IPO投資の銘柄選びのポイントについて

IPO投資

IPO投資でチェックしたいポイント

前回、ソフトバンクの例から、「公募割れしてしまう銘柄にはどんな問題があるのか」ということについて、さらに詳しく解説しました。IPO投資を行う場合、公募割れはできるだけ避けたいと考える人が大半ではないでしょうか。公募割れを避けたいと考えるのは、新規上場したらすぐに売り抜けようと考える人が多いからです。もちろん、中には今後の成長を期待し長期保有することを考えてIPO投資を行う人もいるでしょう。ですが、IPOの場合、通常の株式投資よりも高い確率で値上がりが狙えるとあって、大多数が短期トレードを行う傾向にあります。そのため、IPO投資ならではの視点で銘柄を選ぶことが大切になります。

IPO投資ならではの視点での銘柄の選び方とはどのようなものになるでしょうか?前回、前々回とこのことについて触れていますが、今回は、選びぶ際のチェックポイントをまとめて説明します。

IPO投資で銘柄を選ぶ際、まず確認したいのが、公募株なのか売出株なのかということです。どちらも一緒に公募するケースももちろんありますが、売出株のみであったり、公募株よりも売出株が多い場合には、上場後に下落するケースがあります。そのため、まずはこの部分のチェックが必要です。

次にチェックしたいのが、どの市場に上場するのかということと、吸収金額がどれくらいなのか、ということです。前回書いたとおり、東証一部上場の場合は吸収金額250億円前後が目安となり、これを超えるかどうかがポイントとなります。東証二部に関しては10億円前後、東証マザーズに関しては30億円前後、ジャスダックに関しては20億円前後が吸収金額の目安となります。もちろん、吸収金額が上記金額を超えても公募割れしない場合もありますが、大体の場合、上記金額を超える吸収金額になると公募割れする可能性が高くなります。

さらに注意したいのが、再上場した銘柄ではないかどうか、ということです。いったん上場廃止となった銘柄が再上場するケースについては、投資家の評価がどうしても厳しくなります。悪化した業績を立て直して再上場となったからといって、それが評価につながるわけではありません。再上場の際に、事業の将来性が極めて高いなどといったよほどの好材料が無い限りは、公募割れするケースが多いようです。

また、業績についても確認が必要です。減収減益が続いている会社が上場する場合は、公募割れしやすくなります。さらに事業内容にも注意しましょう。例えば、AIや自動運転、キャッシュレスなど旬のテーマに沿った事業内容を展開している会社のIPOは人気化しやすく、公募価格を上回る可能性が高くなります。また、IT関連は根強い人気で初値が公募価格を上回る会社が多いようです。この他に、競合他社のいない独自技術を持っているなどといった場合も人気化しやすく、公募価格割れにはなりにくいでしょう。

一方、食料品や化学、卸売などは人気化しづらく、公募価格割れとなりやすい傾向にあります。人気化しやすい事業内容についてはトレンドもありますので、先述の業種がこの先もずっと人気の業種であるかどうかは分かりません。そのため、どんな業種がIPOで人気なのか、ということをしっかり調べておいた方が良いでしょう。

他に、公募価格が仮条件の上限を下回る金額になっている場合にも注意が必要です。IPOの承認後、公募価格決定のために、例えば、2,000円~2,500円などといった値幅を決めるのですが、これを仮条件といいます。仮条件を決定した後に、個人投資家などが証券会社を通じて「〇円で×株申し込みたい」というブックビルディングを行い、それを基にIPOの公募価格は決定します。その後抽選が行われ、当選した場合は購入できる…という流れになりますが、この公募価格が仮条件の上限を下回ったということは、ブックビルディングの際に人気が無かったということになり、初値が公募価格を割り込む可能性が高くなるのです。つまり、先ほどの例でいえば、2,500円未満となった場合に初値が公募価格を割り込む可能性が高い、ということになります。

また、ベンチャーキャピタルが大株主にいる場合にも注意が必要です。特にベンチャーキャピタルの保有株数が多い場合や複数のベンチャーキャピタルが大株主に名を連ねている場合には注意が必要です。ベンチャーキャピタルは、未上場の会社の株を買うことで資金提供し、上場をサポートします。目的である上場が達成されれば、それまで保有していた株を売却してしまう可能性が高いのです。そのため、ベンチャーキャピタルの保有株数が多かったり、複数のベンチャーキャピタルが大株主にいる場合は、それを嫌気して投資家がIPOに申し込まないことが考えられ、結果的に公募価格割れを引き起こすことがあるのです。

このように、IPOで公募価格割れしないかどうかを見極めるためには、上記のポイントをチェックした上で申し込むかどうか決めましょう。上記ポイントをすべてクリアしているようであれば、公募価格割れにはなりにくいと考えられます。

目論見書もチェックしよう

先ほど挙げたIPOで公募価格割れするかどうかの見極めポイントを踏まえ、目論見書を確認しましょう。目論見書とは、IPOでこれから上場する会社の事業内容や財務状況、株式の募集・売り出しの条件、上場前の株主の状況などが書かれた書類です。これを見てその会社のIPOに応募するかどうかを決めるのですが、目論見書はページ数が非常に多く、最初から最後まで目を通すのは非常に大変です。複数の候補がある場合は、目論見書を確認するだけで何日もかかってしまうでしょう。ですが、目論見書には一度は目を通しておいた方が良いのも事実です。そこで、目論見書の何を見れば良いのかをここでは紹介します。

まずチェックしたいのが、どのような募集要項になっているかということです。公募株なのか、あるいは売出株なのかをチェックしましょう。どちらも行うようであれば、それぞれの株数を確認します。

次に想定価格を見てみましょう。想定価格は募集要項や売出要項、新規発行による手取金の使途などの中に書かれています。「想定価格」と書かれた項目があるわけではないため、探すのが少々面倒です。そのため、Ctrl+Fで「想定価格」と入力して検索する方法が楽でおすすめです。この想定価格を基に仮条件が決められます。想定価格が例えば1,000円であれば、1,000円×公募株式数(または売出株式数。あるいは、公募株式数+売出株式数)で吸収金額を想定することが可能です。

続いて確認したいのが、大株主のロックアップです。上場からどれくらいの期間、既存の大株主は保有株の売却ができないのか、また、株価がどれくらいになればロックアップが解除されるのかが書かれていますので、このことも確認しましょう。

また、ストックオプションを設定している場合もあります。ストックオプションとは、会社が役員や従業員に対し自社株をあらかじめ定められた金額で取得できる権利のことを言います。ストックオプションの権利行使については行使できる期間が定められていますので、その期間中に株価が上昇すると、ストックオプションの権利を行使し、株を売却する役員や従業員が出てくる可能性があります。そのため、ストックオプションについて、行使期間や株数を確認しておきましょう。なお、ストックオプションは、新株予約権等の状況のところで確認できます。

IPO投資をする場合は、これらの項目について確認しておきましょう。目論見書を一つ一つ確認するのは大変ですが、証券会社によっては、上で挙げた内容をもっと簡単に確認できるツールを用意していることもありますので、目論見書の内容を確認する際にはぜひ活用しましょう。

まとめ

今回は、IPO投資でチェックしたいポイントと目論見書で確認すべきポイントについて解説しました。最初のうちは、チェックポイントが多く感じるかもしれませんが、慣れればそれほど負担になりません。公募割れを起こしにくい銘柄を選ぶためにも、今回紹介した内容を覚えておくと良いでしょう。

執筆者:佐藤真奈美より

 はじめまして、当サイトである『投資塾』で記事の執筆を担当させて頂いております、佐藤真奈美と申します。現在、複数の投資関連のメディアサイトに相場予想や投資関連の解説等の記事を寄稿しておりますが、『投資塾』では、株式投資のニュース、経済指標、金融政策等、「市場参加者が、何を見ているか」に重点を置き、株式投資の初心者にも分かりやすいよう、他では知れない情報の提供に努めさせて頂いております。

執筆者:佐藤真奈美について

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