IPOのセカンダリー投資と通常の中長期投資で押さえるべきポイント

IPO投資

中長期のセカンダリー投資で考えるべきポイント

前回、セカンダリー投資での銘柄の選び方について解説しました。IPOで公募割れしにくい条件から外れる部分があったために評価されなかった銘柄のうち、内容が悪くないものがセカンダリー投資に向いています。

目の付け所としては、通常の株式投資と同じです。ただし、中長期投資に限って言えば、という条件付きになります。短期投資の場合、買いについて言えば、投資する銘柄は基本的には好材料の有無がカタリストになりますし、売りの場合は悪材料の有無がカタリストになります。特にデイトレードの場合はその傾向が強く、上方修正や新製品、新技術の発表や日経観測記事などの材料がきっかけとなって、大きく値動きしたところを積極的に仕掛けていく、という形になります。その発表の影響が長く残れば良いのですが、その日のうちに消化してしまうこともよくあるため、大きく動いた翌日には元通り…ということも決して珍しくありません。

一方、中長期での投資の場合、好材料・悪材料が出た場合でもそれが一時的なものに留まらないケースもよくあります。それが顕著に表れるのが四半期決算です。四半期決算が発表され、進捗が会社計画を上回るペースで進んでいる場合には、その銘柄の株価は上昇が続きやすくなります。かつ、会社が保守的な予想を立て、上方修正しないのであれば、長期間に渡って株価が上昇する可能性があります。

通常の株式投資もそうですが、セカンダリー投資に関しても、前回紹介した日本グランデのように、会社の業績や会社の財務内容、資金繰りをチェックする必要があります。公募価格と同じくらいであったり、若干下回ったものの、内容はそれほど悪くないというのであれば、単にIPO銘柄としては魅力に乏しいというだけですので、上場した後は普通の株式投資と同様に株価が上昇する可能性があるのです。IPOの場合、公募価格を初値が上回るかどうかは需給によるところが大きいので、上場した後は、上場前とは別の材料で売り買いが入ることになります。

IPOのセカンダリー投資を中長期で行う場合、とにかく上場後のその会社の業績の動向のチェックは欠かせません。会社計画どおりの進捗なのか、ということはもちろんですが、会社計画が強気すぎないか、あるいは保守的すぎないか、ということをよく見る必要があります。会社計画が強気(あるいは保守的)かどうか、というのは、過去のデータや同業他社との比較からも考えることができます。ただ、セカンダリー投資の場合は過去のデータが少ないため、例えば過去10期分の傾向を見るなどといったことができません。そのため、同業他社との比較で大まかなそのセクターの事業環境を把握することがまずは大切になります。例えば不動産業なのであれば、事業環境が良く、首都圏を中心に不動産の売れ行きが好調、オフィス用物件も需要が豊富で、しばらくこの傾向が続く…ということが同業他社の決算から読み取ることができれば、その会社も概ねそのように推移するだろうと予想できます。

その銘柄の持つ「強み」を考えてみよう

大まかな事業環境を把握したら、次にその銘柄の「強み」が何かを考えてみましょう。例えば、その銘柄が同業他社にはない技術を持っている等、その会社ならではの長所があれば、それが評価されて株価が長期に渡り上昇する可能性があります。

また、株価が上昇するためには、その会社の売上がどうなっていくのか、ということにも目を向ける必要があります。どんなに事業環境が悪化しても、営業利益や経常利益などと違い、売上高だけはマイナスになることはありません。その売上高が、今後さらに拡大する可能性があるのかということを考えてみましょう。もちろん、売上高だけが伸びれば良いというわけではなく、それに比例して当然利益も伸びなくてはいけません。そこで目を向けたいのが営業利益です。営業利益は本業で得た利益なので、その会社の稼ぐ力を確認することができます。この営業利益が売上に対してどうなのか、ということをチェックするのです。

営業利益の売上高に対する比率…つまり営業利益÷売上高で算出される数字は売上高営業利益率といいます。この、売上高営業利益率が高い会社は、その会社ならではの強みがある傾向が強いのです。

例えば、洗濯用洗剤や食器用洗剤を作るA社という会社があったとします。しかし、この分野は他の参入が容易なため、やがてB社、C社、D社…というように競合他社が出てきます。そうすると、当然のことながら市場のパイの奪い合いが起こり、パイオニアであるA社の売上は減ってしまいますし、B社、C社、D社についても、当初A社独り勝ちだった時ほどの売上を獲得することは難しいでしょう。

一方で、参入障壁の高い業種はどうでしょうか。例えば、気象情報サービスを提供しているウェザーニュースは、国内においてはこの分野を独占しているといっても過言ではありません。気象情報を配信するために、同社は人工衛星を使って様々な情報を収集していますが、この分野は参入しづらく、競合他社のいない状態となっています。また、今回、日本が韓国を「ホワイト国」から外し輸出規制強化に乗り出したことを巡って日韓の対立が深まっていますが、その原因となったものが戦略物資であるフッ化水素です。このフッ化水素についての日本のシェアは約80%で、森田化学工業がほぼ市場を独占している状態です(競合は他に、ステラケミファ、ダイキンの2社ですが、森田化学工業のシェアがずば抜けています)。

ほぼ独占状態となる会社の場合、独自の強みがあるケースがほとんどで、参入障壁が高く、簡単に競合他社が出てきません。その分、売上高営業利益率も高くなる傾向にあるのです。もちろん、「今後のビジネス拡大のために積極投資を行う」などの理由から、営業赤字の時もありますが、基本的には売上高営業利益率が高くなる傾向にある、ということを覚えておくと良いでしょう。

ウェザーニュースや森田化学工業のような「独自の強み」のある会社は他にも色々ありますが、その独自の強みをどのようにして見つければ良いでしょう。例えば、メーカーの場合は分かりやすく「独自技術」などといったものがありますが、サービス業の場合は何に独自性を見出せば良いのでしょうか。そこで目を向けたいのが、ブランド力やノウハウです。例えば東京ディズニーランドでおなじみのオリエンタルランドは、独自のノウハウやブランド力に定評があり、ファンの多い会社です。

このように、会社の独自の強みを判断する要素には色々なものがあります。これまでに書いた技術力、ノウハウ、ブランド力もそうですが、他に、顧客を囲い込む力、ネットワーク力、規制といった要素が独自の強みになります。なお、ネットワーク力に関して言えば、代表的なのはマイクロソフトでしょう。皆がWindowsを使い、WordやExcelといったオフィスソフトを使っているため、自分も使わざるを得ない…という状況が出来上がったことから、同社は大きくシェアを伸ばしています。また、顧客を囲い込む力と言えば、システムインテグレーターなどが代表的です。一度その会社にシステムを構築してもらうと、他に乗り換えようと思っても重すぎるコストが負担となってなかなかできません。また、規制に関しては、通信や放送などが代表的です。

このような独自の強みが複数ある会社への投資が、中長期投資には必要になります。これは、セカンダリー投資でも同じです。そのため、中長期で投資する場合は、セカンダリー投資でもそうでなくても、このような視点から銘柄を選ぶと良いでしょう。

まとめ

今回は、セカンダリー投資で中長期的な投資を行う場合という切り口から、通常の株の中長期投資にも必要となる「見るべきポイント」を解説しました。中長期投資では、その会社の「独自の強み」を見つけることが大切です。売上高や営業利益率の拡大余地があるかどうか判断するためにも、必ず「独自の強み」にも目を向けて銘柄選びをしましょう。

執筆者:佐藤真奈美より

 はじめまして、当サイトである『投資塾』で記事の執筆を担当させて頂いております、佐藤真奈美と申します。現在、複数の投資関連のメディアサイトに相場予想や投資関連の解説等の記事を寄稿しておりますが、『投資塾』では、株式投資のニュース、経済指標、金融政策等、「市場参加者が、何を見ているか」に重点を置き、株式投資の初心者にも分かりやすいよう、他では知れない情報の提供に努めさせて頂いております。

執筆者:佐藤真奈美について

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