「安く買って高く売る」ためには良い銘柄を選ぶことと買うタイミングが大切
株を取引するメリットの一つがキャピタルゲインです。つまり、株の売買益のことがキャピタルゲインで、「安く買って高く売る」ことで得られます。どんな商売にも通じる基本的なことですが、株の場合、買った時は箸にも棒にもかからないような安値だったものが、後で大化けして何百倍にもなることもあるため、普通の商売で利益を得るよりも夢があるのは確かです。例えるなら、無名の画家の絵を安く買ったら、その画家が後で出世して世界的に有名な画家になり、1枚の絵が何十億にもなった…というのと同じような感じです。つまり、株のキャピタルゲインの魅力は、このような夢のある買い物ができることです。
とはいえ、このように大化けする銘柄は決して多くありません。新興市場に上場する小型株のうち、驚くような化け方をするような銘柄はしょっちゅう出てくるわけではないからです。また、東証一部などの大型株については、このような大化け銘柄を狙うのは難しいと言えるでしょう。というのも、東証一部上場の銘柄は名の知れた超大手企業が多く、老舗企業もたくさんあることから、急激な成長段階はとっくの昔に終わり、今後は安定的な成長続ける企業がほとんどだからです。そのため、これから株価が何十倍、何百倍になるとは考えにくいでしょう。ただし、銘柄にもよりますが、数倍程度の値上がりを狙うことはできます。
このような株価の値上がり益を得るためには、基本的に良い銘柄を選ぶ必要があります。ただし、良い銘柄だからといって、いつでも買えば良いかというと、決してそうではありません。
株価は常に同じ価格ではありません。もちろん、「昨日と今日の株価が同じ」ということもありますが、基本的には「今日は昨日より上がった」「今日は昨日より下がった」というように、毎日変動します。そうして株価は日々上下しながら、長期的に見たときに「この銘柄の株価は1年前に比べて2倍になった」「この銘柄の株価は1年前に比べて3分の1の価格になった」というように変動していきます。どんなに良い銘柄でも株価が上昇し続けるわけではなく、どんなに良くない銘柄でも、株価が下落し続けるわけではありません。いずれ天井(株価が最高値に達することが)や底(株価が最安値に達すること)に達し、そこから株価のトレンドが変わっていきます。つまり、上昇トレンドにあった株が天井に達し、そこで反転して下降トレンドになる、あるいは下降トレンドにあった株が底に達し、そこで反転して上昇トレンドになる…ということです。
「この株はどんどん上がってきているから買おう」と考えて買ったタイミングが天井付近の場合はどうなるでしょうか。そこからは下降トレンドに入るため、その株を保有すればするほど損失が膨らむことになります。どんなに良い銘柄であっても、ずっと株価が上がり続けるわけではないため、売買するタイミングを間違えると、このようなことが起きてしまいます。そのため、株を買うタイミングも非常に大切なのです。
今後の成長が期待できるかどうかが、良い株を見分けるポイント
先ほど書いたとおり、キャピタルゲインで利益を得るためには、「株を安く買って高く売る」ことが非常に重要になります。どんなに安い銘柄でも今後株価が上がる見込みがないようではまったく意味がありませんので、今後株価が上がりそうな銘柄を見つける必要があります。つまり、「良い株を安く買う」ことが大切になるのです。つまり、「良いものを安く」ということで、普段買い物をする時と変わりません。
それでは、良い株を見つけるにはどうしたら良いでしょうか。答えは非常に単純で、今後利益が成長する可能性が高い会社の株を見つけることです。
例えば、「今はあまり注目されていないけれど、将来性のある独自技術を持っている」「理解していない人が多いものの、この会社の商品は画期的なものが多い」などという会社です。このような会社は分かりやすいかもしれません。何かきっかけがあれば、一気に注目されて、その会社の株価は一気に上昇します。簡単に言えば、アイドルや駆け出しの女優を目にして、「この子は将来、きっと売れる」「今は地味だが、この子は何か人とは違うものを持っている」などという直感が働き、応援し続けていたら、どんどん売れて大スターになったというのと同じです。つまり、他の人が注目していないときに目をつけて買うのです。
このような手法は株式投資の王道ともいえます。普段の生活の中から、今後投資する会社の株を見つけていくのです。例えば、「ここのブランドの服は、お手頃価格でデザインも良くて、徐々に人気が出てきているな」「このメーカーの化粧品は、値段の割にずいぶん高品質だな」などというような形で、今後投資する先を見つけていくのです。
この方法の良いところは、自分にとって身近でイメージしやすいものから、株にアプローチしていけることです。自分の生活の中であまり出会わないもの…例えば、「半導体材料」や「特殊ガス」などと言われても、ピンとこない人が多いのではないでしょうか。元々そのような製品を取り扱う会社に勤めているなどという場合は別ですが、そうでない場合、自分の身近にないものを作ったり販売したりしている会社の株が、今後上がっていくのか、反対に下がってしまうのかと言われても、まったく想像できないでしょう。株式投資は専門家が見るような数字などのデータももちろん大切ですが、イメージできるかどうかということも大切です。そのためにも、まずはイメージしやすい身近なところから投資先を選ぶようにしましょう。数字を見るのはその次で構いません。
会社の業績も重要なチェックポイント
「良さそうだな」と思う会社を見つけたら、次に見たいのが、その会社の業績です。業績は簡単に見ることができます。というのも、上場企業の場合、その会社の公式HPにIR情報が必ず掲載されているからです。掲載されているIR情報のボリュームは会社によりけりで、非常に親切に詳しい資料を作成して掲載しているところもあれば、必要最低限の情報しか掲載していない会社もあります。必要最低限というのは、決算短信と決算報告書、四半期報告書などの資料のことを言います。IR情報の発信に熱心な会社の場合は、これに加えて非常に詳しい各四半期決算資料も掲載していることがほとんどです。
できれば、最初のうちは詳しい資料をきちんと掲載している会社の株を取引することをお勧めします。ただ、必要最低限の情報しか掲載していない場合でも、他から内容を知ることもできます。そういう場合は、「会社四季報」(東洋経済新報社)や「日経会社情報」(日本経済新聞社)からその会社の業績を知ることができますので、チェックすると良いでしょう。
「この商品は良いな」などといった身近なところから投資先を決めることは非常に良いのですが、その会社の業績をきちんとチェックしておかないと痛い目にあう可能性もあります。例えば、A、B、Cと複数の事業を行っている会社の場合、A事業の方で商品がヒットし大きな利益を出したとしても、B事業とC事業が不調で赤字になっていることもあります。その結果、A事業の好調だけではB事業とC事業の赤字を吸収することができず、全体としては赤字になることも考えられます。その場合、ヒット商品だけを見てその会社の株を買ってしまっていたら、思うように株価が上がらないどころか、株価が下がり損してしまうかもしれません。そうならないためにも、きちんとその会社の業績はチェックしておきましょう。
まとめ
今回は、株式投資の基本となる「安く買って高く売る」ことについて解説しました。「安く買って高く売る」のは一見すると単純なことのように見えます。しかし、「安く買う」ことまではできても、「高く売る」ことが難しいのです。「高く売る」ことができるようになるには、その銘柄の将来性をきちんと見極める必要があります。
将来性を見極めるためには、まずは身近なところから投資先を決めることが大切です。そして、必ずその会社の業績をチェックしましょう。投資先を決めた後、その会社がきちんと成長していけるかどうかを見極めるためには、会社全体として利益が出ているのか、ということを、まずは確認しなければなりません。