2020年5月13日の相場解説
5月12日の日経平均株価は、欧米での経済再開の動きを好感し、買い優勢に。
ただ、利益確定売りも出たことから、午後は買いの動きが弱まり、上値の重い状態となった。
最終的に日経平均株価は前日比211円57銭高の20,390円66銭で取引を終えた。
NYダウは、新型肺炎の感染拡大が再燃し、下落。
序盤は経済活動の再開を好感してNYダウが上昇し始まったが、米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長が経済活動の性急すぎる再開へのリスクを警告したことから、感染第二波への警戒が広がり、NYダウはマイナス圏に。
下げ幅を拡大したことから、前日比457.21ドル安の23,764.78ドルで取引を終えた。
東京時間のドル円は、序盤、利食い売りが先行し、1ドル107円50銭台に弱含んだ。
さらに、新型肺炎を巡る豪中関係の悪化によりリスクオフムードが広がり、1ドル107円40銭台まで弱含んだ。
また、日経平均株価が前日の終値を挟んで不安定な動きとなったことも、ドル円の上値抑制要因となった。
欧州勢が参入すると、ドル円はじり高となり、1ドル107円60銭前後まで浮上。
ロンドン時間に入ると欧州株式市場の先物指数が高安まちまちとなったことから方向感のない状態になり、ドル円は1ドル107円50銭台で小動きとなった。
しかし、途中でドル安が進んだことから1ドル107円40銭台まで弱含んだ。
ニューヨーク時間に入ると米労働省が発表した4月の消費者物価指数(CPI)が前月比-0.8%と2008年12月以来最大となり、2か月連続のマイナスとなった。
そのため、ドル売り優勢となり、一時1ドル107円23銭まで下落した。
さらに、この日米上院で米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長が早すぎる経済活動再開に警鐘を鳴らしたことから、新型肺炎の第2波への懸念が強まったことから、NYダウが一転して下落したことも、ドル円の下押し要因となった。
ドル円は一時1ドル107円17銭まで下げ幅を拡大した。
最終的にドル円は、1ドル107円10銭~107円20銭で取引を終えた。
本日の日経平均株価は、NYダウが下落したことを受け、軟調に推移しやすいと考えられる。
本日のニュース
JFEホールディングス 過去最大赤字 鉄鋼大手いずれも赤字に【NHK】
鉄鋼大手、JFEホールディングスのことし3月期の決算は、最終的な損益が1977億円の赤字に転落しました。
自動車向けを中心に鉄鋼需要が落ち込んだほか、製鉄所の資産価値を見直すなどしたためで、赤字幅は過去最大です。
JFEホールディングスのことし3月期の決算は、売り上げが前の年より3.7%減って、3兆7297億円、最終的な損益は過去最大の1977億円の赤字となりました。
これは、アメリカと中国の貿易摩擦で主に自動車向けの鉄鋼需要が減少したことに加えて、高炉の休止などに伴い製鉄所の資産価値を引き下げるなどしたためです。
赤字幅は、過去最大です。
来年3月期の業績予想については、新型コロナウイルスの感染拡大で最大の取引先である自動車メーカーをはじめ、幅広い分野で需要の動向が見通せないとして、非公表としました。
電話による記者会見を行ったJFEホールディングスの寺畑雅史副社長は「JFEグループ発足以来の最大の危機だ。この難局を乗り切るために徹底したコスト削減をはじめ、あらゆる施策を実施していく」と述べました。
鉄鋼業界では、日本製鉄や神戸製鋼所もことし3月期の決算が最終赤字に転落しています。
鉄鋼需要の減少は、リーマンショックを上回るという見方もあり、大手鉄鋼メーカーは高炉の休止など生産体制のさらなる見直しを迫られる可能性もあります。
JR東日本 4月の鉄道事業収入 約1000億円減少の見通し【NHK】
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、JR東日本は、先月の鉄道事業の収入が去年の同じ月と比べておよそ1000億円減少する見通しとなり、グループ会社も含めた役員100人が報酬の10%を3か月分、自主返納することを決めました。
JR東日本の先月の利用者は感染拡大を受けた外出の自粛などの影響で、新幹線が去年の同じ月と比べて87%、在来線が88%の大幅な減少となりました。
この結果、定期券の購入などを除いた先月1か月の鉄道事業の収入は、去年の同じ月よりもおよそ1000億円減少する見込みだとしています。
これを受けて、会社はグループ会社のトップも含めた役員100人について役員報酬の10%を3か月分、自主返納することを決めました。
また、この夏に社員に支給する賞与について、深澤祐二社長は記者会見で「これから労働組合と交渉することになるが、毎年、業績に連動して決めているので、ことしは厳しい数字になる」と述べ、去年よりも減額する見通しを示しました。
また、今後の鉄道需要について、深澤社長は「緊急事態宣言が解除されたとしても、県境を越えた移動は自粛の要請が続くことも想定され、鉄道の利用者が元に戻るまでには時間がかかる」と述べました。

【今朝の5本】仕事始めに読んでおきたいニュース【Bloomberg】

本日の銘柄ニュース
太陽誘電【6976】
太陽誘電の2020年3月期は増収増益。
同社は新型肺炎の影響を考慮し、通期計画は今回公表していない。
なお、1Qの会社計画は公表し、売上高600億円(前年同期比13%減、同4Q比12%減)、営業利益30億円(同69%減、同4Q比60%減)としている。
大幅な減益は一見するとネガティブだが、競合他社と比べても同程度で、特段低い印象はない。
また、新型肺炎の影響以外にネガティブな要因はない。
今後、中長期的に5G、データセンター、自動車CASE等の需要構造の変化に伴うセラミックコンデンサの需要が増加すると考えられ、その流れは特段変わりないとみられる。
決算の印象としてはニュートラルだが、大幅に売られるようであれば押し目買いしたい。