PERの注意点

株式投資の基本

会社の通期業績予想をベースに算出するPER

株の割安、割高を見極める方法として有効な投資指標の一つがPERで、株式投資をする人にとっては非常にメジャーな指標の一つです。
同業他社と比べてPERが割安か、割高かを判断したり、その銘柄の過去のPERやTOPIXのPERと比べて割安か、割高かを判断し、その銘柄が買いかどうかを見極めます。

そんなPERですが、いくつか注意点があります。そこで、今回は、PERを使った投資手法の注意点について紹介します。

PERをチェックする際の注意点

PERに注目して投資する場合、一株あたり純利益…つまり、EPSに注目し、そのEPSに対し現在の株価が何倍かということを見る、ということは前回説明したとおりです。仮にPER15倍であれば、その銘柄を現在の株価で買った場合、15年保有すれば理論上は投資金額が回収できる計算になります。

EPSは1株あたり純利益ですので、これに発行済み株式総数を掛けた金額がその会社の予想純利益ということになります。

純利益を算出する手順を簡単に説明します。

売上から売上の原価や販売費や人件費といった金額を引いてまずは営業利益を算出します。なお、販売費や人件費といったコストが売上より大きくなってしまえば、営業損失となります。これが本業で稼いだ金額、ということになります。

これに本業以外の収入…例えば株の売却益や為替差益、不動産賃貸料など、会社の財務活動により得た利益(あるいは損失)を加算あるいは減算します。こうして出た金額に特別利益や特別損失を加算あるいは減算し、さらに法人税などの税金を引いたものが当期純利益ということになります。

ちなみに、特別利益や特別損失が何kかというと、その会社が持っていた不動産の売却益(あるいは売却損)や長期間持っていた株などの証券の売却益(あるいは売却損)、引当金(将来発生する可能性がある損失や費用に対する備えとなる準備金)が該当します。これらは一過性の費用であることが特徴です。もちろん、今期特別利益や損失が発生し、来期も再び特別利益や損失が発生することもあります。ですが、それはたまたまそうなった、というだけで、毎回必ず発生する性質のものではない、ということを覚えておきましょう。

さて、そんな純利益ですが、経常利益から特別利益や特別損失を加算・減算したうえで計算するのはすでに書いたとおりです。仮に特別利益や損失が無ければ、経常利益から法人税などの税金を差し引いた金額が純利益になることが分かります。

法人税は大体35%程度です。ただ、連結決算を行っている会社の場合は会社の事情に応じ、30%~50%程度の法人税がかかることになりますので、通常どの程度の法人税がかかるかは、その会社の過去の業績を調べて平均的な数字を確認すると良いでしょう。

つまり、純利益は基本的に経常利益に0.6~0.65を掛けて算出した程度の数字になることが分かります(先ほど書いたとおり、会社によっては、これよりも大きくなったり小さくなったりするケースもあります。いずれにせよ、平均して出した割合を掛けた金額から乖離しているようであれば、おかしい、ということになります)。

しかし、これよりも純利益が大きくなったり小さくなったりするケースがあります。それが、先ほど書いた特別利益や特別損失です。

すでに書いたとおり、特別利益や特別損失は一過性のものです。そのため、その会社の実力を表しているとは言い難いのです。また、前期に大きな赤字を計上したために法人税が免除され、経常利益の60%~65%の数字に純利益がなっていない場合もあります。

特別利益が出たために純利益が本来の数字より大幅に大きくなったり、あるいは特別損失が出たため純利益が本来の数字よりも大幅に小さくなったりしてしまうと、その純利益を元に算出されたPERは実体に合わないということになります。そのため、純利益を見る時は、必ず経常利益を確認し、その会社の過去の純利益が経常利益の何割程度なのかをチェックした上で、大幅な乖離がないかどうか見る必要があります。

もしも大幅な乖離があるようなら、本来の純利益がどれくらいになるのか計算し、PERを再計算する必要があるのです。その上で、現在のPERが割高なのか割安なのかを判断しましょう。

PER投資が有効な局面とは

株式投資でPERを参考に投資する方法は非常にメジャーですが、PER投資が有効な局面とそうでない局面とがあります。メジャーな投資指標ではありますが、いつでも有効とは限らず、あまり効果がない時もあるのです。高いパフォーマンスを上げるためにも、PERを参考にすると良い場面を知っておいて損はありません。

PERが有効となる場面は、景気の拡大局面です。PERは会社の予想値を使って算出します。景気の転換期になると、会社も業績の見通しが立てにくくなり、上方修正や下方修正がよく行われます。そうなると、PERはあまり当てにならない数字になってしまうのです。

しかし、景気の拡大局面になると会社も足元の業績が続くといった予想が立てやすく、PERは信頼性の高い指標になります。

また、会社によっては、景気の動向に業績が非常に左右されやすく、景気が回復するのに伴い、会社の業績も良くなるというケースがあります。このような会社は、景気の拡大局面では業績が順調に推移することが多いため、拡大局面の最初にPERが割安でその銘柄を買ったとしても、その後は景気の拡大に合わせて業績が良くなり株価も上がる…というケースがよくあるのです。そのため、景気の拡大局面のPER投資は有効であると言えます。

なお、景気の拡大局面の終わりになると会社の業績の伸びが鈍化してくるため、PER投資はあまり有効ではなくなってきます。銘柄ごとのPERの差が小さくなるため、割安・割高といった違いが拡大局面の途中よりも見えづらくなってくるのです。

そんな時にPERに注目して投資するのであれば、会社の業績予想と併用しましょう。会社の経常利益の予想が前回予想に対し増益となっている、あるいは横ばいとなっている銘柄を選ぶと良いでしょう。

PERは銘柄間で差がある時に有効な指標

PERを見る際に注目したいのが、銘柄間でどれだけの差があるかということです。例えば海外での売上比率の高い会社と国内での売上比率の高い会社とを比較した場合、海外での売上比率が高い会社は、為替変動の影響を受けます。円安であれば経常利益が大きくなることから純利益も大きくなり、円高であれば経常利益が小さくなるため純利益が小さくなってしまいます。つまり、純利益はその会社の実力を表したものであるとは言い難くなってしまうのです。

そのため、仮に海外での売上比率の高い会社と国内での売上比率の高い会社のPERがそれほど変わらない場合、PERだけを見て投資してしまうと、円高や円安の局面で海外売上比率の高い会社は割高になったり割安になったりしてしまい、PERはあまり当てにならないと言えます。

しかし、海外売上比率の高い会社と国内売上比率の高い会社とのPERが元々大幅に乖離していた場合はどうでしょうか。この場合は、為替変動の影響を受けたとしても、元々のPERに大きな差があるため、PER投資の信頼性はそれほど損なわれません。

まとめ

今回はPERを利用した投資法についてさらに掘り下げてみました。PERは非常に有効な投資指標ですが、パフォーマンスを上げられる局面とそうでない局面があります。そのため、どんな時でも有効なわけではないということに注意が必要です。
また、PERを見る時は、特別利益や特別損失、法人税の免除の有無にも注意が必要です。極端に割安・割高になっている場合、これらが原因であれば、その会社の実力を表しているとは言い難く、PERを計算し直す必要があります。

PERは単純で簡単な指標ですが、意外と奥深いのです。会社の発表している数字を鵜呑みにしてPERを算出したり、使うべきタイミングではない時に使って銘柄を選択したりしないよう気を付けましょう。

執筆者:佐藤真奈美より

 はじめまして、当サイトである『投資塾』で記事の執筆を担当させて頂いております、佐藤真奈美と申します。現在、複数の投資関連のメディアサイトに相場予想や投資関連の解説等の記事を寄稿しておりますが、『投資塾』では、株式投資のニュース、経済指標、金融政策等、「市場参加者が、何を見ているか」に重点を置き、株式投資の初心者にも分かりやすいよう、他では知れない情報の提供に努めさせて頂いております。

執筆者:佐藤真奈美について

おススメの証券会社

株式投資の基本
投資塾~今から始める株のお話~
タイトルとURLをコピーしました