株式投資で必ずチェックしたい決算短信の見方~バランスシート~

株式投資の基本

バランスシートの基本的な見方

決算短信を見る時に、サマリー部分以外にも添付のバランスシートを確認する必要がある、ということを前回書きました。前回はサマリー部分から異常を見つけ、バランスシートで確認する事例を挙げましたが、今回は、バランスシートの基本と、財務諸表を読む上で大切なものの2つ目である損益計算書について説明します。

前回、営業キャッシュフローが減ったことからバランスシートの流動資産の部を見て、その内容をチェックする方法について解説しましたが、まずはバランスシートの基本を見てみましょう。

バランスシートは貸借対照表のことです。左側が資産の部、右側が負債の部と純資産の部という内容になっています。資産の部はその名のとおり、会社が持っている財産が記載されています。例えば、前回書いた受取手形や売掛金は会社が持っている財産になります。

資産の部は流動資産と固定資産の2つに分けて記載していきます。流動資産は前回も書いたとおり、すぐに現金化できる財産です。すぐに現金化できる資産というと曖昧なように感じますが、具体的には決算日から1年以内に現金化する予定の財産のことを指しています。ですので、前回書いた受取手形や売掛金は流動資産に該当します。また、現金預金や1年以内に現金化する予定の有価証券などが流動資産に該当します。もっというと、決算日から1年以内に現金化するかどうか不明なものであっても、会社が商品の原材料を仕入れ、商品を生産し、商品が売れてお金が入ってくる…つまり、「仕入→生産→販売→現金の回収」という営業サイクルの中にあれば、流動資産に分類します。しかし、1年以内の現金化は難しく、営業サイクルの中にある財産でない場合は、流動資産ではなく固定資産に分類します。

固定資産は前回も書いたように、決算日から1年以内に現金化しない資産のことです。かつ、上で挙げた営業サイクルの中に入らない資産が、固定資産ということになります。例えば、土地や建物、機械などが固定資産に入ります。また、前回も書いたように、投資有価証券あっても、長期保有が前提で1年以内の現金化を考えていないものは固定資産に分類します。

土地や建物、機械などの固定資産は有形固定資産といい、形あるものになります。ですが、固定資産の中には形のないものもあります。例えば、のれんが形のない固定資産として挙げられます。形のない固定資産のことを無形固定資産といいます。ちなみにのれんとは、簡単にいうとその会社の持つブランド力のことです。これを分かりやすく金額で表したものがのれんです。なお、長期保有前提の投資有価証券は、投資その他資産に分類されます。

このように、会社が持っている財産を流動資産と固定資産に分けて記載したものが、バランスシートの左側である「資産の部」ということになります。では、右側の「負債の部」は何が記載されているのでしょうか。

負債の部に記載される内容は、左側の資産の部に記載された財産の調達方法です。つまり、どのようにして流動資産や固定資産を調達したのかということが記載されています。負債の部では、会社が持っている財産を負債と純資産に分けて調達方法を記載しているのです。

負債に関しては、資産の部のように流動負債と固定負債の2つに分けて記載します。流動負債の考え方は流動資産の考え方と同じです。会社の営業サイクルの中にある負債のことをいい、「仕入→生産→販売→現金の回収」という営業サイクルの中でまだ支払っていないもの…例えば買掛金や支払手形、決算日から1年以内に支払う短期借入金や未払金が流動負債に分類されます。また、引当金(将来発生するかもしれない費用や損失のためにあらかじめ準備しておくお金)も流動負債に分類されます。しかし、この営業サイクルに該当しないものや、決算日から1年を超過して支払われる負債もあります。これらの負債は固定負債ということになり、例えば長期借入金や社債、受入保証金、退職給付引当金などが該当します。

次に純資産の部について見てみましょう。純資産の部は負債の部の下に記載されます。ここに記載されるのは、資本金や資本余剰金、利益余剰金や自己株式、新株予約権などが該当します。色々な科目がここに記載されますが、ざっくりいうと純資産の部に記載されるのは、株主から調達した資金と、会社が事業を行う中で得た利益を積み立てたものです。利益余剰金は会社が事業を行う中で利益を獲得し、そこから株主に配当した残りのお金を積み上げてきたものということになります。この利益余剰金は、いずれは株主に配当などの形で戻す予定のお金なのです。

このように、バランスシートの右側には、負債の部と純資産の部の2つが記載されます。この2つは大きくわけて他人資本と自己資本ということになります。

損益計算書の基本的な見方

さて、次に見たいのが損益計算書です。損益計算書は、売上から原材料費や人件費といったコスト、税金などを引いた結果、どの程度の利益が残ったのかを分かりやすく表にして表したものです。売上→営業利益→経常利益→税引前当期純利益→当期純利益という順番で、利益が出るまでの過程を知ることができるのが特徴です。損益計算書を見ると、どれくらいの売上があったのかはもちろんですが、どのくらいのコストがかかったのか知ることもできます。売上や営業利益が前期よりも良くても、売上原価が上がっていれば粗利率は低下します。粗利率が低下したことが懸念されて株価が下がることもあるため、粗利率もチェックしましょう。

粗利率をチェックするのにも、損益計算書を使います。また、営業利益は、売上から売上原価を引いた売上総利益(粗利)から販売費および一般管理費を引いて算出しますが、この時にチェックしたいのが、売上高営業利益率です。売上に対する営業利益の割合を算出することで、本業の収益性が高いかどうか確認することができます。同業他社より売上高営業利益率が高ければ、収益性が高い会社として買い材料になります。また、粗利率が上昇または横ばいなのにも関わらず、売上高営業利益率が悪化していれば、その会社は販管費にお金をかけすぎているということになるのです。それが一過性のものであれば問題ないのですが、慢性化している場合はこれが改善するだけでも買い材料となります。

さらに見たいのが売上高経常利益率です。会社の本業以外の収益…つまり、財テクなどによって得た利益を含めた収益性がどうなのか、ということを売上高経常利益率で確認します。ちなみに、売上高経常利益率に関しては、最低でも10%あった方が良いという話もありますが、業界的に難しいケースもありますので、業界平均を参考にして考えるようにしましょう。

まとめ

今回はバランスシートの見方の基本と損益計算書について解説しました。どちらも財務諸表をチェックする上で欠かせないものになります。また、損益計算書については、ここをチェックすることで、決算短信のサマリーからは見えない部分が分かることもあります。初心者にとっては、バランスシートも損益計算書も、たくさんの数字が羅列しているように見えてしまい、何を見れば良いかわからずとっつきにくいものかもしれません。ですが、見るべきポイントさえ押さえてしまえば、決して難しい内容ではありませんので、決算短信のサマリー部分をチェックしたら、必ずこの2つについても確認しておきましょう。

執筆者:佐藤真奈美より

 はじめまして、当サイトである『投資塾』で記事の執筆を担当させて頂いております、佐藤真奈美と申します。現在、複数の投資関連のメディアサイトに相場予想や投資関連の解説等の記事を寄稿しておりますが、『投資塾』では、株式投資のニュース、経済指標、金融政策等、「市場参加者が、何を見ているか」に重点を置き、株式投資の初心者にも分かりやすいよう、他では知れない情報の提供に努めさせて頂いております。

執筆者:佐藤真奈美について

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