2020年10月30日の相場解説
10月29日の東京株式市場は、欧米での新型肺炎の感染再拡大とそれに伴う経済活動の制限措置の再拡大を受けて、前日のNYダウが大幅続落したことから、ほぼ全面安に。
一時前日比250円近く下落したものの、押し目買いが入ったため、その後は下げ幅を縮小した。
そのため、日経平均株価は前日比86円57銭安の23,331円94銭で取引を終えた。
NYダウは、欧米での新型肺炎の感染再拡大と経済活動の停滞による景気回復の遅れがこの日も懸念され、売り優勢でスタートしたものの、売り一巡後は、この日発表の7-9月期の 米GDPの上振れや前週分米新規失業保険申請件数の改善が好材料となり、底値で買う動きが広がった。
そのため、NYダウは前日比139.16ドル高の26,659.11ドルで取引を終えた。
また、ナスダック総合指数は、前日比180.72ポイント高の11,185.59で取引を終えた。
東京時間のドル円は、序盤は1ドル104円30銭台で推移し、仲値近辺で実需筋によるドル買いが入ったことから、1ドル104円40銭に浮上。
時間外のNYダウ先物が280ドル超上昇すると、1ドル104円49銭まで強含んだ。
午後に入り日銀が事前予想どおり政策金利等を据え置き、今年のGDP予想を下方修正する一方、2021年、2022年は上方修正したものの、市場の反応は乏しく、1ドル104円40銭台での推移が続いた。
欧州勢が参入すると、ドル円は水準を下げ、1ドル104円20銭台に。
ロンドン時間に入ると1ドル104円02銭まで弱含んだが、104円10銭台に反発。
ニューヨーク時間に入ると、米・前週分新規失業保険申請件数が発表され、事前予想の77.0万件を下回る75.1万件となり、前回の78.7万件から改善した。
また、米7-9月期GDP速報値が事前予想の前期比年率+32.0%を上回る+33.1%となった。
このことが好感され、NYダウ先物がプラスに転じ、ドル円は1ドル104円30銭台に浮上。
その後発表された、9月の米中古住宅販売成約指数が事前予想の前月比+2.9%を下回る同-2.2%となると、ドル買いが一服した。
しかし、ECBでラガルド総裁が「次の会合で行動をとる必要があると合意」と記者会見で発言すると、12月にECBが追加緩和策をとるのではないかとの見方から、ユーロドルがドル高・ユーロ安に。
その影響をドル円も受ける形で、1ドル104円44銭までじり高となった。
さらに、米10年債利回りが0.81%台に上昇すると、ドル円は1ドル104円71銭まで上昇し、その後は1ドル104円60銭台で推移した。
最終的にドル円は、1ドル104円56銭~104円66銭で推移した。
本日の日経平均株価は、前日の米株の大幅続落を受け、下落しやすい展開に。
円高の進行も、重しになると考えられる。
本日のニュース
パナソニック テスラの要請受け新型電池の開発に着手【NHK】
大手電機メーカーのパナソニックは、アメリカの電気自動車メーカー、テスラからの要請を受けて、新型の電池の開発に着手したことを明らかにしました。
これは、パナソニックの梅田博和CFO=最高財務責任者が、29日の決算会見で明らかにしたものです。
この中で梅田CFOは、新型の電池の開発に着手したと述べたうえで「テスラからの強い要請があり、私どもの目指す姿も一致するので、開発をしっかりやるということで臨んでいる」と述べました。
パナソニックにとってテスラは、アメリカ ネバダ州で「ギガファクトリー」と呼ばれる大規模な電池工場を共同で運営するなど、車載電池の最大の供給先となっています。
テスラは、中国をはじめとして電気自動車の販売を拡大し、今後も世界的に環境規制が強化される中、成長が見込まれているだけに、新型電池でも生産を担うことができるかが、パナソニックの業績を大きく左右することになりそうです。
ロシュ、コロナ抗原検査キット生産を月間数億回分に=CEO【ロイター】
スイス製薬大手ロシュROG.Sのシュヴァン最高経営責任者(CEO)は29日、新型コロナウイルスの感染第2波を受け、コロナ抗原検査キットの生産を月間で数億回分に拡大すると発表した。
新型コロナ感染者が世界的に増加し、ドイツやフランスなどで新たな制限措置が実施される中、ロシュや米アボット・ラボラトリーズABT.N、独シーメンスの医療機器部門シーメンス・ヘルシニアーズSHLG.DEなどは供給不足の抗原検査に目を向けている。
シュヴァンCEOは、生産能力の限界を理由に抗原検査より正確なPCR検査を月間で数千万回分以上生産することはできない可能性があると指摘。
現在はスワブ検査より精度が高い唾液を使った抗原検査に注力しており、製品化を期待しているとした。
【今朝の5本】仕事始めに読んでおきたいニュース【Bloomberg】

本日の銘柄ニュース
ルネサス エレクトロニクス【6723】
ルネサス エレクトロニクスの2020年12月期3Qは減収増益。
自動車向けを中心に需要が堅調だったことから、会社計画を上回った。
また、懸念されていたチャネル在庫はセルスルーが好調だったことから水準が健全化した。
稼働率も50%強に上昇。
製品ミックスの悪化(自動車→増収、産業・インフラ・IoTが微減収)により、今4Qは粗利率が3Q比でやや低下(47.5%→47.0%)するものの、堅調な計画。
さらに、2021年に関しては、コロナ特需が剥落することによる反動があるものの、データセンター向けが2021年2Qから、基地局向けが2021年下期から売上が拡大する見通しのため、相殺が可能と会社はみている。
印象としてはポジティブ。