2020年8月31日の相場解説
8月28日の日経平均株価は、米国の長期金利上昇を受けて金融株を中心に高く始まった。
午後に入っても買い優勢だったが、安倍首相が辞任の意向を固めたとの報道が出たことで、一転して急落。
一時600円を超える下げ幅となったが、やや値を戻した。
そのため、日経平均株価は前日比326円21銭安の22,882円65銭で取引を終えた。
NYダウは、FRBによる超低金利政策の長期化観測を背景に買われる展開に。
また、この日発表の7月個人消費支出や8月の米ミシガン大学消費者景況感指数(確報値)が事前予想を上回り、米実質GDPの7割を占める個人消費の堅調さが確認されたことも好感された。
そのため、NYダウは前日比161.60ドル高の28,653.87ドルで取引を終えた。
また、ナスダックは70.29ポイント高の11,695.63と2日ぶりに終値の史上最高値を更新して取引を終えた。
東京時間のドル円は、序盤、1ドル106円60銭台で推移。
日経平均株価が上昇すると、ドル円は1ドル106円70銭台に浮上し、仲値近辺では1ドル106円79銭を付ける場面もあったが、実需筋によるドル売りにより上値が重くなり、1ドル106円60銭台まで水準を下げた。
しかし、ドル売りが一巡すると、株高やクロス円の上昇につれた買い戻しが広がり、1ドル106円95銭まで上昇した。
その後も底堅く推移したが、14時過ぎに安倍首相が辞任の意向を固めたとの報道があると、ドル円は1ドル106円10銭台に急落。
ただ、日経平均株価が下げ渋ると、ドル円は1ドル106円40銭台まで買い戻された。
欧州勢が参入すると、ドル売り優勢となり、ドル円は1ドル106円00銭まで下落する展開に。
安倍首相の辞任を受けて円は全面高となり、ロンドン時間には1ドル105円20台まで下落した。
ニューヨーク時間に入ると、米7月コアPCEが発表され、事前予想の前年比+1.2%を上回る同+1.3%となり、8月ミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)が事前予想の72.8を上回る74.1となる一方、米8月シカゴ購買部協会景気指数(PMI)が事前予想の52.6を下回る51.2と強弱入り混じったことから、ドル円は値動きが鈍くなり1ドル105円40銭台で推移。
その後も小動きとなり、最終的にドル円は1ドル105円30銭~105円40銭で取引を終えた。
本日の日経平均株価は、前週末の終盤の急落からの買い戻しに加え、米国市場が好調だったことが好感され、上昇基調となるだろう。
ただし、政局に関係するニュースには引き続き注意したい。
本日のニュース
ソフトバンクグループ 子会社株式 一部売却へ 手元資金拡充で【NHK】
ソフトバンクグループは、子会社の通信大手ソフトバンクの株式の一部、21%分を売却します。
手元の資金の拡充が目的だとしていて、売却額はおよそ1兆4000億円に上るとみられます。
発表によりますと、ソフトバンクグループは、携帯電話事業などを手がける子会社ソフトバンクの株式およそ21%分を来月、証券会社に売却します。
価格は公表していませんが、28日の終値を基に計算すると、1兆4700億円に上ります。
昨年度の決算で巨額の赤字を計上したソフトバンクグループは、財務の改善に向けて、出資する子会社の株式など、これまでに目標額の95%に当たる4兆3000億円分の資産の売却を行いました。
今回の売却の理由について、会社では、新型コロナウイルスの影響で株式市場の環境が不透明なため、手元の資金をさらに拡充する必要があると考えたためだと説明しています。
これによって、子会社ソフトバンクへの出資比率は40%余りに下がり、過半数を下回りますが、引き続き子会社としての位置づけは変わらず、追加で売却する予定はないとしています。
米掘削リグ稼働数、月間で12月以来の増加=ベーカー・ヒューズ【ロイター】
エネルギーサービス会社ベーカー・ヒューズが発表した8月28日までの週の米国内石油・天然ガス掘削リグ稼働数は、前週と同水準だった。
月間ベースでは昨年12月以降で初めて増加した。
原油価格が上昇する中、一部の生産会社が掘削を再開した。
8月月間の石油・天然ガス掘削リグ稼働数は3基増の254基。
28日までの週は、石油リグ稼働数が3基減の180基で、天然ガスリグ稼働数は3基増の72基となった。
新型コロナウイルス流行を受けた需要減により、米原油価格は依然として年初の水準から約30%下落しているが、ロックダウン(都市封鎖)解除に伴う需要回復への期待感からWTI原油先物はこの4カ月で128%上昇、28日時点で1バレル=43ドル前後となった。

【今朝の5本】仕事始めに読んでおきたいニュース【Bloomberg】

本日の銘柄ニュース
NISSHA【7915】
NISSHAは、来期以降のディバイス部門の減収の影響が懸念され、株価は軟調に推移している。
しかし、同社はすでにスマホ向けフィルムセンサーの需要減を見越し、収益構造を変化させつつある。
そのため、業績変動リスクは低下している。
なお、今2Q単独については、営業損失23.2億円となっているが、希望退職に伴う一時費用が20億円ほどあったことを考慮すると、収益構造が改善したと考えられる。
これらを考慮すると、来期以降も黒字が定着すると考えられる。
現在の株価はこのことが織り込まれておらず、割安であると考えられる。
印象としてはポジティブ。