中国人民元相場が下落。オフショア市場CNH=EBSで1ドル=7.0695元と、10月25日以来の安値を付けた。
このほか、株式から安全資産とされる債券に資金が流れ、米株式市場でS&P総合500種.SPXが一時1.22%下落したほか、米10年債US10YT=RR利回りは約1.7%と、約1カ月ぶりの水準に低下した。
トランプ大統領は2日、ブラジルとアルゼンチンから輸入する鉄鋼とアルミニウムに直ちに関税を課すと表明。
両国の意図的な通貨切り下げで米農業部門が圧迫されているとの考えから報復措置を打ち出したものとみられる。
このほか米通商代表部(USTR)は同日、フランスのデジタルサービス税が米IT(情報技術)企業を不当に差別しているとして、シャンパン、ハンドバッグ、チーズなどフランスからの24億ドル相当の輸入品に最大100%の追加関税を課す可能性があると明らかにした。
米ワシントンのシンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)の中国経済専門家、スコット・ケネディ氏は「こうしたことすべてがトランプ政権の信頼性を損ねている。ただ、どちらの側にも信頼性を巡る問題は存在している」と述べた。
みずほ証、早期退職を来年1月開始-50歳以上、規模定めず【Bloomberg】
みずほフィナンシャルグループ傘下のみずほ証券は来年1月、早期退職希望者の募集を開始する。対象者は条件に応じた割増退職金を受け取る。規模は決まっていない。
広報担当の丸山敦史氏によれば、募集は50歳以上63歳以下の社員が対象。
定年後も視野に入れた社内外でのキャリア形成支援のために従来の制度を見直した。
丸山氏は「人員削減を目的とする制度ではまったくない」とした上で、「定年後も長年にわたり仕事をするのが当然のこととなりつつある状況を踏まえ、ベテランの社員に対して社内外を含めた柔軟かつ多様な選択肢を提供していきたい」と述べた。
みずほ証券は2024年3月期までに国内外合算の経常利益で前期(19年3月期)比2.7倍の1000億円、リテール預かり資産残高で同25%増の50兆円を目指している。
飯田浩一社長はブルームバーグとのインタビューで、法人・リテールともに顧客本位の商品提案ができる態勢が整ったと、目標達成への自信を見せていた。
みずほ証のウェブサイトによると、3月末時点の従業員数は7541名。
国内259拠点、海外10拠点を持つ。

ソフバンクGがメキシコ投資拡大、中小企業向け銀行の資金調達主導へ【Bloomberg】
ソフトバンクグループは、メキシコの中小企業向け銀行コンフィオへの1億ドル(約109億円)規模の資金調達を主導する。
3月に中南米に特化した投資ファンド設立を発表して以来、メキシコへの投資は3件目となる。
コンフィオの投資家向け広報(IR)担当ディレクター、グレゴリオ・トマシ氏によれば、集めた資金は運転資金ローン拡大や新商品導入に充てる方針。
2013年設立のコンフィオは、伝統的な銀行から十分なサービスを受けられないことも多い中小企業に融資を提供している。
トマシ氏は自社について、「中小企業にとって最大の問題の1つである与信へのアクセスを解決することに重点を置くテクノロジー会社」だと説明。
「テクノロジーや代替データソース、人工知能(AI)、データサイエンスに基づき、迅速に融資を実行している」と語った。
ソフトバンクは3月、中南米のテクノロジー新興企業を投資対象とする50億ドル規模のファンドを設定。
約300社のターゲットを視野に入れている。

【今朝の5本】仕事始めに読んでおきたいニュース【Bloomberg】

本日のピックアップ銘柄
ジャパンマテリアル【6055】
ジャパンマテリアルの2020年3月期2Qは減収減益。
イニシャルにおいて、DRAM工場向け、NAND新工場向けでプラス要因があったものの、既存半導体工場での設備投資の抑制が影響し、減収減益となった。
一方で、グラフィックソリューションはグラフィックス製品の販売が堅調だったことから、増収増益となった。
このように、今期は設備投資の抑制傾向が続き、同社はその影響を受けているものの、来期は国内半導体工場で設備投資時期が重なる可能性が高く、今期低調なイニシャルが回復するものと考えられる。
印象としてはポジティブ。