2020年3月10日の相場解説
3月9日の日経平均株価は、前週末のNYダウが下落したことに加え、産油国の減産協議が決裂したことによる原油価格の下落と円高を受け、大幅下落に。
TOPIXが2016年11月以来の安値水準になり、日経平均株価は1,000円超下落した。
また、上海などアジア市場も全面安となったことも、日経平均株価の下落要因となった。
最終的に日経平均株価は、前日比1,050円99銭安の19,698円76銭と、2万円を割り込む水準で取引を終えた。
全33業種が下落したが、鉱業、銀行、証券・商品先物取引、鉄鋼、石油・石炭製品、非鉄金属が特に下落した。
また、同日のNYダウは、前日に引き続き、新型肺炎の感染拡大への件から、続落。
一時900ドル近く下落するなど、リスク回避の動きが強まった
また、この日発表の2月米雇用統計は事前予想を大きく上回ったものの、新型肺炎の感染拡大を反映したものでなかったため、材料視されず、市場はほとんど反応しなかった。
最終的にNYダウは前日比256.50ドル安の25,864.78ドルで取引を終えた。
一方、ドル円は早朝、1ドル104円17銭まで下落してスタートした後、1ドル103円台に。
いったん1ドル104円台まで戻したが、日経平均株価が1,000円弱下げたことから、再びドル売り優勢に。
1ドル103円台に水準を落とした後、急速に下げ幅を拡大し、1ドル101円50銭近辺まで下落した。
その後、ドル円は反発し1ドル103円台まで浮上したが、戻りは鈍く、1ドル102円台に水準を下げた。
しかし、原油価格の下落や米10年債利回りの低下、米国のさらなる利下げ観測などが上値抑制要因となり、ドル円は再び1ドル101円台に。
終盤は1ドル102円台に戻し、ロンドン時間に入ると米長期金利が下げ渋ったことから、ドル円は1ドル102円50銭近辺でもみ合いとなった。
しかし、欧州株やNYダウ先物が大幅安になると、1ドル102円30銭台まで下落した。
その後、日経平均先物が700円安から一時プラス圏に浮上し、また、米10年債利回りが0.51%台まで低下幅を縮めると、ドル円は1ドル102円80銭近辺まで持ち直す展開に。
しかし、株価が下落すると、再び水準を下げ、1ドル102円30銭台でもみ合いが続いた。
ニューヨーク時間に入ると、NYダウが大幅下落。
ドル円は1ドル101円台まで円高が進んだ。
その後、S&P500種が7%下落したことで取引が15分間停止するなど市場が混乱したことから、ドル円はさらに円高が進み、1ドル101円10銭台に。
米国株の取引が再開すると、1ドル102円68銭まで値を戻した。
しかし、NYダウが一時2,000ドル安になるなど相場の軟調が続いたため、円買いは止まらず、ドル円は再び1ドル101円10銭台に。
午後に入ると、米10年債利回りが下げ止まったことからドル円は底堅く推移し、1ドル102円台に浮上した。
また、NYダウが下げ幅を縮めたことからドル円は1ドル102円50銭台まで値を戻す場面もあったが、上値の重い状態が続いた。
最終的にドル円は、1ドル102円29銭~102円39銭で取引を終えた。
本日の日経平均株価は、前日のNYダウの急落と急激に進行した円高のため、下落しやすい地合いになると考えられる。
2万円台を回復するには相場の地合いが悪く、19,000円を割り込む展開になる可能性に注意したい。
本日のトレンドニュース
原油価格急落 “サウジがシェア奪う戦略”との見方広がる【NHK】
週明けの国際的な原油価格は、新型コロナウイルスの影響による原油の需要の落ち込みに歯止めをかけようとした産油国の協議の決裂で急落し、安値が続いています。
この事態を受けてサウジアラビアが協調路線からシェアを奪う戦略に切り替えたと伝えられ、供給過剰への懸念も強まっています。
新型コロナウイルスの影響による中国を中心とした経済活動の停滞で、原油の需要の落ち込みが見込まれる中、サウジアラビア主導のOPEC=石油輸出国機構とロシアなど非加盟の産油国が先週、価格の下支えを目指して協議しましたが、決裂しました。
この結果、3年前から続いてきた各国の協調減産の体制が崩れて、週明けの国際的な原油価格は急落し、
▽ロンドンの市場で取り引きされている北海産の原油の先物価格は1バレル=31ドル台、
▽ニューヨーク市場のWTIの先物価格は時間外取り引きで1バレル=27ドル台をつけて、いずれも先週末より30%以上安い記録的な落ち込みとなりました。
その後も、日本時間の午前4時の時点で
▽北海産の原油の先物価格は1バレル=34ドル台、
▽WTIの先物価格は1バレル=31ドル台と、先週末より20%以上安い水準が続いています。
この背景には、協議決裂を受けてOPEC最大の産油国サウジアラビアが協調路線から抜け出し大規模な増産に踏み切って、ほかの産油国からシェアを奪う「価格戦争」の戦略に切り替えたという見方が広がったことがあります。
市場関係者は「新型コロナウイルスの影響で需要の落ち込むが見込まれるところに、供給が一段と増えるという見方も強まり、価格の値下がりが加速した」と話しています。
市場では原油価格の急落でアメリカの石油産業や中南米やアフリカの産油国の経済にも影響が及びかねないと受け止められ、株式市場で株価下落にも拍車をかけています。

新型ウイルス迅速診断キット、米政府がホロジックに開発支援【ロイター】
米保健福祉省(HHS)は9日、米診断機器メーカーのホロジック(HOLX.O)に対し、新型コロナウイルスの迅速診断キット開発に向け金融支援を提供すると発表した。
ホロジックの迅速診断キットは24時間以内に1000件の診断が可能になるもので、向こう数週間で利用に向けた準備が整う見通し。
新型ウイルスを巡っては、臨床検査会社のラボラトリー・コープ・オブ・アメリカ・ホールディングス(ラブコープ)(LH.N)、診断情報サービスのクエスト・ダイアグノスティクス(DGX.N)、バイオ医薬品のOPKOヘルス(OPK.O)が前週、診断の開始が可能になると発表している。

新型コロナウイルス感染拡大で なぜ円高ドル安に?

【今朝の5本】仕事始めに読んでおきたいニュース【Bloomberg】

本日のトレンド銘柄ニュース
横川電機【6841】
横川電機は、全社受注高の50%が原油ガス関連であるため、原油ガス関連の業績依存度が高い。
そのため、今回の協調減産交渉決裂の報道は、同社にとってネガティブとなる。
また、同社はサウジ・アラムコが重要顧客であるが、今回の交渉決裂で、サウジアラビアは4月から石油生産量を1日最大1,000万バレルまで増産する意向との報道がされている。
しかし、この増産が同社に短期的に恩恵をもたらすとは今のところ考えにくい。
さらには、同社の顧客には北米のシェール関連企業もあるが、同社の北米売上高の8%と、10%未満となっている。
かねてから北米のシェール関連は、LMGの供給過剰から価格が下落しているため、事業環境は良くない。
今回の原油価格下落の影響により、LNGも価格の下落が続き、北米のシェール関連企業の業績は低迷が続く可能性がある。
なお、同社の競合がエマソン・エレクトリックだが、エマソン・エレクトリックの北米売上高の依存度は約50%と高いことから、横川電機は北米のシェール関連の業績低迷の影響は限定的なものに留まると考えられる。
しばらくの間、同社株は原油価格の下落の影響を受けるとみられるが、2016年1月~3月の原油価格の急落時は、同社の制御受注高は堅調に推移した。
ただ、今期に関しては、同社の制御事業の受注高は前年の大型案件の剥落により前年比マイナスであることから、短期的には制御受注高が買い材料になるとは言えない。
ただ、原油価格の下落と制御受注高が、同社の場合は必ずしも正の相関関係にならないことから、株価が大幅にマイナスとなった時は、買いの好機になると言える。