PERについて知ろう

株式投資の基本

株の投資指標「PER」とは何か

株の取引をする際、色々な投資指標を見ることになります。例えば、PER、PBR、ROAなど、指標の種類は様々で、よく知られたものからあまりなじみのないものまで色々なものがあります。

その中でも、今回解説するPERは株式投資の基本中の基本で、株に関する本やサイトに必ず書いてある投資指標の一つになります。PERとは、株価収益率のことを言います。英語でいうと、Price Earnings Ratioとなり、それぞれの頭文字をとってPERと呼んでいるのです。

PERは、株価÷1株あたり純利益(税引利益)で算出することが可能です。時価総額÷純利益(税引利益)で計算しても同じ数字が算出されます。現在の時価総額が純利益の何倍か、ということになるのですが、これはいったい何を意味しているのでしょうか。

PERの数字からは色々な内容が読み取れますが、まず言えることとして、投資家にとって一番大切となる純利益を基準として見た時「現在の株価で買った時にどれくらいの年数で投資資金を回収できるか」が分かる、ということがあります。

すでに何度か解説しているとおり、純利益については、大抵の場合は一部が配当として投資家に回されます。残りについては内部留保という形になりますが、この内部留保は自己資本に組み込まれ、株主に帰属するものになります。ちなみに内部留保は現金とは限りません。どのような形で残っているのかはバランスシートからは分からない性質のものになります。ともかく、このことから、PERは「現在の株価で買った場合、投資資金の回収にどれくらいの時間がかかるか」ということを計る指標ということが言えます。

そのため、PER10倍であれば投資資金の回収に10年かかる、つまり、10年その株を保有すれば投資資金が会社の純利益で回収できるということになります。PER20倍であれば20年、PER30倍であれば30年保有すれば回収できるということになります。もちろん本当にその年数持つ必要はなく、あくまでも理論上の話ですが、投資家目線で考えると、「PER〇倍」というのは、投資資金を回収するまでの年数を表していると考えることができるわけです。

また、PERは未来の投資指標であるということにも注意が必要です。未来の投資指標といってもピンとこないかもしれませんが、純利益を基準として考えるためにどうしてもそうなってしまうのです。というのも、この純利益とはすでに結果の出た過去の純利益ではなく、会社が今期計画している予想値の「当期純利益」のことだからです。そのため、実際に出た数字ではなく、「今期はこのくらいになる予定です」といった予想値を使うことがPERの大きな特徴であると言えます。

PERの基準をどう考えるか

PERなどの投資指標を使う場合、「基準となる数値を知りたい」というのが多くの投資家が感じるところではないかと思います。多くの本やサイトでPERについて書いてある説明を読むと、大抵は「株価の割安・割高を判断するための指標」ということが書いてあるのではないかと思います。しかし、割安・割高といっても、どのように判断すれば良いのか漠然とした説明に終始していることも珍しくありません。なぜなら、PERはPBRとは違い、これという基準がないからです。それでも割安・割高を判断しなければならないわけですから、初心者の場合は混乱してしまうかもしれません。

初心者の場合は、まずはPER15倍を基準として考えることをおすすめします。この15倍というのは、TOPIXの予想PERであり、PERを国際比較した際に平均レベルとなる水準の数値です。また、機関投資家も15倍をまずは割高・割安の判断基準としているため、日本株のPERについては、15倍を目安にすると良いでしょう。そして、15倍よりも高ければ割高であると考えるようにしましょう。

ただし、PER15倍という数値を基準にする場合は注意が必要です。例えば、先ほどTOPIXの予想PERは15倍程度であると書きましたが、時代によってその数値は変わっています。そのため、今後もTOPIXの予想PERが15倍なのかというと、そうとは限らないということは覚えておきましょう。また、日本株についてはPER15倍を基準にすると良い、書きましたが、これが新興国など成長している国の会社の株になってくると話が変わります。このような国の会社の株については、平均PERは高めです。このように、PERには絶対的な基準はなく、時代や国によっても異なるため、これだけを見て判断するのは難しいという特徴があります。

PERは業種によっても違いがある

先ほど、PERは15倍を基準にし、これ以上のものは割高として考える、ということを書きました。しかし、PERは業種によっても平均が異なります。そのため、PER15倍の基準で考えて割高な銘柄を省いたら、次に業種の平均PERを確認しましょう。

基本的にPERが高くなりやすい銘柄というのは高い利益成長が見込め、安定した利益を獲得できる銘柄ということになります。また、特別損失が発生した銘柄についても一時的にPERが高くなるという特徴があります。反対に、PERが低くなりやすい銘柄は、高い利益成長や安定した利益獲得が見込めない銘柄ということになります。また、特別利益が発生した銘柄についても、一時的にPERが低くなる特徴があります。そのため、PERについては、業種ごとに見る必要があります。ちなみに、先ほど挙げたPERが高くなりやすい銘柄、低くなりやすい銘柄の特徴してあげられるのが、食品や鉄道などのディフェンシブ株(内需関連株)や、工作機械や半導体などの景気敏感株(シクリカル株)です。

このような業種ごとの平均PERについては、東証のHPで確認することができます。「規模別・業種別PER・PBR(連結)」が過去の分から最新のものまで一か月ごとに掲載されていますので、自分がこれから投資したいと思っている銘柄が属するセクターのPERの平均を確認すると良いでしょう。例えば、2019年3月末現在、東証一部上場企業のセクターごとのPERを比べた場合に最も高いのはパルプ・紙の40.7倍となっています。最も低いのは石油・石炭製品の5.0倍です。この数値が高いのか低いのかは、過去のデータを参照する必要があるためなんとも言えませんが、例えば石油・石炭製品について言えば景気敏感株に該当しますし、紙・パルプはディフェンシブ株に該当します。先ほど書いたとおり、景気敏感株についてはPERが低く、ディフェンシブ株についてはPERが高いことがこのことからも判ります。

PERが業種によって差があるのは、PERを算出する際に予想の数字を使うことが一つに挙げられます。すでに書いたとおり、PERを算出する際に使う純利益は、会社の通期計画の予想値です。そのため、例えば海外での売り上げが高い業種については、為替変動の影響を受けますし、先ほど挙げた石油・石炭製品については商品価格の変動の影響を受け、それによって業績が予想より良くなったり悪くなったりします。為替や商品価格の動向がどうなるかは分かりません。そのため、為替変動や商品価格の変動の影響を受けやすい銘柄というのは、会社が通期計画を作る際、利益がどの程度になるか予測しにくいことから、評価が慎重で控えめになりやすい傾向があるのです。

また、これから成長が期待される業界と成熟期や衰退期に入っている業界とでは、PERに差があります。高成長の業種の方が高い利益を獲得できる傾向があるためPERは低めになる一方、すでに成熟しきった業種や衰退期に入った業種の場合は利益が薄く、PERは高くなってしまう傾向にあるのです。このことも、業種によってPERに差ができる原因の一つであると考えられます。

PERが低い銘柄をチェックする際の注意点

なお、PERは、先ほど特別損失が出た場合には高く、特別利益が出た場合には低くなるということを書きました。一時的な損益の発生が本来のPERを見る際の妨げになるケースがあります。というのも、その名のとおり一時的な損益であるため、今後もその損益が持続的に発生するわけではないからです。

このケースで特に注意したいのは、PERが低く一見割安に見える銘柄です。場合によっては、PERを純利益ではなく、経常利益に65.36%(100%から法人税などの実効税率である35.64%を引いた数字)をかけて算出した方が良い場合があります。もしも予想純利益を経常利益で割った数字が70%や80%などこの数字から大幅に乖離した水準にあるようなら、経常利益に65.36%をかけて出した数字の方が、より実態に合った状態であるということが言えます。

まとめ

今回はPERについて解説しました。PERは株式投資の基本となる指標ですが、「割安・割高を見分けるための指標」といった解説が書いてあるばかりで、基準となる数値があるようでないことから、初心者には意外とハードルが高い指標です。PERとは何なのか、何を見るもので基準をどのように考えれば良いのか、ということを中心に解説しましたが、今回の内容をもとに、まずはPERから見て割安・割高な銘柄を分けてみることから慣れて感覚をつかんでみると良いかもしれません。

執筆者:佐藤真奈美より

 はじめまして、当サイトである『投資塾』で記事の執筆を担当させて頂いております、佐藤真奈美と申します。現在、複数の投資関連のメディアサイトに相場予想や投資関連の解説等の記事を寄稿しておりますが、『投資塾』では、株式投資のニュース、経済指標、金融政策等、「市場参加者が、何を見ているか」に重点を置き、株式投資の初心者にも分かりやすいよう、他では知れない情報の提供に努めさせて頂いております。

執筆者:佐藤真奈美について

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