2019年12月16日の相場解説
昨日の日経平均株価は、米中貿易協議が大筋合意したとの報道を好感し、半導体等景気敏感株を中心に買われる展開となり、大幅上昇。
後場に入っても買いの勢いは続き、前日比598円29銭高の24,023円10銭で取引を終えた。
夜になって、米中貿易協議の第一段階の合意が成立したことが報道されると、序盤、マイナス圏に沈んでいたNYダウは急騰した。
さらに、トランプ米大統領がTwitterに「中国と非常に大きな第一段階の合意に達した。15日に発動予定だった対中制裁関税は見送る」との投稿をしたこともNYダウを押し上げ、最高値を更新する場面もあった。
しかし、昨年発動済みの2,500億ドルぶんに対する25%の制裁関税は撤廃されず、現状維持が決まり、第二弾の合意についてもトランプ米大統領が来年の米大統領選後になるとの見通しを示したことから、この問題の長期化が悲観視され、その後は利益確定売りが先行することに。
NYダウは行ってこいとなり、前日比3.33ドル高の28,135.38ドルで取引を終えた。
ドル円は、前日のニューヨーク時間中にトランプ米大統領が「中国と大きな合意に近づいている」とTwitterに投稿したことが材料視され、リスクオンムードが継続。
ただ、この日は実質的な五十日(ごとおび)に当たることから、実需筋によるドル買いが入ったため、ドル円は1ドル109円40銭台まで水準を下げる場面もあった。
その後、ドル円は日経平均株価の上昇を受けて、再び1ドル109円50銭台まで水準を上げる展開に。
欧州勢が参入するとさらに水準を上げ、欧州株高も手伝って、1ドル109円70銭台まで浮上した。
しかし、22時前に「中国は依然として米農産品の購入目標に関して懸念を抱いている」との報道があったことで、1ドル109円40銭台まで急落。
さらに、この日発表された11月の米小売売上高が事前予想の前月比+0.5%を下回る+0.2%、自動車を除く11月の米小売売上高も事前予想の前月比+0.4%を下回る+0.1%となったこともドル円の水準を押し下げた。
さらに、トランプ米大統領が「米交渉担当者は、15日に予定している対中制裁関税第4弾の取りやめと既存の追加関税の引き下げを提案した」とするウォールストリート・ジャーナルの報道を否定したことから、ドル円は1ドル109円26銭まで下落した。
しかし、その後中国が「米中貿易協議の第一段階の合意について、貿易文書で合意に達した」と発表したため、ドル円は1ドル109円60銭台まで急騰。
15日に予定されていた対中関税の第4弾が見送られることが好感されたものの、中国が求める関税の完全撤廃はなされなかったことから、NYダウが急落したため、ドル円は再び1ドル109円21銭まで下落する展開となった。
その後、ドル円はやや水準を戻したものの、もみ合う展開に。
最終的にドル円は、1ドル109円30銭~109円40銭で推移した。
本日の日経平均株価は、15日発動予定だったの対中制裁関税の見送りや米中貿易協議の第一段階の合意を受けた不安が後退したものの、想定内の着地だったことや米中貿易協議が長期化する見通しであることから、利益確定売りが優勢になるとみられる。ただ、基本的にはリスクオンムードになりやすいことから、売り一服となった後は徐々に下げ幅を縮める可能性がある。前週末の終値近辺が意識されやすいものと考えられる。
本日のトレンドニュース
米中が「第1段階」通商合意、関税発動猶予米農産物購入拡大へ【ロイター】
米中両政府は13日、「第1段階」の通商合意に至った。
トランプ米大統領は15日に予定していた対中追加関税の発動を見送り、発動猶予と引き換えに中国は米農産物の購入を拡大していくと強調。
さらに「第2段階」の合意に向けた交渉を直ちに開始すると表明した。第1段階合意を受け、中国は15日に予定していた一部の米国製品に対する追加関税の発動を見送った。
合意文書は来年1月の第1週にワシントンで米中の首席交渉官によって署名される見込み。
トランプ氏は13日、ツイッターで「米中は非常に大規模な第1段階協定で合意した。
中国は多大な構造的変革の実施や農産物、エネルギー・製造業製品などの大量購入で合意した」と述べた。
米国は1600億ドル相当の中国製品に対する関税発動を見送るとともに、1200億ドル相当の製品に対する関税を従来の15%から7.5%に引き下げる。
同時に2500億ドル相当の製品については25%の関税を維持する。
ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は13日、記者団に対し、中国が今後2年で米国の製品・サービスの購入を2000億ドル増やすことで合意したと説明した。
貿易戦争が始まる前の中国の2017年の米国からの購入実績額は1300億ドル。
ライトハイザー氏によると、中国は2017年の購入実績額である240億ドルを基準とし、向こう2年間で米国産の農産物を320億ドル追加購入するという。
また、中国の購入には特定の対象や目標があるものの、公表すると市場を歪める恐れがあるため、公表はしないとした。
トランプ氏は、中国が購入する米農産物の金額は500億ドル相当に達する公算が大きいと指摘。
さらに第2段階の合意に向け残りの関税を交渉のカードに利用する考えを示した。
中国は次の交渉を直ちに開始することを望んでおり、自分も同意見だと語った。
米国家経済会議(NEC)のカドロー委員長は、中国が第1段階の通商合意の条件を履行しない場合、米国は関税を含む措置を講じると警告。
合意を巡って不和が生じ解決が不可能になれば「何らかの措置が取られる。合意条件を履行させる手段として関税措置が取られる可能性もある」と述べた。
中国政府も13日、米国が対中追加関税の段階的な撤回で合意したと発表。
第1段階の合意に向け大きく前進したとし、中国内の外資系企業や米国内の中国企業に対する保護が拡大すると表明した。
廖岷財政次官は会見で、両国が第1段階の協定の文言で合意したとした上で「関税の撤回は貿易交渉における中国の懸念の核心部分だ」と強調した。
だが、中国が合意した米国からの購入規模には触れなかった。
農業省や中国国家発展改革委員会(NDRC、発改委)の幹部らは中国が米国産の小麦、米、コーンの購入や米国からのエネルギー・医薬品などの輸入を拡大すると明言したが、規模や金額などは明らかにしなかった。
11月米小売売上高0.2%増 年末商戦序盤、ネットけん引【日本経済新聞】
米商務省が13日発表した11月の小売売上高(季節調整済み)は前月比0.2%増加した。
インターネット通販をはじめとする無店舗小売りが同0.8%増と全体をけん引した。
米年末商戦の皮切りとなった感謝祭翌日の金曜日のセール「ブラックフライデー」で消費が伸びた。
だが、ダウ・ジョーンズまとめの市場予想(同0.5%増)には届かなかった。
品目別に見ると家電を扱う店(同0.7%増)や自動車ディーラー(同0.5%増)が伸びた。
米国の失業率は半世紀ぶりの低水準を維持しており、賃金上昇率は3%台で推移している。
好調な労働市場に支えられ、米消費者の可処分所得は増加傾向にある。
11月の米小売売上高は前年同月比では3.3%増だった。
ただ、消費の勢いは市場の想定よりも弱い。自動車やガソリン、建築資材、外食を除くコアの11月の小売売上高は前月比0.1%増にとどまった。
このコア売上高は国内総生産(GDP)の消費支出に最も近いとされ、米国全体の個人消費の勢いを示す指標となる。
特にクリスマスのプレゼントを扱う百貨店は前月比0.6%減、衣料品店も同0.6%減と振るわなかった。
三菱UFJ銀行ニューヨークのクリス・ラプキー氏は「年末商戦のヤマ場が11月末から12月初旬のサイバーマンデーなどに移っていることが大きい」と指摘する。
仮に今後、GDPの約7割を占める個人消費が落ち込むことがあれば、米景気全体の重荷になる可能性もある。

【今朝の5本】仕事始めに読んでおきたいニュース【Bloomberg】

本日のピックアップ銘柄
ラクスル【4384】
ラクスルの2020年7月期1Qは増収営業赤字。
広告宣伝費の増加と「ハコベル」の運送事業セグメントの赤字拡大が重しとなった。
顧客拡大はしているものの、登録ドライバー数の増加や専属車両の確保等のコストが拡大した。
運送事業セグメントは顧客獲得のためにディスカウントを行っており、さらには事業拡大のための先行投資も行っているから、会社側の予想としては、今期の運送事業セグメントは赤字が拡大する見込み。
ただ、同業他社も多く、今後もディスカウントを続けざるを得ない状況が続くとみられる。
また、主力のネット印刷に関しては、市場は大きいものの競合も多い。
ただ、しばらくは2桁成長が続くとみられるが、運送事業セグメントの赤字が重しになると考えられ、粗利や営業利益率の伸び悩みが続くと考えられる。
印象としてはネガティブ。