2020年5月20日の相場解説
5月19日の日経平均株価は、米モデルナ社の新型肺炎のワクチンの臨床試験第1フェーズで、参加者全員が抗体を獲得し、有効性を示すデータを得たとの発表を好感し、上昇。
幅広い銘柄が上昇し、一時前日比500円超上げ幅を拡大する場面もあった。
しかし、利益確定売りに押され、上げ幅を縮める展開に。
そのため、日経平均株価は前日比299円72銭高の20,433円45銭で取引を終えた。
NYダウは、前日の大幅上昇を受けた利益確定売りが優勢となった。
さらに終盤には、医療系ニュースサイトが、米モデルナ社のワクチン開発について、専門家が懐疑的な見方を示しているとの報道があったことから、売りが加速した。
そのため、NYダウは、前日比390.51ドル安の24,206.86ドルで取引を終えた。
東京時間のドル円は、序盤、は1ドル107円30銭前後で小動きとなった。
東京株式市場がスタートし、前日のNYダウが大幅上昇したことを好感して日経平均株価が上昇すると、円安・ドル高に。
また、原油高も後押しし、ドル円は1ドル107円40銭台まで浮上したものの、仲値近辺で実需筋のドル売りが入ったことから、再び1ドル107円30銭台まで下落した。
しかし、ドル売りが一巡すると再びリスクオンの円売り優勢となり、ドル円は1ドル107円40銭台まで浮上した。
その後のドル円は小動きとなったが、欧州勢が参入すると、クロス円の買いにつられ、1ドル107円50銭台まで浮上。
しかし、ユーロ円が買い一服となったことに加え、NYダウ先物が下落したことから、ドル円は1ドル107円30銭台に水準を下げた。
しかし、日銀が22日に臨時会合を開催するとの報道がされると、追加金融緩和への思惑から、1ドル107円59銭まで強含む展開に。
ロンドン時間に入ると欧州株やNYダウ先物が下落する一方で、ドル円は1ドル107円50銭台を維持。
その後、さらにリスクオンの円売り優勢となったことから、ドル円は1ドル107円60銭台まで上値を伸ばした。
ニューヨーク時間に入るとこの日発表の米4月住宅着工件数が事前予想の90万戸を下回る89.1万戸となった一方で、4月住宅建設許可件数が事前予想の100.0万戸を上回る107.4万戸となったことが好感され、ドル円は上昇。
1ドル108円09銭まで上伸した。
しかし、NYダウが200ドル超安となると、ドル円は再び水準を下げ、1ドル107円80銭台に。
その後は上値の重い展開が続き、ドル円は1ドル107円90銭台まで戻したものの、再び1ドル107円70銭台に水準を下げた。
最終的にドル円は、1ドル107円64銭~107円74銭で推移した。
本日の日経平均株価は、NYダウが下落したことがマイナス材料になると考えられるものの、日銀の追加金融緩和への期待感やクドロー米国家経済会議委員長が「トランプ米大統領は、米中貿易交渉の第一段階合意を破棄するとは発言していない」と述べたことが材料視され、リスク回避姿勢が後退するとみられる。
そのため、上昇しやすい地合いになるだろう。
本日のニュース
日産自動車 6月も3工場で生産一時停止 新型コロナ影響長期化【NHK】
新型コロナウイルスの感染拡大で世界的に車の需要の低迷が続いていることから、日産自動車は、来月も国内3つの工場の生産を一時停止することを明らかにしました。
高級ブランドの車種を生産する栃木工場は、通常休みとなっている土日に加え来月1日から19日までのすべての平日も生産を停止します。
また、小型車や電気自動車を生産する神奈川県の追浜工場は来月1日の1日のみ、子会社の日産自動車九州は来月1日から5日まで、それぞれ生産を一時停止するということです。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で世界的に車の需要が落ち込んでいるほか、一部の部品の調達が難しくなっているためだとしています。
国内の自動車メーカーではトヨタ自動車も来月の4日間、一部の生産ラインを除いて国内すべての自動車工場の稼働を停止することを決めるなど影響が長期化しています。

航空券の取り消し鈍化、需要回復はまだ先=航空各社【ロイター】
米国およびカナダの航空各社は19日、航空券の取り消しが鈍化する一方、一部路線の予約が改善していると発表した。
ただ、航空需要が新型コロナウイルス危機前の水準に回復するのは厳しいとの見解を示した。
米デルタ航空のジェイコブソン財務最高責任者(CFO)はオンラインで開催された業界会議で、業界全体で「需要が正常化した」との感覚を得るまでには3年かかる可能性があると指摘。新型コロナのワクチンが開発されるまでは航空需要は見込みにくいとした。
また6月には約100便の運航再開を計画しており、これにより月末まで1日当たり約4000万ドルに資金流出ペースを鈍化できるほか、年末までにはキャッシュフローが損益分岐点に達するとした。
米アメリカン航空グループのカーCFOは会議で、来年のキャッシュフローを黒字化するためには「適正な規模」にする必要があるとし、余剰資金は全て今後5年間の債務返済に充てるとした。
カナダ航空最大手エア・カナダのルソーCFOは、資金流出が止まる時期は今後数カ月の収入次第とし、予測できないと述べた。
これとは別に、米サウスウエスト航空は6月の運航能力が前年比で約半減すると発表。5月の60─70%減からは改善する見通しを示した。
一方、国際線の比率が高い米ユナイテッド航空の持ち株会社ユナイテッド・エアラインズ・ホールディングスは6月の運航能力が前年比で約90%減、7月は75%減になるとした。
【今朝の5本】仕事始めに読んでおきたいニュース【Bloomberg】

本日の銘柄ニュース
寿スピリッツ【2222】
寿スピリッツの2020年3月期は前期比10.8%増収、同8.0%営業増益となった。
グループ内でのオペレーションの強化と、寿製菓・但馬寿および九十九島グループの収益性改善により増益を確保した。
ただ、4Q(1-3月)に関しては、新型肺炎の影響で前年同期比14.8%減収、同84.1%営業減益と大幅に業績が下押しされる形となっている。
同社は新型コロナウイルス感染症流行の影響で先行き不透明感が強いことから、2021年3月期会社計画を未定としている。
2Qも新型肺炎の影響が残ると考えられ、本格的な業績回復には時間がかかると考えられる。
印象としてはネガティブであるものの、ある程度織り込み済みと考えられる。