IPOで公募割れとなった銘柄を、セカンダリー投資で長期間保有する場合の方法

IPO投資

セカンダリー投資で公募割れした銘柄を買い、長期間保有する方法もある

前回、IPOのセカンダリー投資について説明しました。IPOのセカンダリー投資といえば、「初値で買って、そのまま値上がりを狙い、その日のうちに売り抜ける」という方法を思い浮かべる人もいますが、人気が集中しすぎると初値が極端に値上がりしてしまい、株価が伸び悩んだまま失速してしまうケースもよくあります。そのため、「初値で買って、その日のうちに手仕舞いする」ことにこだわらない方が良いのです。

前回紹介した方法は、敢えて初値で買わず、IPOで当選して公募価格でその銘柄を手に入れた人たちや初値で買った人たちが、利益確定や損切をしようとしたことで株価が下落したところを買うか、あるいは、翌日株価が下がったところで買いを入れる、という内容でした。この方法の場合、基本的に保有する期間は1週間から10日程度です。デイトレよりは期間が長いものの、長期保有というわけではなく、スイングトレードになります。ですが、中には、「できれば長期的に保有したい」という人もいるのではないでしょうか。そんな人にお勧めなのが、公募割れとなった銘柄への投資です。

「公募割れとなった銘柄に投資するなんて、大丈夫なの?」と疑問を抱く人もいるでしょう。これまで、公募価格を上回る可能性の高い銘柄を選ぶ方法を集中的に解説していたため、そう思われても仕方がないかもしれません。ですが、実は公募割れとなった銘柄の中に、意外に良いものが含まれていたりするのです。

実はIPO投資では、初値が公募価格を大幅に上回った場合、上場初日から数日~1か月程度上昇が続いても、その後は下落してしまい、1年ほど経った時には初値を下回るケースがよく見られます。そういうこともあって、IPO投資は短期間で勝負をかけたい、と考える人が多いのかもしれません。前回書いたIPOのセカンダリー投資の方法もスイングトレードですので、長期間の保有はしません。ですが、先ほど書いたとおり、長期間かけて上がる銘柄を割安で買いたいと思う人もいるでしょう。そんな人はいったい何をチェックしてIPOのセカンダリー投資を行えば良いのでしょうか。

その解説の前に、再度IPO投資で見るべきポイントについておさらいしましょう。これまで何度も挙げていますが、見るべき内容は下記の通りです。

〇公募株が売出株より多いか、公募株のみの銘柄を選ぶ。
〇吸収金額が上場市場の目安となる吸収金額の範囲に収まっている。
〇再上場した銘柄ではない。
〇人気の業種。
〇増収増益が続いていて、財務状況や資金繰りも安心できる内容となっている。
〇公募価格が仮条件の上限を下回らない。
〇大株主にベンチャーキャピタルがいない。

これが、上場した際に初値が公募割れしにくい銘柄を探す際のポイントとなります。全ての条件をクリアしていれば問題ありませんが、条件に当てはまらないところが1つ2つある銘柄でも、それをカバーするような内容が他にあれば、公募割れが防げる可能性もあります。しかし、中には、その「カバーする内容」が無いために初値が公募割れとなってしまい、その後さらに下げてしまうケースがあるのです。

さすがに、先ほど挙げた条件のうち、全部に当てはまらない銘柄は上場後も値上がりが厳しいかもしれません。しかし、そうではない場合、株価がある程度下がったところで「悪材料出尽くし」となり、株価が上昇していくケースもあるのです。そのような銘柄はどのようにして見つければ良いのでしょうか。

チェックすべきポイントとは

先程挙げた条件のうち、例えば不人気業種であったり、公募株の方が売出株より少なかったり、あるいは再上場したり、また、大株主にベンチャーキャピタルがいるなどの理由で条件に当てはまらず公募割れした場合は、ある程度下がったところで復活の兆しが見えるかもしれません。ポイントとなるのは、業績です。つまり、増収増益が続いている、あるいは、基本的には増収増益基調であるものの、前期は減益予想、今期は増収増益予想という銘柄で、吸収金額が大きすぎたり、公募株が売出株より少なかったり…といった理由で敬遠され、その結果、公募価格割れとなった…などという銘柄については、ある程度下がったところで株価が上昇に転じる可能性があるのです。

また、財務状況や資金繰りについてもしっかり確認する必要があります。増収増益で財務状況や資金繰りについても及第点という会社にも関わらず、他の条件が良くないせいで公募割れとなった場合は、ある程度下がったところで上昇に転じる可能性があるからです。

それでは、下がったところを見極めるにはどうすれば良いでしょうか。その一つがPERです。公募割れとなったものの、業績や財務状況は良く、資金繰りも安定している銘柄があったとします。株価の下落により同業他社のPERを下回っていれば割安ということになります。とはいえ、ただPERが割安なだけでは、好材料が出てもなかなか上昇まで至らないことも珍しくありません。そこでチェックしたいのが、営業利益率です。営業利益率も年々上昇しているようであれば、ポジティブです。なお、この時に確認したいのが、同業他社の営業利益率がどうなのか、ということです。同業他社とさほど変わらないか、あるいはそれ以上であれば、上場時の悪材料で公募割れになったとしても、成長力があるのに割安だということで、いずれ買いが入る可能性が高くなります。

さらに、その銘柄を買うことで期待できる収益率にも注目したいところです。PERは株価÷今期1株あたり利益(EPS)で算出されます。これを反対にした式…つまり、今期1株あたり利益÷株価で算出されたものが、その銘柄を買うことで期待される収益率(期待収益率)ということになります。IPOの場合、まずは公募価格をベースに期待収益率を算出してみましょう。

ただ、その時に注意したいことがあります。実は、公募価格は上場後に市場が決めるとされる価格を想定した上で、およそ10%~30%程度のディスカウントがされているのです。ちなみに、どれくらいのディスカウント率になるのかは、その時の相場の状況等を考慮して決められます。そのため、例えば公募価格が1株630円の銘柄であれば、本来の株価は700円~900円が妥当であるということになります。その場合、そしてこの会社の今期の1株あたり利益が50円だったとすれば、期待収益率は約5.6%~約7.1%ということになります。もしも公募価格割れとなった銘柄が、特段の材料がないのにその後も株価がどんどん下がっていき、公募価格からディスカウント率を考慮した株価で算出した期待収益率を上回ったとします。この場合、下がりすぎということになり、本来あるべき株価を下回り過ぎている、ということになります。そのため、会社が業績予想を変更せず、業績も順調に推移しているようであれば、いずれ上記の期待収益率の範囲内に収まる可能性があります。

一方、初値が公募価格を大幅に上振れた場合、期待収益率はかなり低くなります。IPOの場合、会社の業績よりも需給に株価が左右されるところが非常に大きく、特段の材料がなくても買いが入るため、株価が上昇し過ぎることも珍しくありません。特段の材料がなく、業績も順調に推移しているようであれば、いずれは期待収益率の範囲に収まる可能性があります。

株価が公募価格を大幅に上回った場合の期待収益率は、本来の数値より低くなり、株価が公募価格を下回った場合の期待収益率は、本来の数値より高くなります。しかし、上方修正や下方修正といった好材料や悪材料がないのに株価が公募価格を大幅に上回ったり下回ったりしている状態ですので、本来の評価額からは乖離してしまうのです。そのため、株価が行き過ぎているかどうかを知るためには、公募価格とディスカウント率を考慮した期待収益率からも、その銘柄が上がり過ぎたり下がり過ぎたりしていないかを考えてみると良いでしょう。

まとめ

公募価格割れしにくい条件からいくつか外れた内容があり、それをカバーするだけの好材料がなく公募割れしてしまった銘柄に関しては、業績が順調で会社計画に変更がなければ、いずれ悪材料出尽くしとなります。そのポイントとなるところを見分けるために、何を指標とすれば良いかということを今回解説しました。IPOのセカンダリー投資をする際、「どこで買えば良いのかわからない」という人は、今回解説した内容を参考に、買いのポイントを考えてみると良いかもしれません。

執筆者:佐藤真奈美より

 はじめまして、当サイトである『投資塾』で記事の執筆を担当させて頂いております、佐藤真奈美と申します。現在、複数の投資関連のメディアサイトに相場予想や投資関連の解説等の記事を寄稿しておりますが、『投資塾』では、株式投資のニュース、経済指標、金融政策等、「市場参加者が、何を見ているか」に重点を置き、株式投資の初心者にも分かりやすいよう、他では知れない情報の提供に努めさせて頂いております。

執筆者:佐藤真奈美について

おススメの証券会社

IPO投資
投資塾~今から始める株のお話~
タイトルとURLをコピーしました