株式投資で必ずチェックしたい決算短信の見方~会社のステージ~

株式投資の基本

会社がどのようなステージにあるかを知るためには

前回、決算短信はサマリーの部分が最も重要でチェックしなければならない項目であるということを書きました。そして、最初の方に記載されている業績の状況の部分では、増収増益になっているのかということに加え、売上や営業利益のモメンタムが強いのかどうか、ということにも注目する必要があるということを書きました。

前回書いたとおり、株式投資初心者にとって最も分かりやすいのは、増収増益が続き、かつ、モメンタムの強い状態が続いている会社の銘柄を選ぶ方法です。企業には大まかに分けて初期段階、成長段階、成熟段階、衰退段階の4つのステージがあります。この成長段階に該当する企業の中に、売上高や営業利益、経常利益の増収増益幅が毎回前回を上回るモメンタムの強い会社が出てくるケースがあります。このような会社は決して多くはありませんが、初心者にとっては投資先候補として見つけやすい条件の一つになると言えます。

ベストは、このような会社がまだ注目されていない段階でその会社の株を買っておくことなのですが、大抵の場合、気づいた時には人気が出てしまい、すでに株価も上がってしまっています。とはいえ、まだまだ成長が続くようであれば、「一番安かった時に比べて株価が2倍になっている」といった場合でも、決して買い時と逃したとは言えないのです。例えば医薬品メーカーの銘柄などは、このようなケースがあります。画期的な新薬が出るまでは研究開発費がかさんで赤字になり、株価は泣かず飛ばずといった状態をウロウロすることも珍しくありません。ですが、開発していた新薬が実際に上市した時には、驚くほど株価が上がり、いわゆる「テンバガー」と呼ばれる状態になったりするのです。その場合、上市するよりも前に、好材料で株価が一番安かった時の2倍になっても、決して高いとは言えません。もちろん、開発していた新薬が世に出ずに終わる可能性もありますので、必ずテンバガーになるとは言えませんが、上市すれば「株価が最も安い時の2倍だから上がりすぎている」ということには必ずしもならない、ということが言えます。

決算短信のサマリーをチェックする際、増収増益の割合が前期比でどれくらいかをチェックしなければならない、ということを前回書きました。好調が続く企業の中には2桁増益が続く会社もあります。2桁増益が続くことは好材料で市場に与えるインパクトも大きいものになるため、このような銘柄には買いが殺到し、株価が上昇します。さらに、来期についても会社計画では2桁増益を予想しているとします。会社計画に関しては、予想値に癖のある企業も中にはありますが(例えば、アナリストなどによる市場予想値よりも強気な予想を常に続ける会社や、反対に市場予想値よりもかなり保守的な予想を常に続ける会社など)、基本的には、その会社が継続できる利益水準に近い数値が反映されています。そのため、来期2桁増益を予想しているのは基本的には好材料であり、それが続いていれば、さらにポジティブであると言えます。

そうなると、2桁増益の会社に投資したいと考えて当然なのですが、実は、2桁増益の会社の株を買っても思うほどパフォーマンスが上がらないことがあります。そのようなケースは決して珍しくありません。どうしてでしょうか。

2桁増益が予想されている会社については、投資家からの人気が高く、すでに株価に織り込まれてしまっていることが理由の一つとして考えられます。来期2桁増益に対する投資家の期待が十分すぎるほど株価に反映されてしまっているため、買っても思うように株価が上がらないのです。ここで期待するようなパフォーマンスを得るには、市場が驚くようなニュース…例えば、新たな事業に参入するために画期的な技術を持つ会社を買収した、画期的な新製品を発表した等、新たな材料が必要になってきます。

また、2桁増益が続く企業というのは、成長段階にある会社が多いです。しかし、成長段階にある企業がずっとその状態のままでいるかというと、決してそうではありません。いずれは成長段階から成熟段階へと移行します。そうなった時、会社計画は2桁増益でも達成できない、2桁増益は達成しても会社計画を下回る…などといったことが増えてきます。そんな時、もしかしたら成熟段階に移行したのかもしれないと考えてみる必要があります。

ですが、どのタイミングで成熟段階に移行したのか、売上高や営業利益の動向からだけでは正確な把握は難しいでしょう。そんな時に見たいのがキャッシュフローです。

キャッシュフローの状態で、会社のステージを知ることができる

会社には初期段階、成長段階、成熟段階、衰退段階の4つのステージがあるということは先ほど書いたとおりです。2桁増益を続けていて、伸び率も年々上がっている企業があっても、その状態がずっと続くとは限りません。増収増益をずっと続けても、伸び率が鈍化したり、これまでのような2桁増益がなかなか実現できない状態になったりすることもよくあります。ずっと2桁成長を続けてきた会社がこのような状態になった時、「もしかしたら、成熟段階に入ったのかな?」と疑問に思うでしょう。成長段階から成熟段階に移行したかどうかを知るためには、キャッシュフローをチェックする必要があります。

初期段階、成長段階、成熟段階、衰退段階の4つのステージは、キャッシュフローに明確な違いが出ます。

そのキャッシュフローですが、これも決算短信のサマリーで確認することが可能です。「キャッシュフローの状況」(グループ会社がある場合は、「連結キャッシュフローの状況」と記載)を確認します。

ここで記載されているキャッシュフローは、営業活動によるキャッシュフロー、投資活動によるキャッシュフロー、財務活動によるキャッシュフローの3つですが、一般的には営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローという言い方をします。

営業キャッシュフローは、会社が商品やサービスを販売して得たお金です。これがプラスということは、会社にお金が入ったということになり、マイナスということは、商品などの仕入れに会社がお金を支払ったということになります。それを合計した結果、入ったお金が多ければプラス、支払ったお金が多ければマイナスということになります。

営業キャッシュフローがマイナスの状態にある、ということはどういうことでしょうか?簡単に言えば、出ていくお金が多く、入ってくるお金が少ないということになり、とても苦しい経営状態にあると言えるでしょう。これだけ聞くと、「倒産寸前なのでは?」と思うかもしれませんが、会社の創設期にはこのようなことがよくあります。もちろん、この状態から浮上できなければ創設早々に倒産ということもありえますが、そうなるかどうかについては、自己資本比率の項目を見なければなりません(これについては、別の機会に解説します)。

話を戻すと、創設期の場合、これから商品やサービスを売るために、商品の仕入れなどが先行してしまい、入ってくるお金よりも出ていくお金の方が多くなってしまっているのです。そのため、営業キャッシュフローがマイナスになります。

なお、営業キャッシュフローは衰退期の会社でもマイナスになります。仕入れた商品やサービスが思うように売れず、出ていくお金が入ってくるお金よりも多くなっている、という状態です。創設期と衰退期の営業キャッシュフローはどちらもマイナスになってしまいますが、投資キャッシュフローや財務キャッシュフローの状況を確認することで見分けることが可能です。このことについては、追って説明していきます。

ちなみに、成長段階、成熟段階にある場合は、営業キャッシュフローはプラスになります。仕入れた商品やサービスがどんどん売れて業績が拡大し、入ってくるお金が出ていくお金より多くなるのが成長段階、仕入れた商品やサービスが安定的に売れて、入ってくるお金が出ていくお金より多くなるのが成熟段階であると言えます。

まとめ

今回は、決算短信の見方の基本のうち、営業キャッシュフローについて解説しました。増収増益、2桁成長が続いても、その状態がいつまでも続くわけではありません。その会社が現在どんなステージにあるかを知るために、キャッシュフローの確認は必要です。次回もキャッシュフローについて解説します。

執筆者:佐藤真奈美より

 はじめまして、当サイトである『投資塾』で記事の執筆を担当させて頂いております、佐藤真奈美と申します。現在、複数の投資関連のメディアサイトに相場予想や投資関連の解説等の記事を寄稿しておりますが、『投資塾』では、株式投資のニュース、経済指標、金融政策等、「市場参加者が、何を見ているか」に重点を置き、株式投資の初心者にも分かりやすいよう、他では知れない情報の提供に努めさせて頂いております。

執筆者:佐藤真奈美について

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