2020年3月2日の相場解説
2月28日の東京株式市場は、前日の米国市場でNYダウが大幅安となったことに加え、ドル円が1ドル108円台まで下落したことが嫌気され、売り優勢に。
下げ幅が1,000円を超える場面もあるなど全面安となった。
最終的に日経平均株価は前営業日比805円27銭安の21,142円96銭で取引を終えた。
33業種の全てが下落したが、中でも、情報・通信、電気機器、銀行が下落した。
また、同日のNYダウは、新型肺炎の感染拡大に歯止めがかからないことに加え、WHOが世界全体での新型肺炎のリスクをこれまでの「高い」から「非常に高い」に引き上げたことが嫌気され、続落。
午後に入りパウエルFRB議長が「我々は政策ツールを用いて経済を支えるために適切に行動する」と緊急声明を発表。
利下げ局面で入る傾向のある「適切に行動」という文言があったことから、利下げの可能性を示唆したとみなされ、NYダウはいったん持ち直した。
しかし、その後は再び売り優勢となり、1,000ドル安近辺まで下落する場面もあった。
取引終盤に買い戻しが入ったことから、NYダウは下げ幅を縮める展開に。
最終的にNYダウは、前日比357.28ドル安の25,409.36ドルで取引を終えた。
一方、ドル円は、東京時間の序盤は1ドル109円34銭まで下落する場面もあった。
東京株式市場がスタートし、日経平均株価が続落すると、円売り優勢に。
ドル円は1ドル109円68銭まで円安が進んだ。
しかし、その後はドル売り優勢となり、ドル円は1ドル109円30銭を割り込む展開に。
さらに、日・米・中の株価指数が下落すると、ドル円は1ドル108円台まで下落した。
午後に入るとリスク回避の円買いが加速。
1ドル108円90銭を割り込んだものの、いったん下げ止まった。
ロンドン時間に入ると、NYダウが400ドル安となったことから、再び円買い優勢となり、ドル円は1ドル108円60銭台まで下落。
米10年債利回りが一時1.15%台まで低下すると、1ドル108円50銭近辺まで円高が進んだ。
ニューヨーク時間に入ると、NYダウが再び380ドル超安まで下落したことが嫌気され、ドル円は1ドル108円40銭台に。
さらに、この日発表された1月の米個人消費支出が+0.2%と事前予想の同+0.3%を下回り、さらには12月の同+0.4%から軟化したことも、円高・ドル安に拍車をかけた。
なお、この日発表された米2月シカゴPMIやミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)はいずれも事前予想を上回ったものの、株安が嫌気され、ドル円はほとんど反応しなかった。
さらに、NYダウが1,000ドル超下落すると、ドル円は1ドル107円台まで下落。
パウエルFRB議長が緊急声明を発表すると、利下げが意識され、米10年債利回りが低下。
ドル円は1ドル107円51銭と昨年10月10日以来となる安値を付けた。
その後、ドル円は1ドル108円台まで戻したが、上値は重く、1ドル108円00銭~108円10銭で取引を終えた。
本日の日経平均株価は、新型肺炎の感染拡大への懸念から、軟調に推移すると考えられる。
前日のNYダウが大幅続落したことや、急速に円高が進んだことが重しとなり、下押し圧力が強まるだろう。
本日のトレンドニュース
米 FRBのパウエル議長 追加の利下げの可能性を示唆【NHK】
新型コロナウイルスの感染拡大への懸念から株価の下落が続くなか、アメリカの中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会のパウエル議長が緊急の声明を発表し、「景気を下支えするために適切に行動する」と述べて、追加の利下げの可能性を示唆しました。
ニューヨーク株式市場で株価の下落が続くなか、FRBのパウエル議長は28日、緊急の声明を発表しました。
声明でパウエル議長は「アメリカ経済の基礎的な条件は強いままだが、新型コロナウイルスが経済活動のリスクになる。FRBは景気の先行きを注視していて、景気を下支えするために適切に行動する」と述べ、追加の利下げの可能性を示唆しました。
FRBは、去年7月に景気の減速を予防するためにおよそ10年半ぶりの利下げに踏み切りましたが、12月以降は経済は順調に進んでいるとして、当面は金利を据え置く方針を示してきました。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、今週、株価が大きく下落するなか、投資家の間ではFRBによる追加の利下げへの期待が急速に高まっていました。
FRBとしては、今回の声明で金融市場に広がる動揺を抑えるねらいがあるとみられ、今後、具体的にどのような対応をとるのかが注目されそうです。
中国の景況感、2月は過去最低 新型ウイルスの影響あらわ【ロイター】
中国国家統計局が29日発表した2月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は35.7と、前月の50から大幅に低下し、過去最低を記録した。
今回のPMIは、新型コロナウイルスの影響を全面的に反映する初めての経済指標。
好不況を判断する節目の50を大幅に割り込み、新型ウイルスが中国経済に打撃を及ぼしていることが浮き彫りとなった。
ロイターがまとめアナリスト予想の46.0にも届かなかった。
内訳をみると、生産動向を示す指数が1月の51.3から27.8に低下。
新規受注指数も51.4から29.3に落ち込んだ。
新型ウイルス対策で国内外の移動が制限されるなか、工場では人手不足が続き、労働市場は数年ぶりの水準まで需給がひっ迫している。
当局データによると、26日時点で生産を再開した中小企業は約30%にとどまっており、通常通りフル稼働していない企業もある。
キャピタル・エコノミクスの中国担当シニアエコノミスト、ジュリアン・エバンス・プリチャード氏は「中国の労働力不足が解消し始めたとしても、国外でウイルス感染が拡大すれば中間財の調達は難しくなり、一部企業はなかなか生産が平常に戻らないかもしれない」との見方を示した。
2月は非製造業PMIも1月の54.1から29.6に大きく落ち込んだ。
サービス部門は国内総生産(GDP)の約60%を占めるが、新型ウイルスは、運輸、観光、娯楽部門への打撃となっている。
成長のけん引役である建設活動の状況を示す指数は、1月の59.7から26.6に低下した。
新型肺炎、アップルが韓国企業などサプライヤーへの影響注視【ロイター】
米アップル(AAPL.O)のクック最高経営責任者(CEO)は、新型コロナウイルスの感染拡大について、自社のサプライヤーがある韓国やイタリアでの展開を注視していると述べた。
クック氏はFOXビジネス・ネットワークとのインタビューで、中国国内のアップル店舗は80%が営業を再開し、中国のiPhone工場も再稼働したと明らかにした。
ベトナムやカンボジアなど中国以外に生産を移す可能性があるかという質問には、アップルの供給網は世界的で、コストに加え市場へのスピードや技術も検討していると述べたほか、供給網が新型ウイルスによる打撃にどの程度耐性があるか検証していると話した。
【今朝の5本】仕事始めに読んでおきたいニュース【Bloomberg】

本日のトレンド銘柄ニュース
東映【9605】
東映は、前期が好調だった反動で、2020年3月期に関しては営業減益となると考えられる。
特に、「ドラゴンボール」シリーズの動画配信・ゲームアプリの販売が好調であれば、営業増益の確度が高まると考えられよう。
今は同社の年度末に近く、機関投資家が目標株価の基準値を、これまでの2022年3月期から2023年3月期に変更するタイミングであり、2021年3月期以降から営業増益局面に考えられるため、現在の株価は割安水準にあると考えられる。
印象としてはポジティブ。