2020年5月22日の相場解説
5月21日の日経平均株価は、前日のNYダウが上昇したことが好感され、取引直後こそ前日比140円高となったが、買い一巡後は戻り売り優勢となった。
また、トランプ米大統領がTwitterで「中国は大規模な偽情報キャンペーン中だ」と投稿したことから、米中対立が深刻化するのではないかとの懸念が広がったことも日経平均株価の下押し要因となり、後場に入ると日経平均株価は前日の終値を挟んでもみ合いになった。
最終的に日経平均株価は、前日比42円84銭安の20,552円31銭で取引を終えた。
NYダウは、米中対立への懸念が広がったことから下落。
トランプ米大統領が新型肺炎を巡る中国の対応を批判する内容を複数Twitterに投稿し、さらには中国が香港の反政府活動摘発のための治安法制を審議するとの報道に対しても、「米国は強力に対応する」と述べ、対抗策を取る構えを示した。
このことから、市場はリスクオフ姿勢が強まったため、NYダウは前日比101.78ドル安の24,474.12ドルで取引を終えた。
東京時間のドル円は、序盤は1ドル107円50銭台で推移したが、東京株式市場がスタートし、日経平均株価が上昇すると、1ドル107円70銭台に浮上。
しかし、ドル買いが一巡したことに加え、後場の日経平均株価が下落すると、1ドル107円60銭台に下落し、膠着状態に。
しかし、欧州勢が参入すると、時間外のNYダウ先物が下げ幅を縮小したことや原油高を背景にカナダドル円が上昇したことからドル買いが強まり、1ドル107円85銭まで浮上。
ロンドン時間に入ると1ドル107円80銭台でもみ合いが続き、ドル円は再び107円70銭台に失速した。
米国時間に入り、前週分の米新規失業保険申請件数が事前予想の240万件を下回る243.8万件となったことや、米フィラデルフィア連銀製造業景況指数が事前予想の-40.0を下回る-43.1となった一方で、4月の米中古住宅販売件数が事前予想の422万戸を上回る433万戸、4月米景気先行指数が事前予想の前月比-5.4%を上回る同-4.4%となり、強弱まちまちの結果となった。
これによりドル円は1ドル107円70銭台でのもみ合いが続いた。
その後、対ユーロでのドル買いが一巡したことに加え、NYダウが200ドル超下落するとドル円は弱含み、1ドル107円60銭台に。
最終的にドル円は、1ドル107円51銭~107円61銭で推移した。
本日の日経平均株価は、米中対立への懸念が広がっていることから、リスクオフムードになりやすいだろう。
また、週末のポジション調整の動きが強まると考えられるため、軟調になりやすいと考えられる。
本日のニュース
先月のスーパー売り上げ 売り場休業で衣料品など落ち込み減少【NHK】
全国の主なスーパーの先月の売り上げは、去年の同じ月と比べて4.5%減少しました。食料品の販売は好調だったものの、政府の緊急事態宣言を受けて売り場を休業にした衣料品などの販売が大きく落ち込んだためです。
日本チェーンストア協会によりますと、全国の主なスーパー1万770店の先月の売り上げは合わせて1兆162億円余りでした。
営業を継続している店舗どうしの比較では、去年の同じ月を4.5%下回り、3か月ぶりに減少しました。
このうち食料品は、新型コロナウイルスの感染拡大で自宅で過ごす人が増えたため、冷凍食品や野菜などの販売が引き続き好調で9.5%もの大幅な増加となりました。
しかし、先月は緊急事態宣言が出されたことを受けて、衣料品や家具などの売り場を休業にした店舗も多く、衣料品が53.7%減少するなど食料品以外の売り上げが大きく落ち込んで、全体としてはマイナスになりました。
日本チェーンストア協会の井上淳専務理事は「この先、緊急事態宣言が全国的に解除されれば徐々に日常生活が元に戻っていくと思うが、経済や消費者心理の悪化が続き消費が低迷するのではと懸念している」と話しています。

米失業率「悪化が先」、景気回復巡る予想困難=NY連銀総裁【ロイター】
米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は21日、新型コロナウイルスの影響で4月に14.7%を記録した失業率について「改善よりも悪化が先に来る」という考えを示した。
今後の景気回復動向を見通すのは困難とも指摘した。
直近の経済指標はコロナ禍による家計の痛みを完全には反映していないが、経済活動が再開するにつれ、経済への影響や回復までの期間に関する情報は増えるとした上で「今後の回復の動向や期間については不明だが、自動車や高等教育、製造業、専門職などへの影響を一段と把握するまでには一定の時間がかかる」と述べた。
金利については、経済が安定化し二大責務の達成に向かっているという確信が得られるまで低水準にとどまると強調した。
【今朝の5本】仕事始めに読んでおきたいニュース【Bloomberg】

本日の銘柄ニュース
トレンドマイクロ【4704】
トレンドマイクロの2020年12月期1Qは、新型肺炎の影響はほとんどなかった。
ただ、商談の遅れ等、新型肺炎の影響により低迷するなどの影響が、2Q以降は出てくるものと考えられるが、それでも比較的軽微なものにとどまると考えられる。
テレワークの増加により、今後、企業のセキュリティへの意識は高まるだろう。
そのため、この分野への企業の投資は今後も底堅く推移するものと考えられる。
同社のSaaS Deployed Instance Countは、1Q末時点で前年比59%増の2,100万件となっており、月間では数十万件のペースで推移している。
そのため、今期も同社の業績は堅調に推移するとみられるが、同社のPre-GAAP(受注)が前年比1桁台後半増を維持できるかどうかがポイントである。
印象としてはポジティブ。