2020年2月28日の相場解説
2月27日の東京株式市場は、前日の米国市場で、新型肺炎の感染拡大への懸念から、NYダウが途中でマイナス圏に沈んだことが嫌気され、売り優勢に。
一時前日比500円超下げる場面もあった。
最終的に日経平均株価は前営業日比477円96銭安の21,948円23銭で取引を終えた。
33業種の全てが下落したが、中でも、空運、証券・商品先物取引、不動産、小売が下落した。
また、同日のNYダウは、新型肺炎の感染拡大とそれに伴う企業業績や経済停滞への懸念から、下落。
下げ幅を拡大した。
最終的にNYダウは、前日比1,190.95ドル安の25,766.64ドルで取引を終えた。
一方、ドル円は、東京時間の序盤は1ドル110円40銭台で推移した。
東京株式市場がスタートし、日経平均株価が続落し下げ幅を拡大すると、1ドル110円18銭近辺までドル円は軟化。
その後は1ドル110円40銭台まで持ち直したものの、日経平均株価が軟調であることから上値の重い展開となり、1ドル110円35銭前後でもみ合いとなった。
後場がスタートし、日経平均株価が前日比500円超下げると、ドル円は再び円高が進み1ドル110円を割り込む展開に。
しかし、下値を拾う動きがあったことから、再び1ドル110円19銭近辺まで浮上した。
ロンドン時間に入っても、欧州株安や米10年債利回りの低下を受け、ドル円は軟調地合いが続き、再び1ドル110円を割り込む展開に。
1ドル109円85銭まで下落したものの、押し目買いから1ドル110円20銭台に上昇した。
ニューヨーク時間に入ると、NYダウが下落したことから、ドル円は再び1ドル109円台に下落。
この日発表の1月米中古住宅販売成約指数が前月比+5.2%と12月の-4.3%からプラス転換したことから、米10年債利回りが上昇。
ドル円も1ドル109円90銭台で下げ止まったが、NYダウが800ドル超下げると、再びドル売り優勢となり、ドル円は1ドル109円69銭まで円高が進んだ。
しかし、NYダウが買い戻され、180ドル安程度まで下げ幅を縮めると、ドル円も1ドル110円30銭台まで買い戻される展開に。
米7年債入札が好調な結果となると、ドル売りが再開され、ドル円は1ドル109円台に軟化するなど、不安定な展開となった。
最終的にドル円は、1ドル109円52銭~109円62銭で推移した。
本日の日経平均株価は、前日のNYダウが過去最大の下げとなったことや、急速に円高が進んだことが嫌気され、続落すると考えられる。
また、週末ということもあり、ポジションをクローズする動きも出るため、株価は上昇しにくいだろう。
本日のトレンドニュース
- 米GDP改定値、10─12月期は2.1%増 新型肺炎で先行き暗雲【ロイター】
米商務省が27日発表した2019年第4・四半期の実質国内総生産(GDP)改定値(季節調整済み)は年率換算で前期比2.1%増と、速報値から変わらず、市場予想と一致した。
輸入の減少が下支え要因となった。
第3・四半期のGDPも2.1%成長だった。
19年のGDPは前年比2.3%増と、3年ぶりの弱い伸びとなり、トランプ政権の成長率目標である3%を2年連続で下回った。
同時に発表された1月の耐久財受注は、民間設備投資の先行指標とされるコア資本財(非国防資本財から航空機を除く)の受注が前月比1.1%増と、1年ぶりの大幅な伸びを記録したが、市場ではもっぱら新型コロナウイルスの感染拡大が嫌気され、株式相場はこの日も大幅安になった。
MUFG(ニューヨーク)の主任エコノミスト、クリス・ラプキー氏は「米経済が景気後退(リセッション)に向かっているというのが市場の見方。新型ウイルスが世界のサプライチェーン(供給網)を寸断する中、景気後退を逃れられるとしたら奇跡だろう」と述べた。
GDPは速報値から改定されなかったものの、個人消費は下方改定された。
設備投資は2.3%減と、速報値の1.5%減から下方改定された。
3四半期連続でマイナスとなり、落ち込みが続いた期間は09年以来の長さだ。
設備投資のうち機器への投資の下方改定が目立った。
政府支出も当初予想より弱かった。
一方、住宅建設投資と在庫は上方改定された。
国内需要を計るために用いる貿易と在庫、政府支出を除くGDPは年率で1.3%増と、速報値の1.4%増から下方改定された。
金融市場で新型コロナウイルスに関する不安がまん延している。
新型ウイルスによって中国を中心に2000人超が死亡した。感染は他国に拡大している。
11年目に入った過去最長期間続く米景気拡大へリスクを及ぼしかねない。
比較的安全な資産とされる国債などが好まれ、株式などのリスク資産は売り込まれている。
また、金利先物市場が織り込む米連邦準備理事会(FRB)の利下げ確率は上昇。
FRBは19年に3回利下げした後、少なくとも20年末までは金利を据え置くことを示唆してきた。
現時点で新型ウイルスが米経済に打撃を与えている明確な兆しはないが、エコノミストは不振にあえぐ製造業が供給網の混乱や輸出低迷に直面すると見込む。
サービス業は旅行・観光業の不振が打撃となる可能性がある。
株の値下がりが続けば消費者心理が冷え込み、既に鈍化している個人消費が低迷する可能性がある。
エコノミストはまた、企業利益が圧迫されることで解雇が増え雇用が鈍化することを不安視している。労働市場は米経済の主要な下支え要因だ。
トランプ米大統領は26日、新型ウイルスについて、米国民に対するリスクは「非常に低い」と述べた。
保健当局が全力で対策にあたる準備をしているとした。
前田道路 同業他社と提携方針 前田建設による子会社化に抵抗か【NHK】
大手建設会社の前田建設工業が、グループ会社の前田道路を賛同をえないまま子会社にしようとして両社が対立しています。
前田道路は27日、長年ライバルだった同業他社と資本提携する方針を明らかにし、市場関係者などは子会社化に抵抗するねらいがあると受け止めています。
発表によりますと、前田道路は道路の舗装などを手がける同業の「NIPPO」と、5%ずつ株式を持ち合う資本業務提携の協議を始めました。
提携によってコスト削減などを進め、経営基盤の強化を目指すとしています。
大株主、前田建設工業は、前田道路の過半数の株式を取得して子会社にしようとTOB=株式の公開買い付けを実施しています。
前田道路はこれに反対し、今の株主に対して、通常の配当金とは別に特別な配当金を払ってTOBには応じないよう働きかけを強め、激しく対立しています。
前田道路の今枝良三社長は今回の資本提携について27日夕方、都内で会見し「前田建設工業によるTOBとは関係がなく、企業価値の向上のためだ」と説明しました。
ただ長年ライバルだった同業他社と手を組む方針を打ち出したことについて、市場関係者などは前田建設工業に抵抗するねらいがあると受け止めています。
ともに前田の名前がつく企業どうしの対立は一段と激しくなっています。
新型ウイルス 国直轄工事 来月15日まで中止 赤羽国交相 【NHK】
赤羽国土交通大臣は28日の閣議のあとの会見で、国が直轄する公共工事を3月15日までのおよそ2週間、一時中止する方針を明らかにしました。
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐことが目的だとしていて、受注した業者の意向を確認したうえで、一時中止や工期の延長などの措置をとるとしています。

アングル:ゆうちょ銀、「七人の侍」の過半が退社 リスクテイク姿勢に変化か【ロイター】
焦点:外為市場で「ボルマゲドン」の恐怖再燃、当局が警戒【ロイター】
【今朝の5本】仕事始めに読んでおきたいニュース【Bloomberg】

本日のトレンド銘柄ニュース
西松建設【1820】
西松建設は、手持ち工事の採算性が良く、工事終盤の追加工事や設計変更による利益率上昇が堅調である。
その一方で、低採算の大型案件や価格上昇のさなかに調達した資材や労務費の上昇が負担となり、株価は下落している。
とはいえ、低採算の大型案件は今年度内に工事が終了する予定であり、資材、労務費のコストはオリンピック関連工事が一巡したことで、上昇が収束することが考えられる。
さらには、今3Qまでの受注案件は前年に比べ採算が改善しているものもあり、2021年3月期は国内の建築マージンが改善すると考えられる。
株価にはこのことが織り込まれておらず、割安圏にあると考えられる。
印象としてはポジティブ。