2020年6月2日の相場解説
6月1日の日経平均株価は、先週金曜日のトランプ米大統領の記者会見で、米中貿易協議の第一段階の合意が撤回されなかったことからリスク回避姿勢が後退したため、上昇。
最終的に日経平均株価は、前週末比184円50銭高の22,062円39銭で取引を終えた。
NYダウは、中国が米国からの大豆輸入の一部を停止する可能性があるとの報道や、米ミネソタ州で黒人男性が白人警官による拘束時に死亡した事件により、人種差別への抗議デモが全米に広がっていることから、取引開始直後に下落。
一時前日比162ドル安まで売られたが、プラス圏に浮上した。
しかし、上値が重く、前日比91.91ドル高の25,475.02で取引を終えた。
この日の午後、トランプ米大統領が記者会見を開き、香港への優遇措置を見直すことを発表した一方で、市場が懸念していた米中貿易協議の第一段階の合意が撤回されるとの見通しが後退したことから、記者会見中、一時前日比368ドル安まで下落したNYダウが一気に浮上し、同82ドル高となる場面もあった。
最終的にNYダウは前日比17.53ドル安の25,383.11ドルで取引を終えた。
東京時間のドル円は、日経平均株価の上昇やNYダウ先物の下げ幅縮小を受けて、1ドル107円86銭まで浮上。
しかし、この日発表の中国の財新製造業PMIが事前予想を上回る内容でリスク選考ムードが広がったことや、米国での大規模デモを受けて、ドルが全面安となった。
そのため、ドル円は1ドル107円60銭まで水準を下げた。
さらに、後場に入り日経平均株価が上げ幅を縮小すると、ドル円は1ドル107円52銭まで軟化。
ロンドン時間に入ると、米国での大規模デモや、中国が米国産大豆の一部輸入を停止との報道があったことから、リスク回避の円買い優勢となり、ドル円は1ドル107円39銭まで下落。
しかし、下値は堅く、いったん1ドル107円60銭台まで買い戻された。
ニューヨーク時間に入ると、この日発表のISM製造業景況指数が依然予想の43.5を下回る43.1となった一方で、4月米建設支出が前月比2.9%と事前予想の同6.0%を上回った。
このように強弱まちまちの内容となった経済指標に対し、ドル円は1ドル107円75銭に浮上した後、107円60銭台に軟化。
NYダウが一時160ドル超下落した後、プラス圏を回復すると、リスクオフのドル買いが後退したものの、ドル円はもみ合いが続いた。
最終的にドル円は、1ドル107円55~107円65銭で推移した。
本日の日経平均株価は、中国の米国産大豆の輸入に関する報道や、米国での大規模デモが相場の重しとなるものの、昨日のNYダウがプラスで取引を終えていることが好感され、上昇しやすいと考えられる。
本日のニュース
大手デパート5社5月売り上げ6~8割程度減 減少幅は4月より縮小【NHK】
大手デパート5社の先月の売り上げは、去年の同じ月より6割から8割程度、減少しました。ただ、緊急事態宣言の解除を踏まえ、店舗の営業を再開させる動きが相次いだことから、減少幅は4月よりも縮小しました。
大手デパート各社によりますと、先月の売り上げの速報値は、いずれも去年の同じ月より減少し、
▽三越伊勢丹ホールディングスが78.1%、
▽大丸松坂屋百貨店を傘下に持つJ.フロント リテイリングが71.6%、
▽阪急阪神百貨店が69.5%、
▽高島屋が62.9%、
▽そごう・西武が61.5%、それぞれ落ち込みました。
ただ、緊急事態宣言の解除を踏まえて店舗の営業再開が相次いだことから、確認できる範囲で過去最大の落ち込みとなったことし4月と比べると、減少幅は縮小しました。
大手デパートは、各社ともすべての店舗で営業を再開していますが、多くの店舗で営業時間の短縮が続いているほか、外国人旅行客による免税の売り上げがほとんどない状態が続いています。
このため各社では売り上げの本格的な回復には時間がかかるとみて、ネット通販での販売を強化するなどの対策を進めています。

香港、米制裁で成長トレンド大幅悪化なら格下げも=S&P【ロイター】
大手格付け会社S&Pグローバル・レーティングは1日、現在「AAプラス」としている香港の格付けについて、米国が香港の金融部門に制裁措置を導入し、成長トレンドが大幅に悪化すれば、引き下げる可能性があるとの見解を示した。
中国全国人民代表大会(全人代)が5月28日に「香港国家安全法」の制定方針を圧倒的賛成多数で採択したことを受け、トランプ米大統領は29日、香港に対する優遇措置を撤廃するよう政権に指示したと明らかにした。
S&Pグローバルのソブリンアナリスト、キム・エン・タン氏は、香港のAAプラス格付けは、一部の「AAA」格付けと同等とも見なされるものの、将来を巡る先行き不透明性が高くなっていると指摘。
「金融部門を含むサービス産業全体に米国の措置の影響が及び始めれば、香港に対する経済的な影響は一層深刻になる」とし、「成長トレンドにかなり大きな影響が出るという最悪のケースでは、S&Pグローバルは香港経済に対する評価を一段と引き下げ、香港の格下げにつながる可能性がある」と述べた。
ただ、トランプ大統領が5月29日に示した方針については、香港の対米輸出は全体の0.1%でしかないため、香港経済に大きな影響は及ばないとの見方を示した。
主要3格付け機関のうち、反政府デモの拡大を受け、昨年にかけて香港を格下げしていないのはS&Pグローバルのみ。
【今朝の5本】仕事始めに読んでおきたいニュース【Bloomberg】

本日の銘柄ニュース
ダスキン【4665】
ダスキンは、家庭向けの定期訪問が、新型肺炎により一時休止となっている。
また、事業所向けについても、主力が飲食店向けということもあり、今回の新型肺炎の影響による一時休店・廃業等を余儀なくされた飲食店からの需要減少により、苦戦すると考えあれれる。
そのため、主力の訪販事業での苦戦が続くとみられる。
また、もう一つの主力である飲食店向けについても、ミスタードーナツ事業自体は元々テイクアウト対応をしているため、新型肺炎の影響は比較的限定的なものにとどまると考えられるが、同社は外食産業において複数の業態を運営していることから、外出自粛による来店客数の減少の影響を受けるとみられる。
このような状況から、同社は利益成長が小さくなるとみられる。
印象としてはネガティブ