2019年12月12日の相場解説
昨日の日経平均株価は、前日のNYダウの下落を受けて小幅下落した。
序盤は値を上げたものの続かず、マイナス圏へ。
その後は本日まで開催されるFOMCの結果発表や15日の対中制裁関税の動向を見極めたいとの思惑から、小動きとなった。
本日も強い売り材料があったわけではないため、下値は堅かった。
最終的に日経平均株価は前日比18円33銭安の23,391円86銭で取引を終えた。
水産・農林、電気・ガス、鉄鋼が強く、海運、その他製品、銀行業が軟化した。
ニューヨーク株式市場では、序盤、マイナス圏でスタートしたNYダウがプラス圏を回復する場面もあったが、再びマイナス圏に沈んだ。
その後は、午後のFOMC声明やパウエルFRB議長による記者会見を前に様子見ムードが広がり小動きに。
商いを手控える向きが強まった。
この日が最終日となったFOMCでは、政策金利を現状の年1.50~1.75%に据え置くことが決まり、来年についても現状維持を想定した。
事前予想どおりの内容ではあったが、低金利政策の継続などが好感され、ハイテク、素材などの銘柄に買い注文が入った。
そのため、終盤、NYダウは上昇し、前日比29.58ドル高の27,911.30ドルで取引を終えた。
ドル円は、対中制裁関税の見送りへの期待感から序盤に上昇し、1ドル108円85まで浮上した。
しかし、この日まで開催するFOMCの結果を前に様子見ムードが強く、次第に小動きに。
動意に欠ける展開が続いたが、1ドル108円70銭台で堅調に推移した。
欧州勢が参加する時間になると、欧州株安やNYダウ先物が方向感に欠ける展開となったため、ドル円はやや弱含み。
その後、米10年債利回りが低下したため、ドル円は水準を落とす展開となり、1ドル108円60銭台まで下落した。
ニューヨーク時間に入っても様子見ムードが続いたが、FOMCが政策金利を現状の年1.50~1.75%に据え置くことが全会一致で決まり、「見通しに対する不透明感は残る」との文言を削除した。
これによりドル円は1ドル108円77銭まで上昇したが、すぐに失速。
さらに、パウエルFRB議長が「利上げの必要性は1990年代半ばの利下げサイクル時より低い」「利上げには著しい持続性があるインフレ加速が必要」「労働市場は強いが、ひっ迫ししているかどうかは分からない」と記者会見で発言したことが材料視され、1ドル108円48銭まで下落する場面もあった。。
最終的にドル円は、1ドル108円50銭~108円60銭で推移した。
本日の日経平均株価は、前日のNYダウが小反発したことを受け、買いが集まると考えられる。
ただ、パウエルFRB議長の記者会見での発言を受けて、ドル円はやや円高に振れているため、このことが相場の重しになるだろう。
ECBや15日に予定されている対中関税第4弾の動向を前に積極的な買いは入りづらく、上昇しても限定的なものに留まりやすいと考えられる。
本日のトレンドニュース
FRB、利下げ見送り 20年も「追加緩和ゼロ」(日本経済新聞)
米連邦準備理事会(FRB)は11日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で金融政策の現状維持を決め、利下げを4会合ぶりに見送った。
記者会見したパウエル議長は「米経済の見通しは良好だ」と主張。先行きの政策予測も、FOMCの中央値は「2020年は利下げも利上げもゼロ」となり、当面は様子見に転じる方針が示された。
11日の会合では、短期金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を、年1.50~1.75%で据え置いた。
FRBは貿易戦争による景気悪化を警戒し、7月に10年半ぶりの利下げを決断するなど、3会合連続で政策金利を引き下げてきた。
11日は投票メンバー10人全員が政策金利の据え置きに賛成票を投じた。
会合後に記者会見したパウエル議長は「海外の低成長と貿易問題が重くのしかかるが、米経済は緩やかな拡大が続くとみている」と主張した。
先行きの金融政策も「景気が予測通りに推移すれば、現在のスタンスが適切であり続けるだろう」と強調し、様子見姿勢に転じる方針を示した。
金融市場は今回の利下げ見送りを織り込んでおり、焦点は20年以降の政策シナリオに移っている。
11日のFOMCでは、正副議長、理事、地区連銀総裁による参加メンバー17人が、今後3年間の金融政策シナリオをそれぞれ提示。
13人が20年中も政策金利を据え置くと予測し、FOMCの中央値は「来年は利下げも利上げもゼロ」となった。
米経済は景気拡大局面が過去最長の11年目に突入した。
貿易戦争で企業心理が弱含んだため「保険としての利下げ」(パウエル議長)に踏み切ったが、FRBは3回の金融緩和で景気失速のリスクは遠のいたと判断。
11日に公表した政策見通しでは、20年中の利下げを見込むFOMC参加者は1人もいなかった。
各メンバーが示した景気予測も、米経済は底堅い成長が続くと見通した。
20年の実質成長率は2.0%と潜在成長率並みの伸びを見込み、失業率も3.5%と歴史的な低水準を維持すると予測した。
そのため、21年以降は年1、2回のペースで再び利上げに転じると見込むメンバーが多い。
もっとも、20年の再選を最優先するトランプ大統領は「さらなる追加利下げが必要だ」と、FRBに執拗な圧力をかけている。
同氏を支持してきた中西部の製造業は、貿易戦争などで雇用が弱含んだままだからだ。
FOMCも声明文で「企業の設備投資と輸出は、引き続き弱含んでいる」と認めた。
景況感を大きく左右する米中の関税合戦は、最終決着がみえてこない。
貿易戦争が長引いて企業心理がさらに悪化すれば、FRBは再び追加緩和を迫られる可能性がある。

対中追加関税を発動しないことに「望み抱いている」-米農務長官【Bloomberg】
中国が大豆に関して追加関税を除外する手続きを取ったことは、米国との農産物貿易での進展を示すものだと、パーデュー米農務長官がワシントンでの記者会見で述べた。
パーデュー長官は、米中の広範な貿易協議の第1段階合意に向けて続く交渉で、中国による農産物購入規模についてどの程度話し合いが進んでいるのか、自分は詳細を知らないと発言。
期限である12月15日に米国が対中追加関税を発動しないことに「望みを抱いている」と語った。

【今朝の5本】仕事始めに読んでおきたいニュース【Bloomberg】

本日のピックアップ銘柄
学情【2301】
学情の2019年10月期は増収増益、4Q単独でも増収増益となった。
特に4Q単独の営業利益に関しては、7.8億円と、前年同期比96%増の大幅増益となった。
4Q売上高は僅かに未達(会社計画:21.7億円、実績:21.0億円)だったが、通期については、増収を達成。
4Q単独の大幅増益はコスト削減効果が想定以上のものとなったことが原因である。
来期は「就職博」「Re就活」が業績をけん引すると考えられる。
中でも「Re就活」は若年層の採用環境が良好であることから、高い成長性が期待できるだろう。
これまで同社株は、前期、前々期ともに低成長にとどまったことから正当な評価がされていない。
だが、今期が高成長だったことからすでに株価は急騰し、本来の株価に急接近している。
来期の好業績や主力の「Re就活」、急成長している「あさがくナビ」などの今後の成長が期待できるため、株価はさらなる上昇が期待できるだろう。
印象としてはポジティブ。